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             第18回大学評価委員会議事録

1 日   時  平成15年1月28日(火)14:00〜17:30

2 場   所  学士会館 210号室

3 出 席 者
(委 員)阿部委員長,外村副委員長,青山(佳),青山(善),磯部,内永,岡
澤,小野田,加藤,岸,小林,佐藤,シェパード,清水,杉山,鈴木(昭),鈴木
(賢),舘,田中,徳田,西野,蓮見,マルクス,山野井,山本,吉田の各委員
(専門委員会主査)甲斐,鈴木(茂),高倉,長島の各主査
(事務局)木村機構長,荒船副機構長,福島副機構長,山本管理部長,川口評価
研究部長,安間評価事業部長  他

4 前回の議事録の確認
前回の議事録を確定版として配付した。

5 議   題
(1)平成14年度着手の大学評価に係る評価員の選考について
(2)平成13年度着手分の評価結果について

6 議   事 (○:委員,●:事務局)

○委員長
それでは定刻となりましたので,大学評価委員会を開催いたします。本日はお手
元に配付されている表のとおり,各専門委員の主査に御出席いただいております。
各専門委員会での審議内容について御報告いただくことになっております。主査
の先生方には御多忙のところ御出席いただきまして,ありがとうございます。ま
た,機構の担当教員にも同席いただいておりますので,ご了承いただきたいと思
います。
本日は第18回大学評価委員会議事日程に記載されているとおり,評価員の選考
に付いても審議される予定です。各専門委員会の主査の先生方には,長時間の審
議になると思いますが,ご同席いただきますようお願いします。


(1)平成14年度着手の大学評価に係る評価員の選考について

○委員長
それでは議事に入らせていただきます。まず,平成14年度着手の大学評価に係
る評価員の選考についてご審議をお願いしたいと思います。まず,事務局よりご
説明願います。


●事務局〈資料説明〉
はい。まず資料の2と3をご覧下さい。資料3の下に参考資料が二つございます。
その下の実施体制の概念図をご覧いただきたいと思います。機構で行われており
ます評価は,本評価委員会におきまして全体の内容的なもの等をお決めいただい
き,その方針をもとに,各専門委員会で具体的には自己評価書の内容の分析等を
行っております。ただ,実際には個別の審査を行っていただく際に,専門委員だ
けではチーム数との関係で評価に携わっていただく先生方の数が足りないとか,
さらには研究評価の場合では,各教員の研究業績の水準の判定を行います。こう
いった専門的な分野での評価作業を携わっていただくために評価員といった方を
お願いしています。具体的には全学テーマ別評価や分野別教育評価ですと,評価
チームの中で専門委員と一緒に評価員の先生方に御参加いただきまして,書類の
分析や訪問調査を行っていただいております。他方,研究評価につきましては,
部会というものを別途設けまして,そこでそれぞれの先生方の研究業績,論文で
すとか様々な研究活動の業績について水準判定をなさっていただいております。
平成14年度着手のそれぞれの分野の専門委員については,今年度の6月の段階
でご選考いただいたわけですが,今後,評価員について新たに各団体に御推薦い
ただく必要から,今回お諮りしている次第でございます。
具体的には資料3の一覧表がございます。それぞれの評価区分,即ち全学テーマ
別評価,分野別教育評価,分野別研究評価,それから総合科学,それぞれを記載
させていただいておりますが,各推薦依頼団体に候補者用件にご留意いただいた
上で,評価員の御推薦をいただくことを予定していおります。
今後の日程を述べますが,本日ここでお諮りした結果,さっそく一月末までに各
関係団体に推薦のご依頼を申し上げる予定でおります。3月20日までを期限と
して推薦をいただきます。 その後,選考委員会において候補者の御推薦をいた
だきまして,評価委員会を経て決定いたいます。もう一つの参考資料がございま
すが,これは各団体に送付する文書となっています。評価員としての活動の内容
ですとか,それぞれの学問領域ごとにどれくらいの人数の評価員をお願いしたい
か,それから推薦をいただく際の実際の様式等を整理してございます。
先程ご説明した中に4月下旬に専門委員等選考委員会というのがございました。
それについては,資料2をご覧下さい。ここに名簿がございます。1ページおめ
くりいただきたいと思います。参考の文書がございますが,評価員については趣
旨の2行目にありますように,大学評価委員会で候補者を選出することとなって
おります。その際に,趣旨の下から2行目にございますが,評価委員会のなかに
専門委員等選考委員会を設置することとなっております。その選考委員会の委員
につきましては,2の「委員の選出等」とございますが,(1)に評価委員会の委
員及び機構の専任教授から選考委員会の委員に御就任いただくことになっており
ます。その名簿が資料2にございます。従来でございますと第1期の委員の先生
方に入っていただきました。ただ,半数の先生方におかれましては,昨年7月に
ご退任なさいまして,新しい委員の先生方にお入りいただいております。こうい
ったことも含めまして,この度委員長より新たに第2期の先生方から選考委員に
入る先生方のご指名をいただいた次第でございます。この表の中に○印が付され
た方々が,新たにご指名いただいた先生方でございます。他の先生方につきまし
ては,引き続き選考委員会の委員としてご指摘いただき,お教えを賜ればと思う
次第でございます。以上です。

○委員長
いまご説明いただいたように,先日,機構側に専門委員等選考委員会委員の指名
について伝達させていただいております。ついては御多忙のところ大変恐縮では
ございますが,御協力をお願いしたいと思います。では,いまご説明のあった評
価員の推薦依頼について御意見を伺いたいと思います。何かご意見等ございませ
んでしょうか。
(意見なし)
よろしいでしょうか。では,原案のとおりご了承いただいたものとして関係団体
等への推薦依頼をお願いしたいと思います。

○委員長
それでは,続きまして平成13年度着手の評価結果案についてご審議いただきた
いと思います。初めに事務局より審議の進め方についてご説明をお願いします。

●事務局〈資料説明〉
はい。資料4をご覧ください。この後にご審議いただく内容については,先の本
委員会でも大略ご説明申し上げてございます。この後,専門委員会ごとの各主査
から,各専門委員会において評価原案をまとめる際の作業の経緯ですとか,全体
的な傾向,さらには課題ですとか特徴についてそれぞれご説明いただき,そのご
説明の内容についてそれぞれ先生方から御質疑をいただければと思っております。
日程としましては,全学テーマ別評価についてはそれぞれ20分,その他分野別
教育評価,研究評価につきましてはそれぞれ15分,その間でご説明,それから
質疑につきましてもいただければと思います。途中に一回休憩を挟み,最後に全
体的な御質疑をいただければと思います。


○委員長
いまお手元にあります資料4に沿って審議を行っていきたいと思いますが,全体
として長時間かかりますが,よろしくお願いいたします。それでは,さっそく教
養教育の主査より順次御報告いただきたいと思います。いまご説明がありました
ように20分ですのでよろしくお願いします。

○主査
それでは教養教育について,概要の御報告を申し上げます。当然こういう時間枠
ですので,主としてどういうプロセスを経て評価を行ったかという点を中心にご
説明し,細かい評価結果の詳細にわたっては特段触れません。むしろオーバービ
ュー的に全体に触れさせていただきたいと思います。なお,お手元の分厚い資料
7−1について,ある程度お目通しいただけたかと思いますが,これは最終報告
書ではなく,大学サイドに提出し,意見等の申立を受け,そのレスポンスをした
後にさらに教養教育の全体のオーバービューを付けて最終報告書とする,そうい
う性格でございますので,本日は,これについては触れません。
お手元の資料6−1をご覧ください。これが教養教育の評価の,ある意味レジュ
メでございます。この説明を裏付けるものとして,参考資料2,会議終了後回収
と書いてございますが,これを出してください。この二つの資料で,主として資
料6−1で流れをご説明し,必要に応じて参考資料2の関係資料で内容を確認し
ていただきながら進めるという手順でございます。では,さっそく資料6−1の
「評価の概況」で以下,ご説明申し上げます。
まず第一に評価の対象ですが,全学テーマということで全国立大学95を対象と
させていただきまして,学部段階の大学設置基準に示されている幅広く深い教養
及び総合的な判断力を養い,豊かな人間性を涵養するという,そういうための教
育というカテゴリーで実施しております。そして,この評価の基本は各大学が設
定した教養教育の目的及び目標を実現するための取組状況,及び達成状況を評価
するということです。ただし,この教養教育という言葉にちょっと問題がござい
まして,この捉え方としては一般教養教育に限ったものではなく,一般教養教育
と専門教育の内容を併せ持つものについても含めています。ただし,今回我々は
教養と名の付く専門教育に限ったものは対象としておりません。「教養学部」とい
った4年間を通した教育カリキュラムをもった大学もございます。そういった大
学の専門教育の部分は扱ってございません。
さて,2番目の実施体制です。評価チームを編成して行いました。この一つのチ
ームには専門委員と評価員で併せて5,6人でチームを構成して全部で11チー
ム作りました。そういたしますと95大学ですから,1チームで8,9つの大学
を担当することとなります。そして実際に担当する大学については,各大学にそ
れぞれ主担(自己評価書を分析し評価結果を作成する責任者),副担(主担を助け
る)という役割分担を設けまして,評価チームの中で打ち合わせをしていきなが
ら検討するというシステムを採っております。そこで参考資料の1をご覧くださ
い。教養教育に関する専門委員会の評価チームの編成をここにまとめてございま
す。11班を準備して事に当たったということです。
さて,資料6−1の評価作業のプロセスですが,これが本日ご確認いただく最大
のポイントでございます。まず,教養教育の場合にはやや例外的な措置として,
(1)実状調査というのを平成13年度に実施させていただきました。というの
は,教養教育については対象大学も非常に混乱しておりまして,各大学でどうい
う捉え方をしているかというのが非常に分からなかった。そのため,各大学の目
的・目標,取組状況等を調査させていただいて,我々が評価できる状態にあるか,
するにはどうしたらいいか等を検討させていただいたわけです。その結果は,昨
年の実状調査報告書として公表しております。このようなものを参考としまして,
以下のプロセスを考えた訳でございます。
(2)「作業方針の方針」ですが,まず専門委員会で評価作業の方針として,手引
書だけでは心許ないということで,かなり詳細な評価作業マニュアルを作りまし
た。そしてこれをもとに評価者全員で研修を行い,各評価者が共通の認識となる
ように努めたつもりでございます。そして問題となる評価作業の全体の流れを先
に見ていただきたいと思います。
参考資料2です。「評価作業の全体の流れ」と書いてございます。ポイントは二つ
です。この評価のポイントの一つは自己評価書を分析して行う,その結果に基づ
いて,不十分な点とか補足する点を踏まえて,各大学にヒアリングを行う。この
二つのプロセスを経て,評価を行いました。その前段階として,資料の右上に
「目的及び目標の記述状況確認表」というものがあります。これについては後ほ
どご説明いたします。
やはり自己評価書の分析というものについて重点をおいており,各評価チームで
それぞれ主担が行い,それを加筆修正してチーム毎に取りそろえて主査会議を行
い,そこで横並び的に基準を確認しあって加筆修正をしてまた打ち合わせをする。
そういう形でどういう評価結果をもって大学とのヒアリングに臨むかということ
について,まず第1の案を作ったわけでございます。その結果に基づいてヒアリ
ングを行い,ヒアリング結果をもって評価結果を再度見直して最終的には専門委
員会を経て今回の資料となっているというのが大きな流れでございます。そして,
参考資料3ですが,これは今申し上げた流れをさらに細かく書いただけで,本質
ではございませんので本日は割愛いたします。
さて,資料6−1のいよいよ(3)書面調査という,自己評価書の分析のところに
入って参ります。この自己評価書を専門委員会で作成した作業用シートに基づい
て各評価チームで段階的に分析調査を行ったのですが,その前段階として,参考
資料4の「目的及び目標の記述状況確認表」をご覧いただけますでしょうか。こ
の様式を用いて,提出いただいた自己評価書の目的及び目標の記述を各評価員の
方にチェックしていただきました。この部分が大きく崩れておりますと評価がで
きませんので,まずその確認していただいたというわけです。幸いおおよそ評価
はできるのではないかという結果でしたので,その先に進みました。そしてその
作業用シート(参考資料5)をご覧ください。これが様式1シートでございまし
て,後ほど申し上げますけれども,評価項目というところで「実施体制」という
ものが第1項目,そこに要素が幾つかありまして要素の第一の「教養教育の実施
組織に関する状況」,これに対して観点を幾つか設定しました。この観点について
は,機構からの推薦観点というものもございまして,大学からも独自に観点を立
てることができます。これらを踏まえながら,観点につきまして,しかるべき評
価を行って整理を行ったものが,この資料となっております。これは第1段階で,
主担と副担とで、こういう形で様式1シートで整理をしたという作業を続けた訳
でございます。さて,これが様式,一種の作業用シートとご覧頂いてよろしいの
ですが,これを行いまして,ここで問題は,評価チームの主査会議で評価チーム
間の横断的な問題点の対応を検討して専門委員会で水準等の判断指標を作成して
ヒアリングに臨んだということがございます。その辺りは参考資料6をご覧頂き
たいと思います。分析表の横断的な問題点及びその対応についてとあります。先
程観点について述べましたが,大学は自主的に観点を設けている。我々はこうい
う観点で自分の教育を評価したということです。ただ,この観点が適切でない場
合が再三再四ございました。ひとつは,その大学が何か独特な思い入れは結構な
んですが,あまりに些少な所で書き込まれて,どうしても教育には最低限加える
べき点というものがあると思います。機構の方から最低限加えるべき点は観点と
して入れてくださいという形で一応ガイドしたものが全く欠けている場合には,
我々評価の立場でそうした観点をセッティングして,そういう見方で評価したと
いうことがございます。いずれもヒアリングの段階では十分な意思の疎通という
ものは図りましたけれども,観点についてもそういう作業がございました。それ
から数量的,数的な扱いというものにあまり拘泥してはいけませんので,その辺
いろいろ難しい問題があったのですが,その辺りも意思の疎通を図りました。そ
れから意外に多かったのが,特定部局に特化した自己評価です。観点は極めて一
般的なものですけれども,その自己評価を特定部分だけで行って他の部分は知ら
ん顔しているというケースが生じてございます。この辺りはヒアリング等でどん
どん確認していくというようなことを行っております。それから42ページの真
ん中あたりにございますが,根拠データの具体的な求め方ということで,根拠の
データが不足している機関がございました。この辺はヒアリングの段階で追加資
料を求めるわけですが,その求め方について,なるべく具体的に指摘をして意思
の疎通を図るということがございました。そして次の43ページに,いわゆる評
価項目ごとの水準及び要素ごとの貢献の程度ということで,いわゆる評価結果で
すが,これをどのように記述するかについて我々は統一基準を設けましたので,
これはまた後ほどご説明申し上げます。そして7の特記事項の所見の記述方針で
すが,これは前の大学評価委員会で触れたと思います。あまりに各大学の特記事
項がバラバラでそれにレスポンスして所見を書くとなると,誠にバラバラの所見
を書くことになり極めて不適切であるということで,今回は特記事項については
各大学で書かれたものだけを記録として転載して,それに対する所見については
全大学を横通しで見て,オーバービューで機構として作り上げようという方針に
変えさせていただいたということです。
引き続き資料7ですが,「観点」について御理解いただきたいと思います。ここに
観点の一覧表と要素というのが書いてあります。左端に評価項目,実施体制があ
ります。全部で評価項目は4つです。それに要素がついて,観点例が並んでいま
す。それに対して,根拠データ等とあり,こういう形で整理し,ちゃんとしてい
るかどうかとチェックしていっているわけですが,観点に基づいて評価を行い,
それを要素に持ち上げ,項目にもっていく。この評価のシステムは「木を見て森
を評価する」ということになっているわけです。ですから木を見て森を見た結果,
違う森が見えることも正直言ってあります。これは非常に気を使いまして,やは
り原則として木を見て森を見よう。ただし,森を見てそれから木に戻るという頭
の操作をしまして,木と森をあわせるという努力を各人しましょうということに
も心がけたつもりです。木から森を見る手順というのはシステマティックに行わ
なければならないわけで,その辺が参考資料8に書いてございます。ある意味で
はポイント制をさせていただいたわけです。観点ごとにグレードを付けたポイン
ト,これをある程度単純操作で要素に持ち上げ,それから要素からさらに項目に
持ち上げる。その間に要素によって重視すべきものとそうでないものとやはりあ
ると思います。資料8の51ページをご覧ください。ここで要素の重み付けをコ
ンセンサスで確定いたしました。実施組織で言えば,要素1は重みの2,要素2
が,これは情報の公開の問題ですが1,要素3が2ということで,内容次第によ
って要素を50パーセントにするものを幾つか設けて,トータルとして木から森
に持ち上げるという操作をしました。もちろんこうした操作をやって全体を見て,
もう一度木まで戻るという作業は各先生方が,担当された方は繰り返しやってい
ただいたということでございます。ポイントの計算法は以下算出方法と書いてお
りますが割愛いたします。どちらかというと算術的平均に重みをかけたというこ
とでございます。こういうことで大学のヒアリングに臨む資料を作成したのが,
参考資料9です。ここに大学に送った一例が綴じてございます。53ページの左
側に機構側が観点を書きましてそれに対して評価をする。ただし,左側を見てい
ただくと分かるのですが,二重線のアンダーラインが引いてある所がございます。
この二重線で書いたものは,資料を整えてヒアリングに臨んでくださいという要
求でございます。そしてヒアリングに臨む前にこの資料の右の方に大学側に回答
を書いてください,二重線については必ず書いてください,という形でお願いを
して,これは右に大学に回答を書いていただいた例でございます。53ページの
下で言いますと,「教養教育を担当する教員体制について」,というところで全学
体制を採っているけれども具体的にどうなのかということで聞きますと,このよ
うにある程度の作られた資料を出していただくという作業を続けたわけでござい
ます。幸いヒアリングの数日前にこの資料を提供できたので,ヒアリングの段階
では確認作業を中心に行うことができました。
それで,資料6−1に戻りまして,(4)のヒアリングの段階に参りました。これ
は今申し上げました書面調査段階の評価案に基づいてヒアリングの2週間前に大
学にこれをお送りして確認事項の回答を求め,我々はそれを見た後でヒアリング
をさせていただいております。そして一機関あたり110分,約2時間程度で実
施いたしました。このヒアリングの日程一覧は参考資料に載っておりますけれど
も,割愛させていただきます。
最終段階になりますけれども,(5)評価報告書原案の作成ということでございま
す。ここで参考資料11をお開きいただくと,またいろんな問題が出てくるわけ
で,我々も認識合わせを一つ一つ可能な限り丁寧にやってまいりました。こうい
う場合はどういう体制にするとか等,一つ一つは申し上げられませんけれども,
出てきた問題については一応評価員は横通しで共通認識が持てるよう最善の努力
してまいりました。
一応評価結果の報告書の原案を作成いたしましたけれども,特記事項は先程申し
上げた通りでございます。前回の大学評価委員会でご説明申し上げました。最後
に評価結果の総括だけ概略的にご説明します。参考資料の13をご覧頂くと,こ
れが教養教育の評価の全体像です。あくまで目的・目標に対しての評価ですが,
一番上が評価結果(案)の状況です。実施体制について5段階評価になっていま
す。ほぼ上から2番目と3番目の「おおむね」と「かなり」の所に各々50パー
セントと集中している。教育課程の編成,これは大学として比較的高い評価が得
られたかなと思います。上から2番目の「おおむね」というところに80パーセ
ントの大学が集中している。教育方法になると,やや「かなり」というところに
重点が移ってきて,最後の教育の効果になりますと,下の「かなり」から「ある
程度」レベルまで落ち込んでくる。左肩から右に向かって下がってくるという典
型的なパターンとなりました。これが実は大学の自己評価を真ん中の所にご参考
までに残しておりますが,これでもよく眺めると同じような傾向が見られると思
います。ただし一番下に自己評価と我々の評価との差異を書いておりますが,ど
うしても水準が下がったというところが7,8割を占めてございます。それが,
一つの見方でございます。
次のページの14には,評価項目ごとの水準の状況を大学別に示しています。特
にここは触れません。ただ,ちょっと心配したことは,巨大な大学があり,地方
の大学があり,単科大学があり,基本的に教養教育がまるで違う姿になり評価が
違うことがないか心配しました。横並びの同じような考え方でやって大丈夫か心
配しました。これは案ずるより産むが易しで大丈夫でした。そういうカテゴリー
間の差よりも一つのカテゴリー内での差の方がはるかに大きかったことから,心
配の必要はないのではないかという結論になりました。あと最後に15の所だけ
ですが,特に優れた点及び改善を要する点等の状況で,観点ごとにまとめが付し
てございます。全部で350程度を取り出して指摘をいたしました。ただ,ここ
で申し上げたいのは教育の効果については,自主的に割愛いたしました。何故な
ら教育の効果については,あまり出来なかった。出来ないから全て問題ありとす
べしという強硬な議論もありましたが,やはりそれは建設的ではないということ
で,精一杯の評価をいたしましたけれども,大きな問題があるという点は横並び
ですのでオーバービューでびっしり触れていこうということで,ここで一つ一つ
取り上げることは控えさせていただきたいと思います。大変内容が濃いので時間
をとりましたが,以上です。

○委員長
いま主査からご報告ありました件でご質問があれば伺いたいと思います。なお,
多数のご質問があると思いますが,全体の審議時間に限りがありますので,先程
のスケジュールに沿って進めたいと思っております。残った質問があればこれは
前半部の報告,あるいは全体の報告の後に別途時間を設けてありますので,その
時に改めてお伺いすることにしたいと思います。時間があまりありませんが,ご
質問等があればどうぞ。
(意見なし)
よろしいでしょうか。それでは「研究活動面における社会との連携及び協力」専
門委員会の主査よりお願いします。

○ 私共の専門委員会では全学テーマ別評価「研究活動面における社会との連携
及び協力」について分担させていただきました。私共の委員会は親委員会である
大学評価委員会で作成なさったかなりきつい枠組みのなかでの作業を,平成13
年9月以来の7回の専門委員会と2回の評価チーム主査会議,評価員の研修会,
ヒアリング等を実施するなかで評価原案をまとめました。かなりきつい枠組みと
いうのは,テーマの評価対象範囲と書式フォーマット,あるいは専門委員会の専
門委員及び評価員の選任,それから大学等が自主的に設定した目的及び目標その
ものを評価しないという大前提,それからスケジュールでございました。その中
でも前年度からの評価を受けて機構側のご努力によりまして,一番大切な目的及
び目標について自己評価書を提出する前に一度提出を求め,専門委員会として全
般的なコメントをだして各大学等に再考する機会を作っていただきました。ある
いは,ヒアリングに先立ちまして,書面調査段階での評価案を開示して大学等側
に不足するデータの提出を容易にするというような準備をしました。まず,13
年中に開かれた3回の専門委員会で確定しました自己評価実施要項を昨年1月の
大学評価委員会でご審議の上ご承認いただきました。その上,大学等への説明を
経て,7月末に大学等からの自己評価書の提出を受けた次第であります。5月に
選任いただいた評価員も交えて,評価についての研修を7月に実施し,8月以降
に評価が行われました。流れそのものについては,先程の小野田主査の説明と類
似した所がございます。資料6−2評価の概況及び参考資料3をお手元にご準備
ください。それから,資料7−2が2000ページ程度のものですが,評価結果
原案です。今日はこれについては直接触れません。
資料6−2をご覧下さい。先程の教養教育の主査のご説明と流れとして類似して
おりますので,資料として異なった部分だけにアンダーラインを引いております。
先の説明を活用させていただき,時間を有効利用させていただきたいと思います。
まず評価の対象ですが,全国立大学99大学と全大学共同利用機関14機関,合
計113機関を対象としました。また,国,地方公共団体,民間企業という社会
一般を対象として連携及び協力を意図して行われている研究活動面での社会貢献
活動について,全学的組織及び全学的な方針のもとに行われている活動を対象に
評価しました。評価実施体制ですが,評価チームは専門委員会委員2名,評価員
3名の5名で構成し,計12チームを編成しました。評価チームが担当する機関
については主担と副担で役割分担しまして,評価チーム打ち合わせにおいて検討
しました。主担の役割は自己評価書の分析と評価結果の作成で,副担は主担を助
け自己評価書の分析を行うということでございます。参考資料3−1に評価チー
ムの編成についての資料を載せております。どのチームがどのような大学等を担
当したのかということがこれでお分かりいただけると思います。
評価作業のプロセスですが,評価作業の方針としては,評価作業マニュアルを作
成しまして評価者への研修を実施した上で,各評価チームの共通理解の上に評価
を行いました。まず最初の大きな作業は書面調査ですが,書面調査におきまして
は,専門委員会で作成した作業用シートに基づきまして,自己評価書を各評価チ
ームにおいて段階的に分析いたしました。評価チーム主査会議において評価チー
ム間の横断的な問題点への対応を検討し,専門委員会において評価項目ごとの水
準等の考え方を作成しまして,書面調査段階での評価案を取りまとめました。
参考資料3−2をご覧下さい。まず,自己評価書の分析という書面調査段階の作
業ですが,第1回の評価チーム打ち合わせにおきまして,参考資料3−4にある
目的・目標の記述状況の確認を大学等別に行いました。そして,参考資料3−5
にございます,これは○○大学を例にとってございますが,分析を評価項目ごと
に観点と取組状況を整理して評価するというセットを組みました。作業は,○○
大学の例にもございますとおり,様式1シートを用いて行っております。10月
3日に行われました評価チーム主査会議におきましては,分析上の横断的な問題
点とその課題の確認をいたしました。評価の水準合わせであるとか,評価の対象
になる項目表についての意志統一を十分に行ったつもりでございます。そして,
各評価チームごとの打ち合わせを10月中旬に行い,10月24日の第6回目の
専門委員会で参考資料3−7にございますような評価項目ごとの水準の考え方を
確認し,ヒアリングにおける確認事項を確認しまして各大学等に送付いたしまし
た。それに基づいてヒアリングに先立って各大学等からの回答をいただきました。
参考資料3−8がその内容ですが,○○大学を例にしておりますが,一つの大学
においてもこの程度の大変な作業であることをご認識いただければと思います。
ヒアリングを11月11日から12月10日にわたって行わせていただきました。
その日程等については参考資料3−9にございます。ヒアリングを全部終えた上
で評価チーム主査会議を行いました。そこで確認いたしましたことを参考資料3
―10にまとめてございます。そして,第7回専門委員会で確認いたしました。
特記事項についての所見をはずすということについての確認を行いました。この
特記事項は今回が初めてでもあり,触れられてない大学が21校もあり,かなり
自由な枠組みで大学等からの回答が寄せられました。これに所見を付けるとなる
と,かなり評価めいたコメントというような判定のものが多くなるということも
ありまして,大学等から出されました特記事項をそのまま付けて所見を割愛する
という方針をとらせていただきました。それをこの大学評価委員会でご了承いた
だいたわけでございます。1月9日の専門委員会でこの評価結果原案を確定しま
して今日に至っております。
参考資料3−12以降につきましては,評価の全体像です。先程主査から説明が
ありました,このテーマの評価についての全体像が紹介されております。先程の
参考資料3−8でも述べましたように,これは専門委員会の作業として各委員が
行うという作業量を相当超えたものでございましたが,機構側の熱意と大学がい
ま実施しておられる改革に対してお手伝いができればという心意気,熱意で支え
られたものでございますが,大学等から提示された自己評価書の目的・目標の的
確性と,委員の熱意とがかみ合わないところもかなりありました。それと,委員
及び評価員は,自己の持ち味が評価に出せないというところもあって,かなり不
満が鬱積しているのも事実でございます。そのような中で前向きの問題点を意識
して機構側の配慮もありまして,先程小野田主査からもありましたように,この
評価結果原案に総括的にオーバービューをして次年度からの評価に役立てていた
だくということで,評価員の皆さん方の納得をいただいております。以上です。

○委員長
ただいま主査からご報告いただいた点につきましてご質問があればお伺いしたい
と思います。5分ほど時間がありますので,よろしかったらどうぞ。
(意見なし)
よろしいでしょうか。それでは続いて分野別教育評価「法学系」の主査からご報
告願います。

○主査
法学系教育評価の主査を務めさせていただきました。それでは法学系の教育評価
についてその概況をご説明させていただきます。内容はお手元にお配りしており
ます資料の6―3とパワーポイントでご説明させていただきますが,内容は4つ
に分かれておりまして,対象校はどこか,2番目は作業体制はどうであったかを
前提としてご説明し,3番目として調査結果の概況をご報告し,最後に4として,
この結果を取りまとめるに当たって我々が感じた課題という順序でお話しさせて
いただきたいと思います。
まず対象校ですが,東北大学,東京大学,新潟大学,金沢大学,神戸大学,香川
大学の6校でございます。この6校を対象とした意味を量的に申しますと,これ
は全国の国立大学の法学部がある大学は15校しかございません。15校の内の
6校ですから,4割を対象としていることを意味いたします。この6校は内容的
に申しますと,御存知のように非常にバラエティーに富んだ6校であります。東
北大学,東京大学はその前身が旧帝国大学でございます。神戸大学は前身が神戸
商科大学です。新潟大学,金沢大学,香川大学は新制大学です。この最後の3つ
の大学は法学部が設立されたのも過去20年から15年の非常に若い大学でござ
います。そういう6校について,学部と大学院の研究科を対象としたということ
になります。
次に専門委員会における作業体制についてご説明させていただきます。この6校
をどんな評価体制で評価したかということですけれども,ここに表記しておりま
すように私共の専門委員会では,今2つの専門委員会のご説明のように95校と
か113機関というものを対象とする訳ではなく,学部,大学院を合わせて12
でございますので,29人の専門委員で構成いたしまして,専門委員会の開催回
数は8回,評価チームは評価員3名を加えていただきまして3チームで対応いた
しました。そして評価チームには主査,副査がおりますので,主査・副査会議と
いうものを開催しまして,これは出ておりませんが2回開きました。そういうこ
とで全般の評価を進めた訳でございます。29人の専門委員の構成ですが,大部
分の方が大学の研究者でございますが,法学系ということですので,弁護士の方
に入っていただいたり,企業の人事担当重役に入っていただいたり,あるいはジ
ャーナリストの方にも御参加いただいております。
続いて評価のプロセスについて簡単にご説明いたします。私が感じましたのは,
今回の評価は,評価する者と評価される者との共同作業であったということです。
4段階のうち第一段階は,各大学における自己評価でございます。各大学から目
的・目標を届けてもらいまして,機構からその目的・目標が評価基準として十分
な妥当性,具体性を持っているかどうかをお示しし,その後各大学が自分たちが
設定した目的・目標に従って自己評価をするということが第一段階です。この第
一段階では,機構は大学の自己評価を見ているという段階です。次が第二段階で,
そういう形で大学から自己評価書が提出されまして,それからが私共の主な作業
となった訳です。
大学から届けられた自己評価書を徹底的に分析し,評価するという,これを書面
調査と言っておりますが,これが第二段階でございます。思い起こすと8月の初
めくらいでしょうか,夏休みに入った頃にですね,機構から膨大な資料がどさっ
と宅配便で届けられまして,これを読むのかと腰を抜かす思いをいたしました。
こういう精神的かつ神経を使う重労働をですね,事も無げにたくさんの委員に押
しつける,この大学評価・学位授与機構という存在,それを受けまして割合涼し
い顔をして期限までよろしくという事務職員,やはり世の中端倪すべからざるも
のがあると思った次第であります。
第三段階目は,私共の評価原案を各大学にお伝えした後,実際に各大学に赴きま
して,ヒアリングと先程言われましたけれども,実際に現地調査をする段階です。
これは私共の場合ですと2泊3日で現地調査をしました。それから第四段階がそ
うした現地調査のやり取りを含めて,再度評価原案を作って,過日専門委員会と
しては評価原案を確定し,今日この親委員会の方に提示しているという,第四段
階と言える所に立ち至っているわけです。
続いて評価結果の概況をご説明させていただきますが,学部と研究科がございま
すので,学部,研究科それぞれの全体的な状況と特徴的な評価内容というのがあ
ります。まず学部について説明し,次に研究科についてご説明したいと思います。
これが学部の全体的な状況でございます。私共の「法学系」の教育評価は,他の
教育評価もそうですけれども,評価項目は6項目,左から教育の実施体制はいか
にあるか,教育内容面での取組はどうか,教育方法及び成績評価面での取組はい
かにあるか,教育の達成状況はどうか,学習に対する支援はどうか,教育の質の
向上及び改善のためのシステムはどうかと,この6つの項目に従いまして,それ
ぞれの内容が各大学が設定した目的及び目標の達成に十分貢献しているのか,お
おむね貢献しているのか,あるいはかなり貢献しているのか,ある程度しか貢献
していないのか,全然貢献していないのか,そういう評価をまとめた訳です。こ
の数字は大学の数,学部の数です。教育の実施面で十分貢献しているというのが
1校,それからその項目でおおむね貢献しているのが5校で,縦に足すと全部で
6校,6学部になるわけです。これは後から出てくる研究科についても同じです。
その次が自己評価と比較した評価項目の水準の状況というものです。この数字は
学部の数ではなくて,十分貢献したものを1としました。おおむね貢献を2,か
なりを3としました。自己評価が左,それから評価原案がこのように書かれてい
ます。そうしますと,横と縦で見ていただきますと,○○大学法学部の自己評価
を見ていただきますとみんな自己評価1というものです。それからほかの所もそ
れぞれありまして,○○大学は全項目がずっと2で,4,5番目の項目は自己評
価3です。○○大学も2つの項目が3,4のほかは,2となっております。割合
自信たっぷりの大学と謙抑的な大学があることがおわかりいただけたのではない
でしょうか。これについて,こちらの方の評価はどうであったろうかということ
です。これは昨年の評価について,機構の評価は大学の評価の後追いではないか
という批判もありましたので,私共も少し気にした所でございますが,この青い
所は自己評価と比較して水準が上がった所でございます。3と評価している,こ
れはかなり貢献ですが,これからおおむね貢献に上げているという所が4か所あ
ります。自己評価と比べて下がったというところが3ヶ所ございます。○○大学
の場合には下がった所が2か所,○○大学の場合は上がった所が2か所,○○大
学も2か所,○○大学は1か所が下がったということで,あとの○○大学と○○
大学はどちらも自己評価がオール2でこちらの評価もオール2であったというこ
とです。私共誠心誠意評価した結果がこうだったと,これは意図的に動かしたも
のでは全然ありません。
次が,評価項目別に見た観点数,機構の評価は評価項目の6つはこちらで設定し
ており,それから,各項目ごとの要素というものもこちらですべて設定している
わけです。要素は1ないし3,1から3ある所と2しかないところもありますが,
大体2ないし3の要素を評価機関で設定している。その下が観点であり,機構が
観点例を示しますが,最終的には大学が自分で観点というものを設定する。そう
すると観点数が多いところと少ない所とある。観点数が多いというのは13,1
3の観点例をつまり要素1について7の観点例を大学が出した,要素 2につい
て2の観点例を出した,要素3について4の観点例を出した。だから13になっ
た。○○大学は2,2,2で6である。全部足していくと,観点例が○○大学で
は全体で33の観点例,○○大学は55の観点例です。これを6で割る,各項目
ごと6ありますから,33を1項目でいくつ観点を出したか平均値をとると5.
54となりまして,観点例が上から下に多くなっている訳です。 次に評価項目
ごとの水準値を見てみたいということでございます。これは既に先程出したもの
ですが,ここだけ取り出しますと,○○大学は教育の実施体制は十分貢献してい
る1と,これは2,1,1,1,2ということで,これは水準値でいきますと,
十分貢献しているを1,おおむねを2,かなりを3ということで数値的に表現し
ますと,1.33ということになる。○○大学はそういうことで言うと2.17
であり,そうすると水準値は真ん中の4校は全て2ですが,1.33と2.17
というのでかなり差がある。これがどういう意味かということは後でまとめて申
します。続いて研究科について同じご説明をさせていただきます。研究科につい
ても同じで6つの項目があります。学部がこの図ですが研究科と比較しますと,
研究科は学部と比べてばらつきが大きい。しかも学部の場合は第一段階と第二段
階,十分に貢献しているとおおむね貢献しているに重なっておりました。これが
先程の学部です。十分に貢献している,おおむね貢献しているに集中していたの
ですが,研究科の場合にはこのようにばらつきがある。そして,学部に比べて水
準が低い。こういう特徴的なのは,学習に対する支援が,学部の場合はこのよう
な数字はなかったのですが,大学院の場合には少人数教育というのが影響してい
るのではないだろうかと思います。これも学部と同じものを研究科について申し
ますと,これもやはり自己評価と比較して上がった項目と下がった項目というの
が,青が上がった項目,赤が下がった項目ということでこのようになっておりま
す。それから,これも先程学部で見たものと同じようなものですが,これは項目
ごとの観点例を研究科について比較したもので,やはり観点例が多い所と少ない
所がある。それが評価項目にどういう影響を及ぼすかということですが,これを
両方足して左右対照にさせてみますと,ご覧頂きましたように,一項目あたりの
観点数が少ないほど水準の評価値は高いという結果が出ております。高いといっ
ても7.7 と7.8でほとんど同じです。ここの間に差があるというのが,学部の場
合は非常にはっきり出ている。観点数が少ないというのは自分の得意な点,セー
ルスポイントだけ書いて他の所を出さないと結果評価が高いということです。研
究科の場合ですと,これはそんなにはっきりとしておりません。○○大学の場合
はそうですね,それから○○大学などははっきりしておりまして,真ん中の辺り
はあまり差がない所もありまして少しばらつきがありますけれども,○○大学は
観点数が高いけれども,大体対応する。それで,それを念のためこのような表に
してみますと,縦軸は水準が高いものから低いもの,横軸は観点数が少ないもの
から多いものとしますと,右上から左下に下がる斜線の周辺に集中しているとは
言えませんが,大体その傾向が見られるのではないかと言えるのではないかとい
うことです。
最後に評価結果を取りまとめるに当たっての課題でございます。大学が設定した
目的・目標を基準とするというのがこの大学評価・学位授与機構の評価の基本姿
勢ですが,これがどうも少し限界があるのではという感じがしました。最初によ
く言われることで私もそう思いますが,目的・目標を高く設定すると評価が低く
なるという問題点はやはり見すごせない。これについては,やはり大学のランキ
ングというふうに使われては困る。これは対外的に評価する時にはそういう評価
であるということを,十分にマスコミにも社会にも理解してもらわないと,これ
がランキングに使われてしまうことになるのではないかと思います。2番目とし
ては,目的・目標を大学が設定するわけですが,そういうものと関係なく評価す
べき観点がありうるということを我々はきちんと認識すべきだと思います。例え
ば,どういう目的・目標を立てようとも,図書館の例で開架をどうするか,学生
にどれだけやるかということは,目的・目標が高ければ自動的に開架時間が長く
なるとかそういうものではない。だからこれは大学として必ずすべきものみたい
なものがあるということを前提として評価するという心構えが必要なのではない
かと思います。第2番目の問題点として,評価の客観性,公平性の観点から私共
疑問を感じながら評価した所でございます。目的・目標を達成するのに十分貢献
しているか,おおむね貢献しているか,かなり貢献しているか,ある程度貢献し
ているかなどということ自身は非常に曖昧である。そのことはやはりちゃんと認
識する必要があるだろうと思います。そのことの故に評価チームは幾つも分かれ
ます。私共は3つですが,評価チームごとの共通認識というものの形成が非常に
困難でして,バランスを失するというようなこともあるのではないかという意見
があります。また,自己評価書の書き方というのも上手に書いてある,セールス
ポイントを落とさず書いてあるというものもありまして,そのことをちゃんとそ
ういうものであるということを認識する必要があると思います。先にも観点数の
表というのは数字で出ますのではっきり出しましたが,観点数の多寡ということ
よりも,セールスポイントをきちんと書くのか落とすのか,現地に行ってみたら
こんな良い所あるではないかということを感じることもありました。ですから書
面調査とヒアリングは重なり合っている訳ですけれども,やはり最初の自己評価
書の書き方というのはかなり影響するのではないかと思いました。それから,本
来取りまとめは形式的なことですが,来年はこうしたことがないように機構に注
文しておきたい。評価項目ごとの水準の判断の方法が後になって10月頃に提示
されまして,元にも戻って大混乱したということがありました。それから,施
設・設備判定の評価の項目が3つに分かれておりました。教育内容面での取組と,
成績評価面での取組と,学習に対する支援ということで同じ施設・設備というこ
とでそれぞれ評価項目が分かれているのは,やはりやりにくいのではないだろう
かということがございました。
また特記事項ですが,評価と関係なく法科大学院構想を非常に精力的に展開され
ておりまして,これを私共評価委員会でそれがいいとか悪いとか,どうしろとい
うのはおかしいのではないかということで,特記事項の所見は書くと申しました
が,記述は差し控えさせていただいたということです。
最後に一番大きな問題がこの問題でございまして,専門委員,評価員の負担が過
重でございます。これは会議の出席のための時間よりも,書面調査のために要す
る時間の方がはるかに多いと思います。ちなみのどれくらいの時間を使いました
かと言いますと,100時間という方もおられました。大学人はともかくも,一
流の企業人や弁護士などはタイムチャージで仕事している人です。大学評価とい
う事業がいかに大事なものであるかということは,私自身も大学人として十分知
っているわけですが,このようなシステムは研究者の使命感や犠牲的精神だけで
は決して長続きするものではありません。私ども専門委員,評価員だけではあり
ません。機構事務局の負担も相当なものだと思います。私の所に届くメールが夜
遅くであったり,送ってくる資料が私の所の本棚で3段くらい既に達しています。
大学側の負担も相当なもので,国立大学は法人化で非常に大変な時です。法人化
だけではなく,法学系大学院ではロースクール問題で対応に必死になっていると
きにさらに評価という作業をお願いしたということで,担当大学と共同作業だと
先程申しましたが,共同作業を1年やらせていただいてなんとかやりとげつつあ
るなあということであります。最後ですが,これだけ全員が苦労した評価結果が
本当に大学の質の向上に役立つのであればもって瞑すべし,しかし,本当に役立
つのであろうかということを端々に感じました。私は評価を受けた大学がその後
どうなったかというフォローアップを大学評価・学位授与機構の3年という試行
期間でなくとも,将来的にはフォローアップということを考えていただいて,大
学の質の向上に役立つことにでもなればあれだけ努力していただいた評価員,専
門委員の教職員の方々にも会わせる顔があると思います。以上です。

○委員長
法学系教育評価のご報告でしたが,最後に課題として大変重要な提言をされてい
ました。これは法学系に限定される問題ではなく,おそらく評価全体に関わる問
題ですので,これにはたくさんご質問,あるいはご意見等あるかと思いますが,
15時45分から16時にかけてご質問の時間を別に設けてありますので,そち
らでこの話題についてご質問を受けたいと思います。現在のところは法学系の専
門委員会のご報告について何かご質問があればお願いいたします。
(意見なし)
よろしいでしょうか。それでは続いて分野別教育評価「教育学系」専門委員会の
主査から報告をお願いいたします。

○主査
資料6−4をお手元にご用意下さい。見にくいかもしれませんが,簡単にご説明
させていただきます。最初の対象大学についてですが,ご覧いただくと6つの大
学のうち4つが単科大学です。単科大学の場合には全学テーマ別が2つあり,そ
れにこの教育分野の問題が絡んできたので,小さな大学で3つのテーマに挑むこ
とは死にもの狂いの努力であったと異口同音に申されたということをまずお伝え
しておきたいと思います。この6つの大学,○○大学はいわゆる新構想の大学で
ございますが,それ以外の大学は子供の数の減少に伴う新課程,ゼロ免課程とい
う新しい課程の設置等で,教育学部と申しながらもその目的や性格が教員養成を
主たる目的とするものと,それ以外のものとに分けられている。それを全体とし
て教育学系ということで括るということに見られる目的・目標の統一的把握の難
しさというのがございまして,そういうことが我々の評価にもかなりの影響をも
たらしたということをトータルの意味で申し上げておきたいと思います。2番目
に専門委員会における作業,これは先程法学系教育評価の主査がおっしゃったこ
ととほぼ同じでございます。ただ少し違うのは専門委員会の所に30人というの
は同じですが,評価員は6名ということで,法律の分野よりも多いのですが,こ
れは教育学部というのはそう大きな学部ではありませんが,その中に何でもあり
ということでミニ大学というようなことも言われております。それに対応するに
は多くの専門の方々が必要ということでございます。このチームの編成等は記載
の通りでございます。評価チームの編成でございますが,大学関係者がメインで
ございますが,加えましてジャーナリスト,企業人,教育行政関係者,PTA関係
者,それに現職の校長先生が加わり,このところが教育学系特有のチーム編成に
なろうかと思います。プロセス等は法学系教育評価の先生がおっしゃられたこと
とほとんど同じですので割愛させていただきます。主査はいろいろとご苦労の話
をされましたが,それはその通りでございますが,ただ機構の事務のみなさんが
血みどろの努力をなさったことと,我々のチームを非常に熱心にバックアップし
ていただいたということも確かな事実であることを付け加えさせていただきたい
と思います。
次に全体的な評価の状況ですが,法学系教育評価の主査の話にもありましたが6
つの項目でこういう評価がなされております。上が学部,下が大学院でございま
すが,ご覧頂きますと,十分貢献という所が欠落しているのが教育内容面と方法
です。学部,大学院共に。そして改善のためのシステムについても脱落している。
こういうことを見ると,教育学の領域は,教育の方法や教育の内容というものに,
意外と禁欲的な自己評価をなさったのか,あるいは紺屋の白袴的な所があるのか
そこの辺りは今は申せませんが,なんらかの意味があるのかなというような,あ
まり良い言い方ではありませんが,やや皮肉っぽい見方をなされているのではな
かろうかと思います。いずれにしましても全体としておおむね貢献という所に収
斂しておりまして,60パーセント台でそこに集っているということでございま
す。なお,上の方の大学の学部の教育の達成状況というところですが,真ん中の
3,かなり貢献というところに大きな数が固まっておりますけれども,これは理
由が2つありまして,一つは後で説明しますが新しい教員養成制度法案が平成1
0年度に改正されまして,まだ卒業生を出していないというところが一つの問題
点です。もうひとつはアウトプットで評価すると言う点がございますので,どう
しても今日のような状況では教員の就職率が思うに任せないということが影響し
ているというようなことになろうかと思います。大学院は,現職の教員がかなり
大学院に行って学んでいるというようなことがございまして,若干その辺りの違
いが出てきているのではないかと思います。
次に特徴的な評価内容というような所ですが,おおむね自己評価と同様な評価結
果となっておると言っておりますが,自己評価との違いですね,実は学部に関し
ては上がったのが2,下がったのが11ということで,大学院に関しては自己評
価で上がったのが2,下がったのが7ということで,2段階陥落というようなも
のもありました。
そういうのを全体で申しますと,学部でいうと40パーセント,大学院で言うと
25パーセント程の上がり下がりがあったようです。これが数量的なことでして,
先程主査が数量的なもので判断することの問題点をご指摘になられました。その
通りであると思います。ただ,数量的なものでだけ申し上げますと自己評価に引
きずられているという風評に対して一種の数量的な側面からの回答ではないかと
思います。それから,その次にまた,主査が大変的確な言葉で自信たっぷりの大
学と禁欲的な大学があると言いましたが,私の所もそう言えるかと思いますが,
制度面で言いますと,上の方ですが,大学によっては大学の設置の趣旨を活かし
て云々,つまり目的大学ということを鮮明に出せる大学,特定の名前を申しませ
んが,それと教員養成大学の置かれている環境から,それに厳しく対応しようと
いう大学の姿勢により,自己評価それ自体に違いが出てきて,さらにその後にも
違いが出てきているということだろうと思います。そうなってきますと,評価の
問題はかなり個別,具体的に考えていかなければならないという側面も否めない
のではないかと思います。
最後に評価結果の取りまとめにあたっての課題と対応ですが,教員免許法の改正
云々,これが完成年度を迎えていないということで先程申しましたので,1番目
はそれで終了します。2番目は青山主査がご指摘の通り,施設・設備が3つの項
目,教育内容,方法,支援と分断して出てくるのでなかなか書きにくかったので
はないかということです。3番目ですが,大学院と学部はともに施設・設備や改
善のシステムについてはほとんど同じような書き込みがなされているということ
でございます。そういうことから今後の課題としまして,項目あるいはその他の
分類の仕方及び要素,観点の書き方にさらに一段と改善の努力をお願いできれば
と思います。なお,最後になりますが,教育学関係では12月1日に国大協の教
員養成特別委員会と,日本教育大学協会の共催で,機構が行った教育及び研究の
領域の評価についてシンポジウムを開催いたしました。私も参加しましたが,い
ろいろ議論がありましてそれはそれで非常に有益でありました。そこでまもなく
200ページほどの報告書が出てくると訊いておりますので,機構の方でその報
告書もご参考いただければということを付け加えさせていただきたいと思います,
以上です。

○委員長
ただいま主査からご報告がありました内容にご質問,ご意見があればお願いしま
す。
(意見なし)
よろしいでしょうか。それでは分野別教育評価「工学系」の主査からご報告をお
願いします。

○主査
それでは「工学系」教育評価についてご報告申し上げます。まず最初に今回の評
価の視点といいますか,期待される効果ということで,機構から予め最初にお話
しがあったのが,大学の改革・改善の支援とか,大学の実状の把握とそれを社会
に公表していく,さらに評価技術や評価方法のレベルアップといったことがあり
ますが,結果的といいますか,工学教育部門ではさらに独自の効果,多様化を促
進するという効果が必要であるように思います。
私共の作業のだいたいの内容ですが,工学というのは非常に広い範囲がございま
すので,最初は専門委員会におきまして機構の評価方針をきちんと理解するとい
うこと,それから実施要項や手引書等の審議,これは他と同様でございます。そ
れから今年度に入りましてから大学側に目的・目標の事前調査,それから自己評
価書を提出してもらって書面調査をする。それから何回も会合をやる趣旨の一つ
には,評価の水準をある程度揃えるということもございますので,委員の研修等
を兼ねるということでございました。それから評価チームごとに検討を行う。そ
れから最後に訪問調査を行ってそれまでをまとめるということでございます。
今回,工学系で教育の評価を行った対象校は全部で6校です。大規模な大学で大
学院重点化が行われている大学が1校,中小規模でいくつもの学部がある総合大
学が3校,工学系の単科大学が1校,それから工学系には少し異なる大学,技術
科学大学と呼ばれております大学が1校。これは主として高専の卒業生を第3学
年より採ること,もう一つの特色が大学院への一貫教育を行っていること,この
ふたつの特色があります。それから委員会の構成及び開催については30名の委
員の方に集まっていただいて8回開催しました。評価チームは10名ずつ3チー
ムで,2校ずつ担当しました。それからチーム別の会議を各3回開催しておりま
す。そのほかに評価チームに主査,副主査を決めまして,主査会議,副査会議も
3回開催して,チーム間で差異ができるだけ少なくなるようにしました。
結果はこれまで他の分野でお話しがありましたのと同様のことをやっております。
左の所に水準の記述がありますとおり,1から5まで十分から貢献していないま
で,それから上半分が学部,下半分が研究科で,それでご覧頂きますとおおむね
貢献しているという所と,かなり貢献しているという所に集中している。多少,
数で上が多いとか下が少ないとかございますけれども,集中をしていることがお
分かりいただけると思います。総まとめをしてしまうとそうなるのですが,細か
い項目や要素の所まで下がってみますと,例えば十分という所とか,かなりやお
おむねの所がとりまとめるとおおむねになってしまうということがあって,細か
い特徴がやはり消えてしまうという所があります。できるだけ大学の特色を出し
ていくためにはこうした細かいところもお示しした方がいいのではないかと思う
のですが,いかがでしょうか。
これは本来お見せするものではないのですが,審議の中途段階で大学が自己評価
の段階ではほとんど十分と評価しております。第1の所です。ところが書面調査
では,委員の方がなかなか厳しくて,2段階一挙にほとんどの所が落ちてしまう。
ところが実際に訪問調査をいたしてみますと,また復活をして,訪問調査の結果
ではまたおおむねと段階が上がるというようなことがございます。これは訪問調
査がいかに大切かを示しているのだろうと思います。
各大学の改革・改善の動機ですが,これは他の分野と同様に例えば独立行政法人
化への対応とか,大学生き残りへの模索,いろいろ動機がある。ところが工学系
の教育だけはさらに特別な事情があって,3番目の所に書きましたJABEEへの
対応とか,技術者教育の国際対応です。国際化への対応というのが非常に大きな
動機となって,1998年度からこういう機運が盛り上がって1999年に
JABEEという新しい組織ができておりますが,この段階から各大学でいろんな
対応がなされている訳です。これが大きな動きと申しますか,大きな動機付けと
なっております。
それから教育体制の改革へ向けた取組について,対象となった6校について見て
みますと,ほとんどの大学で非常に多様な工夫がなされております。詳しくは報
告書の方をご覧いただきたいと思います。ただし,各大学を訪問していろいろ拝
見しますと,学部とか専攻により非常に温度差が大きいということも分かります。
それから工学系の非常に強い特色として,学部と修士の一貫教育というものが意
識して行われている。専門分野に細分化してきた教育が,例えば流動型大学院と
いうような,別な呼び方をしている大学もありますが,いわゆる専門横断型とい
うものをどういうふうに教育に取り入れているか,そうした試みがたくさんござ
います。また,工学系では大学院進学が非常に定着している。特にいわゆる修士
課程,博士前期課程までです。したがって評価もそうした視点で見なければなら
ない。大学院進学が定着はしておりますが,しかし博士後期課程についてはまだ
いろんな模索が続いている。未完成の状況にあるということが感じられるという
ことでございます。
教育内容の取組という所ですが,ほとんどの大学と申し上げていいと思いますが,
いわゆる創成科目といいますか,日本の大学の大きな欠点と指摘されてまいりま
したオープンエンドな課題にどう取り組むかということが,意識をされて取り上
げられて,多くの試みがされているという状況であります。同じような視点で旧
来の分野に限定されないで,それにまたがる科目を各大学とも設置している。そ
れからJABEEが刺激となって技術者倫理の教育や発表力を重視するとか,デザ
インの重視,それから技術革新への対応,それから産業界からの情報をいかに組
み込むかという所が各大学に見られます。
それから教育方法や成績の評価法での取組について云々ですが,各大学のシラバ
スを詳細に拝見しましたが,充実してきております。それから成績評価をできる
だけ客観性を持たせる,この取組は試みは行われておりますが,まだちょっと十
分ではなかろうと思われます。それから入学方法の多様化というのは,各大学と
も意識しております。多様な入学方法で多様な人を受け入れたいということであ
りますが,入学した後のことについては,みんなこのとおりいい成績をとってお
りますという画一的な評価がほとんどで,せっかく入学した多様化した学生をど
う多様化した評価をするかというのが十分ではない。それからファカルティ・デ
ィベロップメントの意識は非常に上昇しております。工学系に関する限りはどこ
でも非常に熱心な取組がなされている。しかし,例えば学生のアンケートをとっ
たり,その下にありますような学生の意見を汲み上げる,卒業生や外部の意見を
できるだけ反映させることについては,それを現実にどこまでその結果を活かし
ているかということをチェックすることについてはまだかなり改善の余地がある
ということです。
教育関係に関する施設と学生支援ということで,一番大きなことの一つは,学部
のほうはかなり充実しておりますが,大学院用のスペースをさらに充実させる必
要がある。それから,予算要求ということに集中されておられるような印象を受
けます。それから図書館の開館時間の延長,これは図書館だけではありません。
他のいろいろな施設が,特に工学系の場合,特に大学院の場合には,夜間も学生
が学内におりますので,24時間開館している。そういうことに非常に意を用い
ていることが分かりました。それから実験・実習の安全面という方の配慮は各大
学では今一歩という所が見られます。それから奨学金には学校間でやはり少し差
があるということが分かります。それからTAとかRAの教育への貢献,これは
非常に大きな効果を上げております。
自己の大学が設定した目標の達成状況というのは,一言で申せばおおむね目標を
達している,これは単位の取得状況や各科目の取得状況,進学や就職の状況,卒
業生からの評価,満足度から見て言える訳ですが,非常に意欲を燃やして産業界
の要望を取り入れようとしている割にはまだ産業界の見方には厳しいものがある
ように思われます。教育内容や方法,それから施設,特に教育用の施設,それか
ら目標は次々と各大学で設定されておりますが,それに期限が付けられていない
といったご指摘が企業,産業界からございました。そういったことから,まだま
だこういう面は意識して改善していく必要があるかと思います。最後に時間にな
りましたので,専門委員会における意見の例を少しご紹介申し上げたいと思いま
す。専門委員会はさっき申し上げた30名の方が全国からお集まりいただいた訳
で,産業界からおいでいただいた方も含めて非常に熱心なご審議をいただきまし
た。ご熱心なだけに思い入れも激しくて,こういう評価のやり方等についても
様々なご意見がありました。全部そのままお伝えすると差し障りがあるかもしれ
ませんので,少しまるめてありますが,幾つかをご紹介申し上げます。今後もこ
の評価結果を活用へ結びつけ,それがもっと見えるようにしていただきたいとか,
国立大学の法人化の問題等に絡んで今回の評価が継続して行われないのではない
かという懸念をお持ちの委員からも,それでは今回は無駄になってしまうのかと
か,こういうようなご意見がありましたり,評価方法につきまして,特に大学側
が設定した目的・目標に対する対応で良いのかということ,それから結果の表現
の仕方,これは他の分野でもあったとおり,これについては強いご指摘がありま
した。それからマスコミ等興味本意の取扱いへの対応を十分考えて頂きたい。そ
れから委員の負担,これも先程お話しがあった通りでございます。これからさら
に対象大学が多数となるとのことで,強いご意見がありました。その他,これは
ダブっておりますが,評価方法についてとか,大学教育の現状に対して科学技術
の知識が拡大していくことについての対応をどう評価していくかということも数
点ございました。詳しくは報告書をご覧頂きたいと思いますが,工学系教育分野
については非常に大きな改革のうねりのようなものが感じられます。ただその効
果とか結果というものについては,まだちょっと見えてこないということが一言
申し上げられるかと思います。

○委員長
今のご説明についてご質問ご意見等ありましたらお願いします。
(意見なし)
ちょっと私はご質問したいのですが,一つだけなのですが,温度差という御発言
がありましたが,これは具体的にどういうことですか。

○主査
温度差という言葉を使いましたのは,学部の中に学科がたくさんの学科がござい
まして,例えばある大学の例で申しますと,ひとつの学科はこういう改革に非常
に熱心で,さっき申し上げましたJABEEの審査も率先して受けるとかシラバス
の改革なども率先して行うとか,それを反映させて学科の教育内容を改革してい
るとか,そうしたことにに熱心なのですが,他の学科は学部レベルで決まったこ
とはやっておられるけれども,そういう積極的な多様な対応はほとんど見られな
い。そういう風に差が大きいということでございます。

○委員長
ありがとうございました。いかがでしょうか。他にございませんでしょうか。
(意見なし)
それでは,これは今まで時間があまり無くて十分なご質問がいただけなかった訳
ですが,全般的なあるいは個別の部分でも結構ですので15分ほど質問の時間を
取りたいと思います。

○ 法学のご説明でちょっと確認したいだけなのですが,観点の設定についてご
説明では大学の設定した観点というご説明をされたと思いますが,制度としては
当然目的・目標に即してやるわけですが,評価者の方でそれが適切かどうか設定
し直してやるという原則ですので,それは結果として大学が設定したものと同じ
になったのかもしれませんが,評価者の方でそれが適切だということで設定した,
あるいは数が一致しただけだということの確認をしていただきたいと思います。
もう一点は,ミニマムスタンダードの関係ですが,当然全ての目的・目標の立て
方が明確にある訳ですから,とにかく一般的に法学教育,その分野の教育として
目的・目標が設定されているわけですから,そういう訳では法学教育あるいは大
学教育としてのスタンダードは入っている訳ですから,それが評価できるような
評価観点を考えるということで,評価者は大学の目的・目標に即しますが,即し
たとしてもミニマムスタンダードの部分というのは考慮された評価者の観点設定
はされるわけです。その結果を踏まえたということになりますので,ミニマムス
タンダードとの関係はそのように整理できるのではないかと思います。前者のと
ころは特に確認していただいた方がいいかと思います。

○委員長
いかがでしょうか。

○主査
第1点の観点ですけれども,大学評価・学位授与機構がお示ししたのは観点例だ
と思います。その観点例に従ってそれを全て採用するかどうかは各大学にお任せ
している。その観点例にないものを出すということももちろん自由であるという
事ですので,項目と要素はこちら側で完全に決めましたけれども,観点例につい
てはある程度大学の自主的判断に任せているというのが私の認識です。私共はそ
のようにやったんです。だから観点例もあれだけたくさんの観点例を出したり出
さなかったりする。もちろん観点例がこれは十分ではないということがあれば,
これに追加して欲しいということはもちろん申しましたけれども,もし追加しな
ければ,それはそういうことで私共は評価しましょうということですから,こち
らが押しつけた観点ではないというのが私の基本的な認識です。
それからあとの点は,これは意見ですので私はあえてお答えすることもないと思
いますが,ご説明はおっしゃる通りなんですが,私実際やってみると,それがど
うも理屈倒れになっているんではないかと,実際やってみて感じました。

○委員長
他に何かございますでしょうか。

○ 社会との連携という問題についてでございますが,参考資料3−14の1番
最後の下に改善を要する点とか問題点というのが非常に少ないわけですが,社会
に対する貢献というのは相手があることですが,相手が良くできているので問題
点はないであろう,改善する点はないであろうと,こう評価していると考えてよ
ろしいでしょうか。

○主査
改善点の取組につきましては,このフォーマットそのものにも問題がございまし
て,この評価項目の3の改善点だけを取り上げて,その数で評価できるような枠
組みになっていなかったんではないかと思います。実績及び効果というような中
にかなり改善点が盛り込まれているというようなことも含めて,全体として評価
いたしましたので,形としてこのようになったのではないかと思います。ですか
ら,「数を合わす」ということについては,この改善点については積極的にはやっ
ておりません。

○委員長
他にありましたらどうぞ。

○ 質問ではなく私のコメントのようなものなのですが,実は評価のこうした作
業を私は直接ではなくこうして見させていただいたときに,先程法学系教育評価
の主査がおっしゃったようなことが出てくるのではないかと思っていたのですが,
結論としては非常に明確になって数字として出てきたのではないかと思います。
他の先生方も同じようなことをおっしゃって,試行期間としてはこれは非常によ
かったのかなと。いろいろな観点の問題点が出てきましたし,いろんな教育なり
施策が大学の中でされていることがある程度見えてきたということで,そういう
意味ではよかったのではないかと思うのですが,先程おっしゃったように評価が
ほとんどが1,2位で固まっているということは,今の大学はそんなにすばらし
いのかと。極端な言い方をあえてさせていただくと,あまりすばらしくないと思
っていながらそれで評価が1とか2とかで固まっているというのは,ある意味で
はものすごく絶望的なことで,もっと志を高く置いてそれに対してまだ行ってな
いからまだ頑張ろうというのが本来の目的だと思うのです。最初のスターティン
グポイントからの違いでこういう結果が出たと思うのですが,ぜひ今回やったこ
とをベースにして,次にそういったことが明確になる方法というものを検討して
いただきたいと思いますし,私も非常に微々たる力ですが一緒にやらせていただ
きたいと思います。ただワークロードがすごいということが非常に分かりました。
紙だけですごいですね,コピーだけでも大変です。そこの所をなんとかしないと
継続性がないのではないかという感じがしました。今日は変な意味ではなく,す
ごく勉強させていただきました。

○委員長
今のはご意見というかコメントだとおっしゃっておりましたが,機構の方で何か
ございませんでしょうか。

●事務局
個人的には,全体の評価を見ていて,非常に日本人らしい評価だと思いました。
大体2番目か3番目に収まっているという点です。しかしながら,いまご指摘が
ありましたようにずいぶんいろんな問題点が出てきましたので,これを土台に次
のステップに進むというのがいいのかなと思っております。それから先程工学系
教育評価の主査がお触れになったように,継続性の問題があります。今後どうす
るかという問題ですが,現在は試行の段階ですが,本番は全ての国立大学の全て
の分野についてやるわけですからとても,現状のような作業はできないというこ
とで,私共としましては継続性を保ちながらワークロードをいかに減らしていく
か,それでなおかつ,世の中の信頼を得るかという,この非常に難しい命題を突
きつけられております。その辺のところについては今後考えていきたいと思って
います。機構長として非常に気にしていますのは継続性の問題でして,皆様これ
だけのことをやっていただいて,これを無にするということは絶対にできないと
考えております。

○委員長
他に何かありませんか。

○主査
今回は私共審査を実施する側が仰せつかったのは,あくまでも大学が設定した目
的・目標について評価をしようということです。そこで私は非常に惜しいことだ
と思ったのですが,一つの分野で30人も非常にベテランの方が集まってもらっ
て,ここはこうした方がいいんじゃないですか,こうやるともっとよくなるとか
言いたいんですが,機構の方から注意されまして,ですから2や3の所に集中し
てしまうのはやむを得ないと思います。ですから今後ぜひこの委員会でよくお考
えいただいて,いろんなベテランの知恵などが,そういう所に反映できるように
していただきたいと思います。

○委員長
この問題はおそらくかなり長期にわたって行われる評価の中で考えていかなけれ
ばならない問題ですが,委員は交代しますので持続的にそれを考え続ける人とい
うには機構の職員の中の事務しかおりませんので,これは忘れずに受け継いでい
ただきたいと思います。

○ 一般論として2と3に集中するというご指摘なんですが,私が参加しました
教養教育について,主査からご報告があった5の資料にある水準で見ていただき
ますと,1はほとんどない。それから教育効果,これは統計資料等でご説明があ
ったように十分であると判断できないので水準がさがってきております。効果が
必ずしも低いという訳ではないのですが,分析の仕方としてはご覧のように3と
4といった所にもありますので,一般論としてあるかもしれませんが,必ずしも
全部が下にわたってません。それから法学についての観点数と評価の結果という
のが図のような形であることを申されましたけれども,これが一般的なのかどう
かも法学系委員会でどのような議論があったのかということもありますし,それ
を一般化として議論する必要はないと思われます。

○委員長
他にございませんか。

○主査
ちょっと補足して付け加えます。教養教育については,評価員,専門委員と合わ
せますと100名ぐらいで大変大がかりでございます。それぞれ審査に係ってい
ただいた感想や問題点を現在集約中でございます。それで取りまとめまして,あ
る意味では機構への遺産として残していきたいと思っています。またそれが集ま
りましたら,次回の機会にでもご紹介できるかと思います。

○ 感想的に申し上げたいと思いますが,専門委員会の皆様,本当に大変な労力
と真摯な気持ちで評価に臨んでいただきまして,本当にご苦労様でした。私たち
は見て見ぬふりではなく,見なくて見たふりもできるのでございますが,皆様方
そういう訳にもいかないことで大変ご苦労なことだと思いまして,この評価を大
変信用したいと思いますし,またオーバービューという形で反映できるように委
員の一員として御協力させていただきたいと思います。私はまた,他の独立行政
法人の評価なども担当させていただいておりまして,分野は違いますけれども,
やはり優秀な所ほど目標・目的などを高く設定いたしまして高い課題を掲げて取
り組んでおりますが,そうではない所は目標を低く掲げてでもそれは目標は達成
したという結果となっておりまして,そうすると全て結果は同じ十分達成となる
わけです。取り組んでいる団体に対してはそれで評価してあげたということにな
るのかもしれませんが,やはりこの評価は取り組んでいる団体であると共に国民
に広く知らしめて,その団体がどういった活動をし,どういう取組をしているの
かを分かりやすく伝えていただくという使命があろうと思います。国立大学はこ
れから独立行政法人になるわけでこの評価が大きく反映されていくことになるの
であろうかと思いますので,大学に対しても理解できる形であるとともに,それ
が広く国民にとってもどのくらいがんばっているのかとか,どう点が評価できる
のかとかが分かる形で示してくれるとありがたいと思うんです。独立行政法人の
場合には点数なり段階では織り込めないものですから,評価委員からのコメント
のような形で特に優れた取組をしているところにはそれをメッセージという形で
伝えるようにしたりとか,もっとこうした方がいいというメッセージを書き込む
ような工夫をしているのです。先程おっしゃったように,この評価がこの評価だ
けで終わらないで,この担当する大学なりがもっとさらにいい取組に向かってい
くようにとの意味も込めても評価の方法を工夫していただければ,国民の一人と
してありがたいと思いました。特に教養教育などに関しましては,いま教養教育
の見直しということで,その効果はまだまだというご意見もあったようですので,
ぜひ今後どういうふうに改善されていったらいいかということについても併せて
討論されたらありがたいと思いました。

○委員長
ありがとうございました。ここで10分程休憩いたします。20分に再開したい
と思います。

(休憩)

○委員長
議事を再開します。それでは,分野別研究評価「法学系」の主査からご報告をお
願いします。

○主査
分野別研究評価「法学系」についてご報告申し上げます。資料4−6をご覧いた
だきながらお聞き下さい。評価対象機関は,国立大学の一橋,名古屋,京都,大
阪,広島,九州の6つでございまして,個人別研究活動判定表の提出があったの
は,合計331名ということになります。評価の実施体制としましては,研究評
価専門委員会の委員28名が3つの評価チームに分かれまして,各評価チームは
2機関を担当し,評価を致しました。部会は,一部学識経験者等を除きまして2
5名の専門委員と47名の評価員で7つの部会,すなわち基礎法学,公法学,国
際法学,社会法学,刑事法学,民事法学,政治学という7部会を設置いたしまし
て,対象機関に所属する教員の個人別研究活動業績をもとに研究水準の判定を行
いました。
評価項目は次の5つです。第1は研究体制及び研究支援体制,第2に研究内容及
び水準,これは個人別研究活動業績に基づく研究水準等の判定を含んでおります。
第3が研究の社会的効果,これも個人別研究活動業績に基づく判定を含んでおり
ます。第4は諸施策及び諸機能の達成状況。第5が研究の質の向上及び改善のた
めのシステム。以上5項目でございます。評価作業の手続きとしましては,専門
委員会を7回行っています。7月以降は3回となります。評価チーム会議は,3
つのチームごとにそれぞれ2回,評価チーム主査会議,副主査会議を2回,そし
て各チームによる対象機関のヒアリングを行うという形でやってまいりました。
評価項目ごとの水準の判断方法としましては,各機関が示しました観点ごとの分
析結果をもとに,要素ごとの貢献の程度を総合的に判断しました。それをもとに
評価項目ごとの水準をそれぞれ判断するということで,3段階の積み上げ方式で
総合的に判断するという形でございます。
OHPをご覧いただきたいと思います。評価項目ごとの水準の判断状況は,各機関
とも各項目につきまして,おおむね貢献している,ないし,かなり貢献している
という判定となりました。研究体制,研究支援体制に対しましては,おおむね貢
献しているが5機関,かなり貢献しているというのは1機関,諸施策・諸機能の
達成状況並びに改善のためにシステムにつきましては,おおむね貢献していると
いうのが4機関,かなり貢献しているというのが2機関となります。これを自己
評価における水準の判断と比較してみますと,自己評価と同一の評価に至ったも
のがそれぞれの項目ごとに4機関,3機関,2機関。それから評価チームの判断
の方が低かったというものが,2機関,3機関,4機関とこういう結果でありま
す。○○大学,○○大学については全評価項目について水準の判断が下がったと
いう結果になっておりますが,これは自己評価の水準の判断がかなり高かったか
ら,結果的に水準の判断が低下したと考えられます。特に○○大学については,
全評価項目について十分に貢献しているというのが自己評価でございましたけれ
ども,いろいろ問題点がございまして,おおむね貢献という判断になったわけで
あります。こういう結果になった原因の一つとしては,水準の判定の方法,すな
わち観点の評価,それからまとめた要素の評価,そして最後に評価項目の評価に
至るという水準判定の方法について,具体的に対象機関に開示していなかったと
いうことがあるように思います。この辺りは,平成14年度着手分からは改善さ
れているということです。
次に,研究水準の判定結果の方に移りたいと思いますが,判定作業の手続きとし
ましては,各部会2ないし3回,それから合同部会,主査会議を1回行っており
ます。判定方法は,いうまでもなく,関連領域の専門家によって研究の質を重視
して判定するという,いわゆるピアレビューの方法に拠っております。具体的に
は一人の教員の研究業績を専門領域が最も近い複数,具体的には2名,あるいは
分野がまたがるような場合には3名になった場合もございますが,これらの評価
者で判定をしました。平均しますと評価者一人当たりが10名の業績を判定した
ということになります。一名それぞれ5つの主要な業績を挙げてもらうという形
になっておりますが,この数に足りない人ももちろんおりましたけれども,約5
0に近い業績を各人判定したことになりまして,各評価者には大きな負担をかけ
るということになりました。
評価者の判定につきましては,まず個別に業績を判定していただきまして,その
上で評価者間の調整をしていただく。それから各部会において審議し,さらに合
同部会において審議をする。最終的には専門委員会において審議をするという形
で進めていきまして,最終的な判断に至ったという次第でございます。
研究の内容面の判定につきましては,独創性,発展性,他分野への貢献という3
つの視点から4段階の評価をしました。それから,研究水準の判定につきまして
は,この評価を踏まえまして,卓越,優秀,普通,要努力という4つの段階で判
定をしてございます。判定の手順につきましては,最初からこういう段階評価を
するというのはなかなか難しいので,手続的に一定の手順を追ってやるという形
で行えばある程度客観的にできるのではないかということで,7―1にあります
ように,相応という判断は割合やりやすいので,まず相応を基準としまして,そ
れより高い,低いという形で判断する。そして相応より高いと判断される研究業
績のなかで,特に極めて高いと判断される研究業績は特に高いと判定するという
手順で評価をしました。卓越の評価につきましては,何が卓越かということがな
かなか難しい問題です。特に法解釈学のような場合には,国際的基準と言いまし
ても結局日本の法律を対象にやっているわけですので,自然科学系のような国際
基準といったようなものは設けられないといったことがありまして,今回は学界
の上位5パーセントないし10パーセント位が一応の目安であるというくらいの
気持ちで判定いたしました。ただこれは,学界全体と対象機関におけるレベルと
が必ずしも対応する訳ではございませんので,もちろん対象となったものの内の
10パーセントという訳ではございません。なお,卓越の判定については,資料
の(5)の所ですが,各部会で審議された判定結果について合同部会においてさ
らに審議をし,特に「卓越」と判定したものについては,合同部会において当該
部会の主査が卓越と判定した理由を説明して,そこで承認を行うといった手続き
を踏んでおります。
研究の社会的効果の判定でございますが,これについては,法実務面への寄与,
政策形成への寄与,地域との連携協力の推進,著作物による人材養成や法的政治
的知識普及への寄与といった要素の視点から,3段階評価をしております。
次に研究水準等の判定結果ですが,OHPをご覧ください。評価項目2および3の
評価結果の中で,組織全体及び領域ごとに割合で記述をするという形で行いまし
た。「領域ごと」ということの意味ですけれども,当初「要項」では,基礎法学,
公法学,国際法学,社会法学,刑事法学,民事法学,政治学の7領域に分けて表
記をすることを予定していたのですが,それぞれの対象領域における該当者が比
較的少ないといったことがございまして,大きく法学と政治学の2領域で判定結
果を記述するということに変更いたしました。これは教員の個別評価が自ら明ら
かになるということを避けるようにするという趣旨でございます。割合の記述に
当たりましては,構成員の人数を記述するという形になっているのですが,平成
12年度着手の評価にあたり対象機関から,助手が多い所では割合が低くなって
不公平であるといった意見が寄せられておりまして,これを踏まえまして,構成
員の職種の内訳,すなわち教授,助教授,講師等の内訳についても記述をすると
いうことにしました。判定結果の全体的な傾向としては,各大学とも一般に優れ
た研究活動がなされていると言えると思いますけれども,特に○○大学,○○大
学では高い水準の研究業績が認められたということが全体的な印象でございます。
以上でございます。

○委員長
ありがとうございました。ただいまのご報告について何かご質問ございましたら
よろしくお願いします。

○主査
それから評価全体の問題点については,現在アンケート調査を各専門委員,評価
員に行っておりますので,次回にはご報告できるのではないかと思います。

○委員長
それでは時間がおしておりますので,次に分野別研究評価「教育学系」の主査か
らご報告をお願いいたします。

○主査
それではご報告いたします。評価報告はこちらのファイルにございますけれども,
資料6−7に基づいてご報告させていただきます。対象機関については,ここに
ございますとおり5つの大学と,メディア教育開発センターが大学共同利用機関
として1機関です。それらの機関で個人別研究活動判定表をお出しの方はちょう
ど800人となりました。
評価の実施体制としましては,専門委員会30人が3つのチームに分かれまして,
今の法学系と同じように,2機関ずつ分担しました。研究の内容の水準,社会的
効果について個人別研究活動の判定のために部会を編成しますが,これについて
は3つの部会を編成しました。教育学系と申しますか,教員養成を主といたしま
す学部の場合には,ご覧のように非常に広い範囲の先生方をお呼びしておりまし
て,広汎にわたる先生方で部会を編成いたしました。まず一つの教育学という部
会ですが,これは教育学,心理学,障害児教育学といった教育学関係の教員を対
象といたします。それから教科教育学1という部会でありますが,これは小中学
校の教科で申しますと,国語,英語,社会,数学,算数それから理科といった所
に対応しまして,文学・言語系,社会系,自然系といった内容の所です。いわゆ
る国語教育とか数学教育といった教科教育学,狭い意味の教科教育学の方々と同
時に,国語学とか物理学といったように,教科専門と我々は言っておりますが,
教科の内容にかかわる領域の教員も多数含まれる所でございます,むしろ数とし
ては教科専門の方が数が多い。それから教科教育学2という部会は,音楽,美術,
体育,保健,家庭科,それから技術といった所でございまして,そういった御専
門の先生方に集まっていただきました。こういった3つの部会を編成しまして,
評価員53名を加えまして専門委員の中から一部学識経験者を除く,29名と5
3名を合わせまして80名強の方々で800名の方を対象としました。大体平均
しましてお一人で20人位の人を対象としていただいたことになります。
3番目の評価項目については今の法学系と同じでございます。それから4番目の
評価項目毎の評価結果の概要でございますが,ここでは評価項目の2)と3)を
除きました1),4),5)についてですが,法学系と同様に評価項目ごとの水準
の判断方法ですが,3枚目にございますがこれに従いまして,まず観点ごとに,
それから要素毎に評価をいたしまして,それを積み上げまして,評価項目毎の水
準を総合的に判定いたしました。いずれも5段階でございます。
評価項目ごとの水準の結果が資料7の16ページの下の方に出ていますが,先程
の話にもありましたが,今示しておりますように2ないし3という所に集中いた
しました。ただ若干自己評価書と違う所がございまして,諸施策及び諸機能の達
成状況という所で,○○大学は自己評価では3となっておりましたが判定の結果
は2ということになりました。それから逆にその下の○○大学の方は自己評価で
は2となっておりましたが3ということになりました。それからその次の項目で
あります改善のためのシステムですが,○○大学が1という自己評価でしたが2
といたしました。それから○○大学が4という形でしたが5という形となりまし
て,異なった評価となりました。これは例えば1という評価がされておりました
けれども,これはご覧のように十分に達成しているということですが,問題点が
ない訳ではなく,問題点もございましたので1というのはいかがなものであろう
かということで,2という評価となっております。それから○○大学の場合は諸
機能の達成状況の所が下がっておりますが,幾つか取り組んでおられるのではあ
りますが,これはごく最近になってから取り組まれたとのことでまだそれほど成
果は出ていないのではないかということで2から3になっております。それから
逆に4番目の改善のシステムにつきましては,いろいろ勘案をいたしまして,か
なり貢献しているというところがよろしいのではないかということで,そういう
評価になった次第です。その次に研究内容の水準等の評価ですが,これについて
は資料6−7の2枚目の(1)の所に判定に用いた資料というものがございます。
代表的な研究活動業績5点以内,これが中心となりますが,それに特色,強調点
を書いていただいたというものです。それからそれに参考にするという意味で研
究業績一覧,それから個人別研究活動参考資料という形で,主要なものだけでな
く,最近5年間にどれだけ業績をお出しになったかを一覧として出していただき
ました。これはあくまで参考ということで,主要には一番目の代表的研究活動業
績5点以内を質的な判定資料として取り入れましたが,参考としてそういうもの
も出していただきました。
判定の方法は(2)の所にございますように,5点出されました物,それからそ
れについてそれぞれ説明の書かれた物を用いまして,資料の後ろから2枚目の所
にございます判定方法についてという所にございます通り,独創性,発展性,教
育実践への貢献,他分野への貢献とそれぞれについての判定をした上で研究水準
の判定をしました。その際に参考として先程申しましたように,全体的な発展の
数ということも検討しました。これらを合わせまして各部会,それから部会の中
で例えば教科教育1という部会の中で,文学・言語系,社会系など,それぞれに
どのような点を特に注目して評価するかというふうなことも考えていただいた上
で判定を決めたわけでございます。教育学系の場合には特に先程も申しましたよ
うに非常に広い範囲にわたっております。全く違う分野の領域がある訳で,例え
ば理科のある領域と英語のある領域と,どちらが高いかというふうなことを判断
することは非常に困難な訳です。そこで,一番最後のところに,イメージ図とい
うものが付いておりますのでご覧頂きたいのですが,一人の研究者を対象として,
あるいは一人の業績に対して二人の評価者が評価いたしますが,それと同時にい
ろんな分野の仕事がたくさん含まれておりますので,これらの間に公平な判定を
行おうということで,指数化ということを考えました。研究水準に関して,また
社会的効果に関して指数化して判定しようということを考えました。左から2つ
めの所に評価者というものがございますが,一人の仕事を二人で評価するわけで
すが,ここは一人ずつしか書いてございませんが,例えば評価者Aがある仕事に
ついて7点を付けている,Bの方も7点を付けている,Cの方も7点を付けてい
る,という7点をつけた仕事がそれぞれあるとして,いずれも10点満点の中で
7点ではありますが,Aが全体的に比較的高くて平均点が7.8点で,Bは平均
が5.5点で,Cが6.1点でということで,そうしますと7点ということの意味が
それぞれ少しずつ違うのではないかということで,これを指数にしました。それ
ぞれの評価者の平均点を100,大体お一人20件程評価されますので,この2
0件についての平均点をもちましてこれを100としまして,7点というのはど
れくらいに当たるかと,7.8点が平均点ですから,7点というのは90に当たる
と,それから5.5点が平均の方は7点は127に当たるという形で指数化しまし
て,それで一覧にありますように,この指数に基づきまして,大体100点とい
うのが平均点でございますから,この辺を大体相応ということになるのだろう。
もとより高い所,極めて高いとかいう水準が高い所があれば大体100点が並ん
でいればこの辺りの所が普通ということになって,125以上はかなり高い点数
になりますので,これをきわめて高いとしるように処理をいたしました。そうし
た処理に基づいて水準の判定をいたしました結果が今グラフに出ている所でござ
います。
それからご覧のようにメディア教育開発センターの場合には,全領域と教育学系
だけデータが出ておりまして,教科教育学1,2はブランクになっておりますが,
ここには教科教育学関係の教員がおられません。また,筑波大学につきましては,
教科教育学1の方はおられますが2の方はおられないということでそこはブラン
クになっております。判定の結果は,先程のお話にもありましたが,構成員の職
種の内訳とともに表記をいたしております。このようなやり方は研究の社会的効
果についても同様です。研究の社会的効果ですが,若干研究の水準が内容の水準
に比べて低く出ておりますが,これは大学の方に十分伝わらなかったのかもしれ
ませんが,それぞれの方がどちらかにウエイトを置いて自己申告をなさるという
ことがございまして,社会的効果の方にウエイトを置いて申告なさる仕事があま
り多くなかったことがございまして,意外と思われるようなものがかなり多くな
ってしまったということがございます。ここのところはもう少し評価の仕方を工
夫しなければならないのではないかと思います。いろいろと問題点等に関しまし
ては,今法学系と同じように評価員等にアンケートをとっておりまして,問題点
を整理したいと考えております。以上です。

○委員長
ただいまのご報告につきましてご意見ご質問がございましたらお願いします。
(意見なし)
よろしいでしょうか。それでは,続きまして分野別研究評価「工学系」専門委員
会の主査からご報告よろしくお願います。


○主査
それでは分野別研究評価「工学系」についてご報告します。資料としては6−8
を中心にまとめてあります。また参考資料1の9ページに「工学系」の5段階が
あります。その前に全体として工学系としての話をさせていただきますと,割合
と厳しく評価しようと進めました。よくやっておれば相応とか普通ということで
す。2番目は訪問調査を2泊3日で実施しましたが,これを非常に重要視してお
ります。それから各要素ごとに程度を評価する形で進んでおります。
資料別の順ですと1の評価対象機関の数ですが6国立大学,二つの旧帝国大学,
それから高等工業学校からできた特殊な大学,新制大学の宮崎大学,それから学
部のない大学院大学として典型的な大学院大学の奈良先端科学技術大学院大学,
それから大学の附置研究所としての東工大の精密化学研究所ということで非常に
バラエティに富んでおります。判定には,1287名の判定結果で非常に大部の
ものであったということです。
評価実施体制なのですが,これはそんなに他と違っておりません。研究評価専門
委員会は29名で,評価チームを3チームに分けて2機関ずつ,それから部会は
28名,これでは足りないので評価員を67名追加する形で,機械,電気,情報,
材料,化学,建設系に分けてやりました。個人別研究業績を基に研究水準等を判
定する作業を行いました。
3番目の評価の内容はこれは法学系,教育学系と同じです。2,3が研究に意外
と密接していること,1,4,5が組織としての貢献ということになります。
それから4番目が,評価項目ごとの評価結果の概要ということになります。評価
の作業の手順としては,専門委員会を8回,評価チーム会議,評価チーム主査会
議,それから訪問調査ということで行っております。評価項目ごとの水準の判断
項目ですが,法学系と違うわけではないのですが,観点毎の分析結果をもとに要
素ごとの貢献度を出して,要素毎の貢献度から評価項目ごとの水準を出したとい
うことになっております。
評価項目ごとの水準の判断状況なのですが,パワーポイントに示されている通り
です。おおむね貢献というのが1,4,5項目で4,6,2であり,かなり貢献
が2と4です。
自己評価における水準の判断との相違という所が出ておりますが,水準の判断が
上がったという所はありません。判断が同じもしくは下がったというところで,
○○大学,○○大学については,全評価項目について下がってしまったというこ
とになっております。特に○○大学では全評価項目について十分貢献していると
いう自己評価だったのですが問題点も認められたということで,おおむね貢献し
ているという判断になっています。その原因の一つとして,予め事前に水準の判
断方法が行き渡ってなかったからであろうというのが公式見解です。
次は5番目の研究水準等の判定結果の概要という所です。判定の作業手順,これ
は今までお聞きになった所と異なる所はございません。ピアレビューをやりまし
た。一人の教員の研究業績を2人の先生方に見ていただきました。研究内容面の
判定は,工学ということで独創性,有用性,新規性,発展性,他分野への貢献と
いうことで,この辺を重んじて極めて高い,高い,相応,低いの4段階の判定を
しました。最終的な研究水準の判定は,研究の内容面での判定結果を踏まえて,
全体としての水準を卓越,優秀,普通,要努力の4段階で判定するというやり方
をしております。
また,研究の社会的効果の判定も工学ということで,新技術・新製品の創出,技
術・製品等の改善,知的財産の形成,生活基盤の強化,地域との連携・協力の推
進,政策形成への寄与,国際社会への寄与といったこの視点から,極めて高い,
高い,相応と3段階の判定をしています。研究水準等の判定結果の状況なのです
が,機械,電気,情報,材料,化学,建設等がございます。卓越は大体10パー
セント位というところで,優秀があと30パーセント位,領域別にあえて言うと
そんなに大きな変化はないという見方ができます。その中でまたあえて言うと材
料系がちょっと頭を出しているかなという見方ができないわけではありません。
次に大学別の全体の研究水準表なのですが,卓越,優秀を足すと○○大の○○研
究所が非常に良いという見方も出ています。ただ研究だけをやる研究所というの
はここ一つなのです。あとはいわゆる研究科という所で役目が異なる。役目通り
に高いということができるかもしれません。これもまた少し凹凸があるというこ
とです。次は各項目別に機械,情報,電気,材料,化学,建築系という形で纏め
たものでございます。空欄の部分はそこの部分の研究者がほとんどいないという
ことです。それと小さな研究機関は非常に母数が少ないので,1,2など書いて
あるのがどれくらい意味があるのか非常に難しいところでありますが,ある一つ
の現状を示しているのではないかという気がいたします。
最後になります。工学系ですから,社会,経済,文化への効果,特に社会,経済
への効果もあります。こうやってみると,建設系が非常に貢献が高いということ
があります。先程,研究レベルは材料系が一見高そうではあったのですが,社会
貢献では最も低いということになるかもしれません。これもまた案外大事な指摘
をしているという感想をもっている次第です。大学別だとここもやはり○○大学
が非常によい形になっているということです。このように評価結果をまとめてい
ただいた次第です。
最後になりますが感想を込めて言います。まず1点目ですが,このところ非常に
よく組織単位を含めて工学系の取組が進んでいると言えます。でもやはり個人と
か専攻科中心で研究科という単位での取組はまだ若干少ないのではないかという
気がします。あとは若干感想になるのですが,工学系のこういう研究は費用対効
果によるのですが案外重要だということもあります。また,世の中にはインパク
トファクターとサイテーションというのもございます。それから工学系はインタ
ーナショナル的なものが非常に強いですから,絶対的な評価というものを,目
的・目標の中にどう考えていくか。現実には目的・目標との兼ね合いの中でピア
レビューが行われたのですが,私の個人的な意見としてはかなり絶対的な評価の
要素が入っているなという気がします。しかし,試行期間としては,かなりいろ
いろ積み重ねていって標準になればと願っている次第です。また,かなり多くの
過重労働など含めて様々な問題があるというのは間違いないです。以上です。


○委員長
ただ今の主査のご報告及びご提案につきまして,ご質問があればお願いします。

○ 今回初めて研究評価で訪問調査をされたと思うのですが,その効果ご意見あ
りますでしょうか。

○ やはり本当は書面調査だけでやりたいとの議論があったのですが,結果とし
て行ってみて分かったという部分があるから,併用しなければいけないんだろう
なあということなんです。ただ,全部見られる訳ではないのです。良いところだ
け見せていただいた所もあって,大体見て帰ると甘くなるというような話は伺っ
ております。

○委員長
他に何かありますか。

○ 研究評価の3つの領域のどちらでも結構ですが,この研究評価で初めて,あ
る意味では個人別の業績の積み上げをされている訳ですが,大学の教員の職掌と
して,教育活動,研究活動,さらにマネジメントなど様々な活動があると思いま
す。その辺りのシェアリングと申しますか,それで個人単位に一切そういう背景
なしにやられるということは難しい点など起こったかどうかということだけ,様
子をお聞かせ願えればと思います。

○主査
今言われたようなことを当然やらなければならないのですが,それは配慮しない,
配慮してはいけないという評価方法に今なっておりますので,今回やった範囲で
はトラブルが起きたわけではありません。ただ今後やる時には,その人が何割教
育に専念しているとか,アメリカなどよくやっておりますが研究に専念している
とか,アドミニストレーションに関与しているかというようなことを入れていか
なければならないという気がしております。ただそれ以上に皆さんのご指摘にあ
りますように,目的に対する評価をやるのか。こういう工学とか理学といったよ
うな国際的な面での絶対評価をやっていく方がはるかに重大ではないかと思いま
す。

○委員長
よろしいでしょうか。それではここで,これまでの各専門委員会からのいろいろ
なご説明について,全体としてご意見ご質問,あるいは個別のものでも結構です
のでご質問を控えておられた方も含めて,ご発言をお願いしたい。

○  休憩前に出た問題ですが,やはり研究評価の所でも絶対評価の目的・目標に
ついての問題が出て参りましたので言わせていただきます。法学系の教育評価で
主査からご説明がございましたが,私もそこに入れていただきました。私は他に
教育学系の研究評価と教育系にも入れていただいておりますが,法学系の所で申
し上げますと先程も出たことですが,機構側で観点を立てるというのは確かにや
っている訳です。例えば,観点が非常に少ない所と多い所がありますが,同じチ
ームがその多い所と少ない所を担当しています。多いところは元々多い訳ですが,
これでも観点が足りないということで機構側で8つも観点を立てて,それを足し
てやったりしています。一番少なかった所では,目的・目標の設定の仕方がさす
がに細かくて,これ以上細かくいくら解釈しても観点が立てられないような目
的・目標が立てられている訳です。こちら側も必死になってチームはやったので
すが立てられないのです。それで先程のようなことが起こっている訳です。そう
いう問題がある。機構の評価の趣旨が少し違ってきてしまっている。法学の方は,
ワーキング・グループを作って観点の検討を2,3ヶ月やったんです。ですから,
例示した観点としてはきちんと良いものを出してあるのですが,それにも関わら
ずこちら側の方ではそれ以上踏み込めないという状況があります。評価も2年目
で対象校の方もそれなりのことをやるようになってきているということで,何か
趣旨が違ってきているのではないかということがあります。問題提起的なことも
兼ねまして申し上げておきます。

○委員長
ただいまのご意見について何か関連したご質問等ありませんでしょうか。
(意見なし)
おそらく今の問題はこれから評価をしていく上で戦略に関わることなのですが,
これから検討していかなくてはならない課題の一つであろうと思います。今日は
全体とてのご意見を伺いたいのですが,今日のご質問に関連しなくても結構です
ので,何かございましたらよろしくお願いします。

○ もう今後の方向性まで含めた話になっているので一言申し上げます。評価の
ための評価ではなく,評価をしていく過程で大学自体に派生効果として活力が出
てきているはずなので,そうした観点も新たに入れていただけるのではないかと
思います。教育の効果というのはなかなか出しにくい所がある。ここの所が大学
評価の一番大きな課題として残されていくのではないかと思うのですが,これは
特記事項の扱いをどうしていくかということに関連していくと思います。大学に
よってはまったく別の観点で書かれていたものもありますが,大体おおむね大学
で評価しきれなかったメッセージとして書かれており,教育の効果とか大学が本
来目指しているものについての観点,それをどう社会が評価していくかというこ
とについての問題提起とも考えられます。またやはり国際的な観点についてです
が,大学の国際的な競争力がどうなのかということは問われてくる問題だと思い
ます。海外からの質の高い留学生が減っているということも大学によってはある
ようです。結局高い水準でという時には国際的な観点も含めて教育の効果につい
て検討する必要があると思います。

○委員長
他に何かありますでしょうか。

○ 法学系の研究評価をして切実に思ったことですが,今の国際的観点あるいは
国際的水準については,学問分野にあっては必ずしもこの観点の強調が適切では
ないということです。法学系については,例えば政治学とか,あるいは法学の分
野でも法社会学とかでは,割合に国際的視野で評価をしていくことができる訳で
すが,いわゆる法解釈学など,法学の中では主流を占めてきた分野では,日本法
の解釈を学問的にやっている訳ですので,そこで国際的とは何であろうかという
ことです。この分野で我々が非常に苦労したのは,国際的視点というのをどのよ
うに位置付けるかということで,結局はこの視点を薄めていくという方向になっ
た訳ですが,そういうように学問分野によって判断の基準は変わらざるを得ない
だろうと思っております。

○ 前回の委員会の時に大学の先生というのは評価する方は慣れてらっしゃるが,
評価されることには慣れていないということなので,そういう中でこうしたこと
が1回目,2回目となされることは非常に大きな変化だと思うのです。今回なさ
って大学自身が評価されることに対するアレルギーが薄まってきたのか,相変わ
らず評価というのは大変なものだというのか,評価というものがある程度別に悪
いこと,嫌なことというのではなくて,自分にとって自分を見直すいいチャンス
だというふうに,なかなかそうは思えないのですがそのように思うというような
風潮が少し出てくれば,もうちょっとやりやすくなるのかなと思いますが,先生
方はおやりになってどのような感想をもたれたのだろうというのが一つです。
もう一つは,これをどう次のステップに,そんなに先の話ではなくこれ自身をど
うするのかということが分かりません。例えば,マスコミに出すのか,出さない
のか,どのように出していくのかという話が2点目です。
最後に先程工学系教育評価の主査がおっしゃってましたが,評価をした中でいろ
いろなアイデアやこうしたら良いのではと言えることがたくさんあると言ってま
したので,そういったことが次の大学を良くする一つの知恵として,何か明文化
できないものかと思ったのですがと思ったのですが,その辺りのことでご意見が
あれば教えていただければと思います。

○ 工学系で実際の評価作業に携わりまして,7つの大学をお手伝いしましたが,
その中で特に印象的だったのは,外部評価を含めて様々に改革作業をやっている
ところは,結構ありますが,半分くらいの大学はやはり機構が発足して,第3者
評価が始まるということに対応するということが,非常に大きな契機になってい
るということを感じました。ですから,研究評価などでも訪問調査をして,最後
にあなたの大学はこうですというような評価の中間結果を伝え,一応フォーマル
な会を終わって,あと多少懇談的なことをやるんですが,そうすると非常に感謝
をされました。これを始めることによって,大学がどうこれからがんばっていく
かということを教官が,皆で非常に真剣に考えたというようなことを感想として
おっしゃるような学部長を始め,積極的な意見がありました。評価機構がこうし
たことを始めたという意義があったのではないかと思いますし,最近数年はこの
効果が非常に急速に広がっているのではないかと思います。

○ 先程,独立行政法人の評価の話がございましたが,今私は研究所におりまし
て独立行政法人になった所で評価される側なのです。評価は必ず大切なものだと
思います。ただ,先程私は少し申し上げましたが,本音を申しますと,博物館に
何人入ったといったような評価では研究評価は皆同じになってしまうのです。そ
れでこのようにすばらしい先生が評価に来てらっしゃるのに,こちらの目標に対
する評価しかやっていただけないのは全くつまらないです。何の意味もない。本
当に面白くないです。言えるはずなのに言わないのです。ところが,目的・目標
というのは研究では立てようがないのです。一番大切な研究というのは,何が出
てくるか分からない訳です。ですからここの評価は逆に,評価が大切で定着する
からプラスがたくさん出てくるのはまったくその通りなのですが,本当に今のよ
うな自己申告に対する評価だけをしていたらこれはかならず破滅しますよという
気がしてならないのです。あんなにすばらしい先生方を集めてそれだけで本当に
いいのかというのをやはりまじめに考えていただきたいと思います。評価される
立場から付け加えさせていただきます。

○委員長
今後重要なご指摘ですが,何かございますでしょうか。
(意見なし)
それではさきほどの機構のマスコミ対応についてお願いします。

●事務局
委員からの2番目のご質問についてですが,ほとんど全てを外に向けて発表いた
します。以前にご報告申し上げたと思いますが,記者クラブでのブリーフィング
は,当初30分の予定でしたが,実に2時間の質疑応答がありました。新聞記者
の皆様からダイジェスト版を出せという強い要求がありました。ダイジェスト版
では,せっかくやっていただいた評価の結果が正確に伝わらないということで随
分抵抗したのですが,結局ダイジェスト版を出さざるを得なくなりました。おそ
らく今回も同じようなことになるのではないかと思います。ついでにご指摘の一
番目のアレルギーについてですか,先程,発言頂きましたような御話が多少聞こ
えてきますので,その辺が多少救いとなっております。それから覚えておられる
かどうか分かりませんが,前回ある大学の医学部の教育の評価が悪いという結果
が出ました。当該大学の先生方としては非常にご不満がおありになったのですが,
ただ,その後,すぐ教育に対して再考され始めたということで,やはり評価は効
果があるのだと思いました。それと先程申しましたように,この試行のフォロー
アップもやらなくてはならないと思っております。私共平成16年以降は独立行
政法人としての国立大学の評価もやらされますので,果たしてリソースの関係で
そこまで時間が割けるのかどうか分かりませんけれども,何とかフォローアップ
の所まで行きたいと考えております。それから,これはこの評価の宿命的な問題
でありますが,我々がやる評価というのは目的・目標に応じた評価,つまり画一
的な大学を作るのではないという点についてです。つまり,平成10年度の大学
審議会の答申の副題,―競争的環境の中で個性輝く大学の育成− が目的となって
おり,それぞれに目的・目標を述べて頂いてと,それが出来ているかどうかを評
価するということになっているものですから,どうしても目的・目標というもの
を前提に置かなければなりません。そういう意味からすると,工学系研究評価の
主査が最後におっしゃられた点につきましては,まさに私共の評価のジレンマに
なっています。その辺については,評価の方法というのは進化させていくべきだ
と思いますので,折り合いをつけながらやっていかざるを得ないのではないかと
考えています。


○委員長
3番目のご質問は何でしたか。

○ 3番目は先程工学系教育評価の主査がおっしゃったように,様々なアイデア
や様々な良いことというのを今機構長がおっしゃったように,ここだけにしてく
ださいというのを何か言えなくてもったいないとおっしゃっていたので,それは
それとしてどんどん出せるような場というものがあってもいいのではと提案しま
した。

●事務局
私もそういった工夫が必要ではないかと思っていますが,難しい点もあります。
これはある大学で起きたことですが,現地を訪れた評価員で大変著名な学者の方
が,「お宅の大学のような一流の大学なら,こういうことやったらいいじゃない
か」ということを目的・目標を超えておっしゃって,これが大トラブルになりま
した。これは受ける方とやる方とのある程度コンセンサスがないと,なかなかう
まくいかないという典型的な例だと思います。ですからワンサイクルこういった
ことをやってみて,徐々に3番目,岸先生からご指摘がありましたが,そのよう
な点を加味していくということではないかと考えています。

○委員長
他に何かありませんか。

○主査
今の最後の点についてコメントがございますが,第一に評価に弾力性を持たせる
必要がある。これにはまだやり方に工夫の余地が非常にあります。例えば今回の
やったことの中でも,大学の主張を十分世間に知らせるということも大事なので,
今回のやり方のような目的や要素を決める点は非常に良いと思います。ただそれ
以外の点をくみ取るためには特記事項というのが今回一つの工夫でこれが生きて
いると思います。それからもう一つは,大学側の主張を評価結果と併せて公表す
るということが非常に重要で,非常に生きている点だと思います。それから第2
の点で申したいことは,評価について,評価の結果に焦点があまりに合わされ過
ぎているというふうに私は思います。様々な評価に私も携わってつくづく感じま
したことは,評価の半分のメリットは結果にありますが,あと半分は準備過程に
非常にあります。ですから準備をするプロセスが生きるような評価方法というも
のを考えるべきだと思います。

○委員長
大学評価委員会が発足したときに,日本では初めての試みだから時間をかけてや
るしかないということで皆さん発足したと思いますが,おそらく現在の段階では
皆それぞれ結果についても手続きについてもあるいは労力についても,いろいろ
小さなご不満というものがあるかと思いますが,こうして評価をする側もされる
側も含めて徐々に成長していくと申しますか,教養を深めると言いますか,そう
いうふうにしていくのが大事で,性急に皆が満足する結果というのはたぶん出て
こない。こういう努力を続けている内に少しずつ様々なことに目が開くようにな
るのではないかと思いますし,大学の水準,研究所の水準,学問の水準などはそ
れぞれの形で変わっていく可能性があるということに我々は希望を託していくし
かないように思います。まだ他に何かありますでしょうか。
(意見なし)
特になければ本日の審議を終了したいと思いますが,特にご意見がなければ今後
の評価結果については専門委員会の原案の通り了承をいただいものとし,各大学
等に評価報告書案を通知したいと思います。最後に,次回の本委員会は平成15
年3月25日(火)14時からこの場所である学士会館で開催したいと思います。
次回は意見の申立ての審議を経て,評価結果の最終的な確定を行いたいと思いま
す。以上で本日の内容を終わります。その前にちょっと申し上げたいのは今日の
会議ができたのは,専門委員会の大変なご努力があってのことで,専門委員会の
皆様に主査の方を含めて深く御礼申し上げたいと思います。ありがとうございま
した。


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