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〒 187-8587
東京都小平市学園西町1-29-1 |
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大学評価・学位授与機構評議員会(第22回)議事要旨
1.日 時 平成13年5月11日(金)13:00〜14:30
2.場 所 学術総合センタービル1階 特別会議室
3.出席者 戸田会長、井村副会長、阿部(博)、阿部(充)、池上、W・
カリー、荻上、小林、菅原、中嶋の各委員
木村機構長、荒船副機構長、齊藤副機構長、齋藤学位審査研究
部長、井上管理部長、山本評価事業部長、ほか機構関係者
4.機構教職員の異動について
機構長及び事務局から、機構教職員の異動について紹介があった。
5.前回議事要旨について
確定版として配布された。
なお、議事要旨については、今後、会議での議論の内容が分かるように、
意見の概要を無記名により箇条書きにして記録するとともに、当機構の事業
運営等の状況を、社会に対してより広く理解を得る観点から、機構のホーム
ページなどを通じて公開していくこととする旨了承された。
6.議事
(1)平成13年度及び平成14年度に着手する大学評価事業実施基本計画に
ついて
事務局から、平成13年度及び平成14年度に着手する大学評価事業実
施基本計画(案)について説明があり、審議の結果了承された。
なお、この件については、別途関係団体への意見照会等を行い、また本
日の意見も踏まえ、5月24日に開催される大学評価委員会で決定される
こととなる旨説明があった。
以上の審議の際、次のような意見交換が行われた。
(○:委員 ●:事務局)
○ 公立大学については、平成14年度から評価を実施するということな
のか。
● 設置者からの要請があれば、実施できるよう前向きに考えている。
○ 平成12年度着手分は着々と進行中ということだが、現段階で、何か
特別な問題点や反響が出てきているのか。あるいは、既にそのような問
題点等については、議論された上でこの基本計画が作成されたのか。
● 平成12年度着手分については、現在、大学において自己評価を実施
している段階であるが、今後、自己評価が終わった段階、あるいはヒア
リングや訪問調査をした段階、最終的に評価の結果が出た段階、といっ
た際に、各対象機関から意見を伺い、それを踏まえて必要に応じて見直
したいと考えている。なお、現在までに、単年度ではなく先が見えるよ
うな形で計画を示してもらいたいという意見があることから、今回、1
3年度着手分に併せて、14年度着手分の事業実施基本計画を示したと
ころである。
また、平成12年度着手分の計画を策定する段階でも国大協等関係団
体からいろいろと意見が出され、調整を図った上で、内容について見直
すべきところは見直した経緯があるが、平成13年度着手分についても、
これまでいただいた関係団体からの意見をかなり取り入れているところ
である。
○ 分野別評価のところで、教育学系という部分があるが、教育学系と一
括りにしてしまうと、教育科学の系統と教員養成の系統は相当に違う面
があるので、注意が必要だと思う。評価を行う際には、教育科学の面か
らばかりでなく、教員養成という観点からも判断することについて、共
通理解のようなものを是非持つようにしてもらいたい。
● 教育学系には、ご指摘のとおり教育科学を扱う学部と教員養成を扱う
学部があるが、数の上では教員養成系の学部の方が多いという現状は把
握している。
教育学系の専門委員会の委員の構成にしても、教科教育学及び教科専
門分野というジャンルや教育学1類、2類、3類と区分されている領域
には、教職専門という形で教員養成系の分野が含まれているので、教員
養成系に配慮した委員会構成になっていると認識している。これは親委
員会である大学評価委員会の教育学系の検討グループで検討された案で
ある。
○ 国立大学長を構成員とする国大協は、本来は評価の対象となる側であ
るということを考慮すると、評価する側である機構のことについて、国
大協の方からいろいろと注文をつけるということをどのように理解すれ
ばよいのか。
● 今回はあくまでも初めての試みということで、評価される側の意見も
聞くべきではないかということで、事前に国大協等の意見を聞いたとい
うことである。しかしながら、本機構としても一方的にその意見を取り
入れているわけでもなく、確かに先方の意見に理があるという部分につ
いては、見直しをしてきたということである。
○ 学長には、ある意味で利益代表として発言するような部分と、学長自
身の考えで大学は本来こうあるべきだと発言していくような部分がある
と思う。このバランスをうまくとっていかないと、いつまでたってもポ
ジティブな方向には進まないような印象を受ける。
○ 問題の本質は、国立大学に限らず日本の大学自身にいろいろと問題が
あるがゆえに、評価システムを整備しようということが議論されるべき
ということである。国大協にも新たに評価に関する第8常置委員会が設
置されたわけであるが、評価ということに対する根本的な理念、態度、
あるいは、大学評価・学位授与機構というものに対する認識が問題にな
ると思う。そのような状況の中で、国大協と機構の間でお互いの説明の
仕方に若干の齟齬があったということであり、国大協全体が大学評価・
学位授与機構に対して文句をつけたということではないと理解してい
る。機構による公平な評価事業の展開は、国大協としても必要なことで
はないかと思う。
○ さらに補足すると、国立大学として第三者評価が必要だということは
国大協でも相当議論があり、まず評価機関創設の準備段階から率先して
様々な面で全面的に協力しようということであった。例えば、全国の国
立大学から厳しい状況の中、事務官を一人ずつ拠出して、機構の業務に
従事してもらうといったことで、とにかく協力していこうというところ
からスタートしている。そのような経緯から、様々な意見交換の場が設
けられた中で、たまたま、国大協側から機構に対して意見を提出したこ
とがあったということではないかと思う。
○ 大学評価のシステムは我が国で初めて取り入れた制度で、まだ試行錯
誤の段階であるということもあり、機構で評価システムを確立、構築す
る上で、有益な意見を参考にしようということで関係団体等に意見照会
がなされたわけである。そういう中で、各団体から色々と積極的な意見
が出て、その中では批判的な意見も多々あっただろうということなので
特に国大協と機構との間の関係がそう重視されるというものではない。
だからこそ、私立大学団体連合会、あるいは大学基準協会などその他の
関係団体の意見も聞いているのであり、国大協とのテンションばかりを
強く考えるというよりは、よい意見であればそれを大いに取り入れ、よ
りよい評価システムを作ろうということなのだと思う。その上で、機構
が主体性を持ち、最終的には機構が責任をもつという考え方でよいので
はないかと思う。
○ 評価対象機関に対しての訪問調査やヒアリングが計画されているが、
その際に、共通的なガイドラインのようなものはあるのか。また、イギ
リスでは行われていることなのだが、訪問調査の場合に、訪問者が自由
に教室に出入りして講義の現場を観ることができるようにするのか。
● 日本ではそれがうまくいくかどうかということはあるが、できれば、
この講義を観たいと言えば観られるようなシステムにしたいと考えてい
る。
○ できるだけ大学間の比較も出来るような形の評価があればよいと思
う。大学によって教育理念や目標は異なるが、評価の結果をどう判断し
てよいか分からないということにもなるので、できるだけ相対的な評価
ができればよいのではないかと思う。
● 研究評価については、研究の水準及び内容、さらに社会的貢献のとこ
ろで水準を示すようになっているので、そこでは個人の評価をして、そ
れを積み上げて全体の評価をするというようなことになるので、御指摘
のようなことも可能になるのではないかと思われるが、教育評価につい
ては、非常に難しいところである。
○ 設置認可の関係で各大学を訪問すると、特に私立大学が多いのだが、
まずどこの教室でも自由に覗けるようになっている。国立大学の実態と
しては、まだそういうことを拒否するという感覚が先生方の中には強く
あるのか。
○ 最近はFD(ファカルティ・ディベロップメント)が国立大学でもか
なり真剣に取り組まれてきており、お互いの授業を公開して他の教官の
授業を聞くといったことが議論されている状況である。ただ、仮に評価
事業で授業を観る場合、どの先生のどの時期の講義かを事前に通告して
行うということになると、いわば模擬授業をやるようなことになってし
まい、それではあまり意味がなくなってしまうので、参観の仕方につい
ては、今後、研究してもらえればよいと思う。
○ 教養教育に係る評価については、大学等でシラバスや概要、その他様
々な活動状況についての出版物を出しているが、機構としてどういう形
でそれらのデータ収集を行い、集まった資料について、委員会等でどの
程度の時間をかけて、1大学について何回くらい会議をした上で評価に
入るのか。
● 大学から提出された資料で足りなければ、当方で独自に判断して提出
してもらうこともあると思う。
教養教育に係る評価スケジュールについては、実状調査の提出期限が
5月末となっており、そこから会議を開催して、実状調査を取りまとめ
て分析を行い、10月に結果を公表するという流れになっている。また
実際に5月末に各大学から実状調査が出てきた結果をみて会議の開催を
考えていくことになる。
○ 評価の結果としての大学のランキングはしないということでよいの
か。
● 本機構が行う評価は、大学審議会の答申を踏まえて、当初から、ラン
キングはしないということになっている。
○ 全学テーマ別評価の平成13年度着手分の『研究活動面における社会
との連携及び協力』について、テーマの趣旨として、新技術・新産業の
創出等は大変重要である。その評価の際、活動例やデータの把握も意味
はあるが、それが新技術・新産業の創出に結びついているかがポイント
になる。その点について、現在考え方は多岐であり、特に適切に評価し
ていく必要がある。今までの活動に水を掛けることにならないように是
非お願いしたい。
● 御指摘の点については、今後の専門委員会における議論で、具体的な
方向性が決まってくるので、その点について議論を密にしたいと考えて
いる。
なお、これまでの専門委員会の議論の様子からすると、委員間で当初
困難と思われていた課題についても、議論を重ねていくうちに、かなり
積極的にプラス指向で解決していく方向に収束しているので、このこと
についてもおそらく同様に議論が解決の方向に収束していくのではない
かと考えている。
○ 今後、国立大学の独立行政法人化が一つの関心事になると思うが、産
学連携は法人化後の大きな課題になるものと考えると、現時点でテーマ
として取り上げることはどのように考えればよいか。
● 国立大学の法人化が実現したとしても平成15年度以降であり、その
時点ではテーマ設定の考え方を見直さなければならないと思うが、現時
点では、法人化を念頭に置かず、現状について評価をするということで
ある。
○ 大学基準協会は、ある意味で同業者のような色彩もあるわけだが、機
構との関係はどのようになっているのか。
● 機構が行うのは、目的・目標に応じた評価で、大学基準協会が行うの
は、会員制のアクレディテーションであり、そういう意味では本質的に
異なるものである。ただ、大学側が作業的に重複することのないように
したい。
○ 評価をするに当たっては、基本的に専門委員や評価員自身がベンチマ
ークであるといえる部分もあるかとは思うが、機構としては、各分野に
ついて客観的な基準に照らしての評価は行うのか。
● 機構が行う評価は、その大学が立てた目的・目標に対しての達成度を
見るのが前提となっており、そういう意味では全体的にみると、ベンチ
マーク的なものはないということにある。ただ、研究評価については、
研究内容と水準、並びに社会的貢献について、その水準をそれぞれ見て
ベンチマーキングを行うということになっている。
○ イギリスがかなり進んでいるとのことだが、機構としてもいずれは、
研究評価だけでなく、教育評価の部分も水準に照らしたような評価を行
う可能性はあるのか。
● イギリスの教育評価は、日本と同じような6項目を立てて、それぞれ
の項目について評価員が達成されていると判断すれば4点、少し足りな
い場合は3点といった評価方法であり、最低水準を決めるということで
はなく、ベンチマークを決めているわけではない。機構が行う評価は、
平成10年10月の大学審議会の答申が大前提となっており、答申の副
題にある「競争的環境の中で個性が輝く大学」ということで、その個性
をなるべく引き出せるようにするための評価だと考えている。
○ 書類審査がベースになるということは分かるのだが、むしろその評価
が将来に生きるという意味で、ファカルティの先生方に対するアピール
というか、やはり、現場に行って、あえてクラスルームを訪問するとい
うような部分を取り入れた方がよいのではないかと思う。
● 教育評価については、もちろん実施する。実際には、訪問調査で大学
へ行ったときに、この授業を観たいということになるのではないかと考
えている。
○ 10年以上前だが、イギリスの評価チームが日本のある医大の教育を
評価したことがあり、事前に自由にどこを観てもよいという了承の下に
図書館や実習の場に行き、実に的を得た評価を行った。結局その医大の
卒業生の力では、イギリスではすぐには臨床研修ができないという評価
結果が出た。日本ではこのような形での評価活動に抵抗があるのもよく
わかるが、一気にイギリスのレベルまで行かないにしても、形骸化した
評価にならないようにしてほしい。
● 実際に評価するチームで大学へ訪問調査に行くといろいろと改善すべ
き点が具体的に見えてくるだろうし、そういう意見が活発に出てくるこ
とを期待している。
○ 日本は、地理的にも欧米からは遠いし、英語も母国語でないなどいろ
いろな面で不利な点はあるのだが、日本の大学はまだ日本語という壁で
鎖国状態にあり、また教育面でも依然として他人が教室に入ってくるの
を嫌がるという一種の鎖国状態にあり、グローバリゼーションに対応で
きていない。日本の大学がもっと世界の大学と比べて遜色がないものに
していくためにも、是非、評価における調査方法の工夫をお願いしたい。
● そのための方途として外国人のレフェリーに参加してもらうことが考
えられるが、言葉の壁があり、当面は難しいと思われる。しかし、将来
的には勘案の必要があると考えている。
○ 外国人の評価を受けるだけでなく、大学自身の教育の在り方の中でど
れくらいグローバリゼーションに対応できているかといった評価が必要
ではないか。
● 当面は評価員の選び方だと考えており、今のご意見と同じ考えを持っ
ている評価員が増えれば、当然そういうスタンスで見ることになるので
はないかと考えている。
○ かなり高度なグローバリズム・グローバル化についての議論は大学審
議会でもいろいろ行われたが、大学の現場では、国際交流担当でさえ国
際電話ができる体制になっていなかったり、担当者が英会話ができない
状況があり、議論と現場との隔絶は大変大きい。日本の大学のグローバ
ル化といってもまずそこをきちんと対応する必要がある。また、例えば
留学生の受け入れ状況、教員の中の外国人スタッフの状況、英語教育の
状況なども改善の必要がある。外国人の学長でも大学運営ができるよう
なところまで変えていかなければならないと思う。また、最近では優秀
な高校生が日本の大学を素通りしてアメリカの大学院を出て日本の外資
系企業に就職するといった状況もある。大学を取り巻く底辺でのグロー
バル化が相当な勢いで動いているにもかかわらず、大学の現場は全くそ
れに対応できていない現実を評価の際に取り上げるようにしてもらいた
い。
(2)平成13年度機構事業実施計画について
事務局から、平成13年度大学評価・学位授与機構事業実施計画(案)
について説明があり、原案どおり承認された。
(3)学位授与事業の実施状況について
事務局から、学位授与事業の実施状況について報告があった。
その後、次のような意見交換が行われた。
(○:委員 ●:事務局)
○ 各省庁大学校の関係で、申請者全てに学位を授与しているということ
は、優秀な申請者ばかりということなのか。
● 認定した課程を修了していることを前提に、学士については、単位修
得証明等で審査を行い、修士及び博士については、論文の審査及びそれ
に対する口頭試問を行っている。修士、博士レベルとしての確認を特に
要するような事例については、口頭試問の際に詳しく内容を確認したり
論文記述の改善を指導することがあり、さらに場合によっては、再度審
査をするというようなことを通じて、判定を行っている。
○ 修士、博士の場合で、審査段階において申請を取り下げる事例はある
か。
● 申請者個人の私的事情で取り下げる事例のほか、審査段階における大
学校の指導及び申請者個人としての自覚の上、申請者から申請を取り下
げるという事例もある。
(4)次回の評議員会は、機構の事業の実施状況の動向を見て開催することと
し、日程については、後日事務局より連絡することとされた。
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