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                            第22回大学評価委員会議事録

1 日  時  平成16年1月27日(火)13:30〜17:00

2 場  所  学術総合センター  1113・1114会議室

3 出 席 者  
 (委 員)  青山(佳),青山(善),阿部,内永,岡澤,加藤,小林,佐藤,
       シェパード,清水,杉山,鈴木(清),鈴木(賢),田中,徳田,西野,
       マルクス,山野井,山本の各委員
 (専門委員会主査) 安藤,磯貝,猪木,太田,奥,田邉,野山の各主査
 (事務局) 木村機構長,荒船副機構長,福島副機構長,川口評価研究部長,
       栗城管理部長,馬場評価事業部長 他

4 前回の議事録の確認
 前回の議事録を確定版として配付した。

5 議  題
  (1)平成14年度着手の評価に関する意見申立ての取扱について
 (2)平成14年度着手の大学評価の評価結果(オーバービュー)について
 (3)平成14年度着手分の評価結果について

6 議  事
○委員長 ただいまから「大学評価委員会」を開催いたします。
 本日は,議事次第にあるとおり,平成14年度着手分の評価結果について,各専門委員会から原案の
報告をいただき,それについて審議し,評価結果を取りまとめたいと思っています。そういうことから,
本日はお手元に配付している座席表のとおり,各専門委員会の主査の先生方にご出席をお願いし,各専
門委員会での審議内容,手順等についてご報告いただくことにしております。主査の先生方には,多忙
のところご出席をいただき,ありがとうございます。各委員,各専門委員会の主査の方々には,本日は
長い時間の討議となりますが,よろしくご協力をお願いしたいと思います。

(1)平成14年度着手の評価に関する意見申立ての取扱について
(2)平成14年度着手の大学評価の評価結果(オーバービュー)について
○委員長 それでは,議事に入ることとしたいと思います。評価結果の審議につきましては,例年時間
が非常にかかりますので,本年はまず,「平成14年度着手の評価に関する意見の申立ての取扱」と「平
成14年度着手の大学評価の評価結果(オーバービュー)」についてご意見を伺うこととしたいと思いま
す。
 まずは,事務局からご説明をお願いします。

● まず,平成14年度着手の評価に関する意見の申立ての取扱につきまして,お諮りするものでござ
います。
 これにつきましては,13年度着手と同様の扱いで実施を考えております。趣旨としましては,評価
の結果が大学等の教育・研究活動の改善に役立てられること,また,広く社会に公表されるものである
ことから,評価のプロセスにおいて透明性を確保する,また,評価結果の正確性を確保した上で,確定
する必要があるということで,対象機関に対し,意見の申立ての機会を設けてはどうかということでご
ざいます。
 意見の申立てにつきましては,自己評価書,根拠資料,ヒアリングや訪問調査で聴取した意見の範囲
内で評価結果に対して,申立てができることとしたいと考えております。
 なお,機構の行う大学評価の内容,方法等につきましては,別途各対象機関に意見照会を行うつもり
でおりますので,この意見の作成については,今回は対象にいたしません。
 また,意見申立てがあった場合には,該当する評価を担当した専門委員会におきまして,その対応に
ついて検討を行っていただきまして,さらに本大学評価委員会において,最終的な審議を行った上で,
評価結果を確定していきたいと考えております。
 対象機関からの意見の申立てにつきましては,原文のまま評価報告書に掲載し,申立ての対応につき
ましても評価報告書において公表したいと考えております。
 スケジュールとしましては,本日のご審議を踏まえ,明日(1月28日)に各対象機関へ評価結果を
通知したいと考えております。意見の申立てにつきましては,2月27日まで,約1カ月の期限で照会
して,各専門委員会において検討いただいた上で,3月16日の本大学評価委員会におきまして,意見
の申立ての審議を行い,評価結果を確定していきたいと考えております。
 2枚目以降につきましては,作成様式と作成上の留意事項,一番最後の資料は,評価結果報告書の誤
字や脱字等によりまして,正確性を欠く場合には,連絡票により各対象機関からいただくことにしてご
ざいます。
 以上が,評価結果に係る意見の申立ての取扱についての案でございます。
 続きまして,平成14年度着手の大学評価の評価結果(オーバービュー)についてお諮りしたいと思い
ます。これにつきましても,基本的には13年度着手と同様に考えてございますが,趣旨としましては,
評価結果の全般的な傾向,あるいは各評価区分における審議の経緯,特記すべき事項等を取りまとめて
わかりやすく社会に示す。また,評価区分ごとに対象機関の自己評価や機構の評価におるけ問題点,あ
るいは困難性などを課題として明らかにし,評価における改善の取組の必要性を積極的に示す。これに
より,関係者に理解を求めていきたいということでございます。
 内容としましては,3の構成にございますように,評価における全体的な内容と,各評価区分ごとに
評価結果の概要と課題等を取りまとめて,記述するとともに,評価を担当いただいた専門委員会の委員
や評価員に対してアンケート調査を実施しまして,評価作業を通じて明らかになった課題等につきまし
て,さらには,試行期間における評価の課題等についても,記述することを考えております。
 2枚目の作成スケジュールでございますが,2月上旬までに専門委員会委員と評価員からアンケート
を提出していただきまして,2月下旬までにはオーバービューとして取りまとめ,3月には各専門委員
会でその内容を検討いただいた後に,3月16日の大学評価委員会におきまして,ご検討をお願いした
いと考えております。
 以上,資料2と資料3をご説明させていただきました。よろしくお願いいたします。

○委員長 それでは,ただいま事務局からご説明がありました平成14年度着手の評価に関する意見の
申立ての取扱と平成14年度着手の大学評価の評価結果(オーバービュー)についてのご意見をいただ
きたいと思います。よろしくお願いします。

 (意見なし)

 特に修正等のご意見がなければ,原案のとおり了承されたものとして,実施したいと思います。

(3)平成14年度着手分の評価結果について
○委員長 それでは,平成14年度着手分の評価結果につきまして,ご審議を願うこととしたいと思い
ますが,まず,審議の進め方について,事務局からご説明ください。
● 審議の進め方についてでございますが,資料4「平成14年度着手の評価結果(案)の審議の進め
方について」をご覧いただきたいと存じます。各専門委員会の主査からのご報告につきましては,質疑
応答含めて,時間を割り振らせていただいております。また,途中休憩を挟みますけれども,前半と後
半部分の終わりに,それぞれの部分の質疑応答を設けたいと思います。最後に,評価結果(案)全体に
対しての総合的なご審議をいただきたいと考えております。
 また,審議の状況によりましては,委員長のご判断で,途中の時間等を変更することもありますけれ
ども,大体このようなスケジュールでご審議を進めていただければと存じます。よろしくお願いいたし
ます。以上でございます。

○委員長 今のご説明いただきました審議の進め方で審議を行うことにしますので,よろしくお願いし
ます。
 続いて,評価作業を進めるに当たって,整理いただいた評価項目における判断の考え方についてご説
明いただき,ご質問をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

● それでは,資料5「評価項目における判断の考え方について」をご覧いただきたいと思います。こ
れは,今,委員長から申し上げていただきましたように,テーマ別,あるいはそれぞれの分野別の評価
項目ごとに水準の判断をしなければなりません。その判断をする考え方が過去2回の試行で,それぞれ
の分野,あるいはそれぞれの領域によって,どうしても差が出ているのではないかというご指摘を受け
まして,今までは,後にそれを調整するという作業がどうしても入りましたが,特に資料5に示しまし
たように,今回は各専門委員会で,この判断をどのようにするかということをかなりご議論していただ
いた上で,実施いたしました。その考え方は分野,テーマに共通しておりますので,簡単にご説明申し
上げたいと思います。
 全学テーマに関しましては,まず,観点というものがございます。観点の水準を積み上げていって,
各項目の水準を判断するという構造になっております。それから,分野別の教育及び研究評価に関しま
しては,まず観点があって,それを積み上げて,要素の水準を判断し,全体の項目の水準を判断すると
いう重層構造をとっております。したがいまして,項目,あるいは要素に関しましては,幾つかある観
点の水準を積み上げていって,どう判断するかということは,既に自己評価実施要項等で公開されてい
ることでございますが,問題は,その最初の観点,それぞれの観点をどのように考えたらいいか,この
判断を資料5にまとめさせていただきました。
 時間がございませんので,簡単にご説明いたしますが,多少考え方が全学テーマと分野別教育あるい
は研究評価で多少違う部分はございますけれども,むしろこれは表現の仕方ということで,基本的な考
え方は,共通ですが,テーマ別と分野別に分けてご説明させていただきたいと思います。
 お手元の資料5の2ページ目「全学テーマの各項目ごとの水準の判断の目安」につきましては,自己
評価実施要項等に公開されておりまして,基本的には,1つ1つの観点の判断をして行っていくことを
記載してございます。3枚目「評価項目の観点ごとの判断を行う際の考え方」でございます。それぞれ
の観点をどのように判断していくか,この観点は,基本的には3段階の判断をしております。すなわち
「優れている」「問題がある」「相応である」の考え方でございます。判断の目安として,例えばある観
点で優れているといった場合には,そこには非常に注目すべき取組があり,これが非常に優れていると
認められている場合,あるいは改善すべき点がそこに見出せない場合などを「優れている」と判断しま
す。逆の場合,非常に問題があるような場合には,「問題がある」と判断し,その両者いずれでもない場
合,一応期待される,ほぼ期待されるような取組が行われ,その結果が出ているという場合を「相応で
ある」という3段階の判断をして,それぞれの観点を積み上げていって,項目の判断をしたということ
です。
 それから,4枚目は,分野別の教育・研究評価の各項目の1つ1つの観点をどのように考えたかとい
うことをまとめてございます。全学テーマと分野別が多少違う点がございまして,分野別の教育及び研
究評価では,まず実際に行われている取組が,その目的,目標を達成する上で,期待されるレベルであ
れば,「相応である」と判断した上で,実際にその対象組織が置かれている諸条件を考慮しますと,期待
されるまでには至っていないというものは「問題である」と判断します。「相応である」と判断された中
で,さらにその目的,目標を達成する上で非常に期待される以上の成果,あるいは非常に期待されるよ
うな機能をしているということになれば,これを「優れている」という判断をしていくということをご
提案いたしまして,すべての専門委員会で議論していただきました。その上で,そのように判断してい
ただいたということでございます。
 それから,5枚目は,その積み上げていって,それぞれの項目が要素,あるいは項目をそれぞれ5段
階で判断していきますことをまとめてございます。これも自己評価実施要項に公表している内容でござ
います。
 6枚目は,その要素を積み上げ,項目全体の5段階判断をするときにどういう場合に5段階のどこに
するかということをまとめてございます。これも自己評価実施要項に記載されている内容でございます。
 7枚目,これは研究評価の中で,第2項目と第3項目は,「研究内容及び水準」と「研究の社会的効果」
を判定するという作業がございます。この判定をする場合にも,どのように考えていただきたいかとい
うことを,専門委員だけではなく,評価員の方にも研修の機会を通じて,お願いしております。その考
え方とは,水準を判定する場合に,大学教員としての水準に達している研究活動と判断できる場合を「相
応」とまず判断していただいて,その上で,水準に達していないものに関しては,「要努力」,あるいは
「低い」という判断をしていただきます。「相応」と,あるいは「普通」という判断された中で,その領
域で特に他に競争的な部分があっても,他と比較して,指導的立場にあるものを「高い」,もしくは「優
秀」と判断します。さらにその中で,その他の追従を許さないほど非常に先導的な,あるいは先端的で
あるというものを「極めて高い」,あるいは「卓越」と判断していただきたいということを,専門委員や
評価員の方々の研修でお願いいたしまして,今回はそのように判断していただいたわけでございます。
その判断の最終的な結果はそれぞれの主査の方からご説明があると思いますけれども,共通の部分はた
だ今ご説明させていただきましたとおりですので,ぜひご意見いただければと思います。よろしくお願
いいたします。

○委員長 ただいまご説明いただきました評価項目における判断の考え方について,ご質問がありまし
たら,お願いいたします。

○ 6ページですが,「「相応」あるいは「普通」とします。」となっております。あるいはという言葉を
使っていると,どちらを使ってもいいという意味にもとれますが,「相応」のほうがタイトルの「研究内
容及び水準」に関する評価の方法でしょうか。

● この「相応」あるいは「普通」というのは,「研究内容及び水準」の項目で使っている表現と,「社
会的効果」の項目で使用している表現が並んでいるとご理解して下さい。
 具体的に申し上げますと,」研究内容及び水準」の判定段階は4段階プラス1で,「卓越」「優秀」「普
通」「要努力」「該当せず」となっています。「該当せず」というのは,その判断項目にその研究活動は関
係ないということを意味しています。「研究の社会的効果」に関しましては,「極めて高い」「高い」「相
応」の3段階と「該当せず」と判断するとなっております。したがって,「相応」というのは,「研究の
社会的効果」という項目を判断するときに登場する言葉であり,「普通」というのは,「研究内容及び水
準」という項目を判断するときに登場する言葉であるということです。

○ 説明を聞いて初めてわかりましたが,判定をされた先生方に関しては,これはきちんと両者の区別
をされた上でやっておられるわけですか。評価者,あるいはその評価結果を伝達された側がわかるよう
に,ぜひ工夫をしていただきたいと思います。
○ 資料5は,過去2回の評価に基づいて,各評価チームの評価の判断がはっきりしないので,基準を
はっきりしてほしいという要求に基づいてできたのだと思います。今回はこの基準に基づいて評価をな
さったことは承りましたが,各大学等に,こういう形で評価するということは,自己評価実施要項で伝
わっていると考えてよろしゅうございますか。

● 例えば教育評価ですと,訪問調査のときに,このように判断しましたと申し上げましたし,全学テ
ーマ及び研究はヒアリングでございますので,その場で,こういう趣旨のことはお伝えしてございます。

○ わかりました。それでは,希望を述べさせていただきたいんですが,今回のこれから主査の方々か
らのご報告の中に,この基準に基づいて評価したということが有効であったかどうかということも,一
言おっしゃっていただければ,これから次の基準をつくっていくときに,役に立つのではないかと思い
ますので,その点を念頭に置いてご報告をしていただければ,大変ありがたいと思います。

○委員長 それでは,これから評価の概況について,各専門委員会の主査からのご報告をいただきます
が,まず最初に,全学テーマ別評価「国際的な連携及び交流活動」専門委員会について,ご報告いただ
くことにしたいと思います。よろしくお願いします。

○ 今の委員からのご質問についてですけれども,評価項目の方は,私が知っている限りは,わりと有
効ではなかったかと思います。機構のほうからも何かコメントございますか。

● 全学テーマの専門委員として,機構から参加しておりますが,水準につきまして,どのような経緯
で目安をつくったかといいますと,やはり国際連携の評価は初めてということもありましたので,自己
評価書が提出されてきて,一通り書面調査が終わった段階で専門委員会で定めたということがございま
す。目安はあいまいな表現になっておりますが,観点ごとの判断の3段階の評定などに関しましては,
このような事項があれば「優れている」としよう,といった形で定めておりますので,もちろん書面調
査やヒアリング等で大学の全体的なことを把握しております評価チームの印象は強く反映することには
なりますけれども,例年に比べて比較的評価のばらつきはあまりないという結果が得られているように
思っております。

○ では,全学テーマ別評価「国際的な連携及び交流活動」の評価の概況についてご説明させていただ
きます。テーマの概要ですが,本テーマでは,社会的に要請されてきております大学や大学共同利用機
関の教育・研究活動を基盤とした国際的な連携や交流活動について,教育面では,学生の相互交流や人
材育成を通じた知的国際貢献,研究面では,それぞれの分野において,世界をリードする研究の推進,
国際的な共同研究,個々の研究者の交流,さらに開発途上国等に対する国際協力への主体的な参画など
の活動について評価を行いました。評価対象機関は,全国立大学97大学,公立大学4大学,大学共同
利用機関14機関の計115機関でございます。なお,本年度に,国立大学のうち20大学10組が統
合しています。
 評価体制は専門委員25名に46名の評価員を加えまして,8チームの評価チームを編成して行いま
した。医学系,工学系,総合大学,単科大学など,大学の種別によって,4つの区分に分類して,それ
を2チームで担当するようにいたしました。なお,公立大学は1つのチームで担当いたしました。これ
は同規模,同種の大学間で評価のばらつきや偏りが小さくなるように配慮をしたものです。
 また,1つの機関について,昨年度までは,主担,副担,1名ずつでしたが,今回は主担1名,副担
2名を割当て,書面調査の当初段階から複数の評価者の意見を取り入れるように配慮しました。
 評価項目としては,「実施体制」,「活動の内容及び方法」,「活動の実績及び効果」の3項目で評価を
実施しました。評価に当たっては,国際連携活動には多様な活動が含まれるために,大学の実情に応じ
て国際連携活動の分類をしていただき,その活動の分類ごとに評価をした後,それらを総合して評価項
目単位の評価を実施しました。大半の対象機関は,ここに示されているような自己評価実施要項に提示
した活動の分類例をもとに,自己評価書を作成していましたが,約4割近い対象機関においては,一部
もしくはすべての活動の分類で,独自の整理がされていました。例えば地域との国際交流に関するもの,
対象機関の独特の活動,スポーツ,芸術などを分類したものなどが独特な活動の分類として整理されて
いました。機構の評価において,若干内容の重複等から活動分類を整理した機関もありましたが,基本
的には各対象機関の分類の整理に沿った評価を行いました。
 評価作業のプロセスは,まず,専門委員会において,評価作業マニュアルを作成し,7月と8月と2
回にわたって研修を開催しました。研修では,対象機関から提出された自己評価書をもとに作成したシ
ミュレーションサンプルを用いて実際の評価に即した実践的な内容の説明を取入れ行いました。評価作
業は,8月初旬から書面調査を開始いたしまして,まず,目的及び目標の確認をチェックシート1で,
また,自己評価書の分析をチェックシート2によって,主担,副担の複数の評価者が並行して分析を進
めました。その複数の評価者の分析を踏まえまして,主担が中心となり評価報告書のもとになります評
価シート作成の作業を行いました。9月の評価チームの検討を踏まえ,10月に評価チーム主査会議及
び専門委員会で横断的な問題点への対応を検討し,専門委員会で,その時点での評価の状況を踏まえま
して,観点ごとの判断の目安,評価項目ごとの水準の判断の目安を作成し,評価のばらつきが少なくな
るように配慮いたしました。なお,この書面調査段階で,9月に1回,ヒアリングの18日前に1回の
計2回にわたって対象機関に対して,分析に必要な確認事項等への回答を依頼しております。
 2ページに入りますが,11月中旬から12月の中旬にかけて行われたヒアリングでは,書面調査で
確認できない点等について,各チーム単位で専門委員会委員,主担の委員を含め,3名が担当し,1回
当たり120分程度で対象機関から意見を聴取いたしました。
 ヒアリングの各対象機関の回答等を踏まえて,各評価チームにおいて評価結果原案を作成し,12月
の評価チーム主査会議で検討を行い,1月16日の専門委員会で審議,決定しました。
 次に,評価結果の状況にまいります。評価結果は,評価項目ごとの水準の判断と,特に優れた点など
特徴のある活動の記述で示すこととなっています。「評価結果の状況」として資料に示されておりますの
は,評価項目ごとの水準の判断状況です。ご覧のとおり,各評価項目を通じて,「ほとんど貢献していな
い」の水準に該当した対象機関はありません。項目ごとに見ますと,実施体制の評価項目では,「おおむ
ね貢献している」が全対象機関の約25%,「相応に貢献している」が72%,「ある程度貢献している」
が3%となり,「十分に貢献している」の水準に該当した対象機関はございません。
 活動の内容及び方法の評価項目では,「十分に貢献している」が全体対象機関の約10%,「おおむね
貢献している」が約23%,「相応に貢献している」が66%,「ある程度貢献している」が1%となっ
ていました。
 活動の実績及び効果の評価項目では,「十分に挙がっている」が全対象機関の約21%,「おおむね挙
がっている」が約31%,「相応に挙がっている」が48%でした。
 「(3)評価の概要」として資料にありますとおり,各評価項目において,「相応に貢献している」と判
断した対象機関が多くなっております。特に実施体制の項目では,その傾向が顕著にあらわれておりま
す。この点については,オーバービューで詳しく触れることになると思いますが,現時点では,次の2
点をその原因として取り上げておきたいと思います。
 評価の観点や水準の判断に当たりましては,各対象機関で行われている多様な個別活動を,その重み
づけなども考慮しつつ,活動の分類単位,または評価項目単位で総合的に分析しておりますが,その過
程で国際連携活動の多様性によって,ごく自然の成り行きとして,水準が中間的な位置に落ち着く傾向
が生じたということがあります。
 また,実績・効果の水準が高くなっておりますように,個々の活動を見ますと,非常に優れた実績を
上げているものも見られますが,現在の大学では,全学的な活動という点で,実施体制面において,関
わりが薄いものが多く見られ,また内容,方法の項目の活動の計画という着目点においても,全学的な
関与の薄さがうかがえた点が少なからず影響していると思われます。
 最後に,特に優れた点及び改善を要する点等として記述された事例の幾つかを示しております。全対
象機関でのべ数440件程度を取り上げておりまして,各大学の国際連携活動の具体的な特徴が社会に
伝わるように配慮をいたしました。
 以上で全学テーマ「国際的な連携及び交流活動」の評価の概況についての説明を終わりたいと思いま
す。

○委員長 ただいまのご報告につきまして,ご意見,ご質問がございましたら,お願いします。

○ 2点お伺いしたいのですが,1点目は,連携及び交流ということになりますと,相手がある話です。
これは組織の場合もあるし,留学生のように個人の場合もあると思うのですが,自己評価書の中で,大
学側としての評価が出てくるときに,どのように相手がそれについて見ているかという判断が,自己評
価書等を出すときの前提として,そのことを論議した上で出されているのかどうかということについて
の評価チームとしての見方を教えていただけますでしょうか。
 それから,もう1点は,先ほど少しおっしゃられたのですが,全学評価でございますから,分野によ
って相当濃淡があるのではないかと思うのですが,「優れている」と言った場合は,例えば1分野であっ
ても,非常に大きな貢献,あるいはレベルが高いということであれば,それは「優れている」というこ
とにするのか,大学全体としてそのような風土を持っている,あるいは実績もそうなっているというこ
とで,評価されるのかという,この2点でございます。

● 最初の質問ですけれども,これは,機構の評価は,自己評価書の記述の根拠となる資料を求めてい
ますので,これがおそらく今回も大学側から「大変であった」と一番大きな意見として上がってくるの
ではないかと思いますが,我々は相当客観的な根拠資料といいますか,そういったものがないと,幾ら
優れていると言われてもだめだということで,そこを確認いたしました。
 ですから,例えば教育学生交流という活動分類におきまして,留学生の大学教育に関しての満足度を
アンケート調査でとっているのかどうなのか。それから,例えば実施体制の評価が全体的に低くなって
いますけれども,この中の観点に,活動目標の周知・公表というのがございます。これはやはり色々な
活動を進めていくために,どういう目標でやっているのかということを,いわゆるミッション・ステー
トメントなどの形でで知らせることが非常に重要なことなので,観点として挙げておりますが,大学と
しては,色々な取組を行っているという記述はあるんですけれども,どのぐらい伝わっているのかとい
うことを確認していますかと聞くと,途端に,そこまではという話になってしまって,十分「優れてい
る」と判断される観点が少なくなっているということがございます。その辺に関しましては,かなりこ
ちらで確認したことが,評価結果に表れているとお考えいただければと思います。
 それから,分野ごとの濃淡の件につきましては,これは非常に難しい問題を含んでいると思っており
ます。機構の評価は大学の目的,目標に即した評価ですので,こういった全学テーマの場合は特に,部
局の関係をどう表現するかによって評価が違ってくる可能性があります。また,今年の全学テーマでは,
115機関を扱っていますが,記述の分量を5万字程度にするというような制限も設けざるを得ません
ので,総合大学は,すべてのことを詳しく書くスペースがありません。根拠資料はこの制限の外ですの
で,その辺を根拠資料で補っていただいた大学では,400ページに上る自己評価書が出てきているこ
ともあります。少なくとも,評価者側から見れば,大学の戦略として,大学の中で進んでいる国際連携
活動を取り上げて,その活動によって大学全体の国際連携活動を引っ張っていこうというような戦略が
見えるといいんですけれども,そのようなことが明記されることもなく,自己評価書に書かれているも
のは,やはり優れているものが中心に挙げられています。それも,全学的に取組んでいる活動は全体的
には多くは見られなかったのですが,個々の活動には予想以上に進んだ国際連携が進められているがあ
りまして,実績,効果等は比較的高い評価になっています。ですから,ご指摘のような部分で,国際連
携が遅れている部分があって,それで多少水準を下げているという大学もございまして,全く影響がな
いともいえないと思いますが,その辺は大学の実情に応じて評価チームごとに判断してくれていると思
います。

○委員長 それでは,次に移らせていただきたいと思いますが,分野別教育評価「人文学系」専門委員
会のご報告をお願いしたいと思います。

○主査 できるだけ手短にと思いますが,大事なポイントも若干ございますので,そこは少し立ち入っ
てお話しすることができればいいと考えております。資料の6−2でございますが,1枚目はざっとご
覧いただき,ほとんどコメントは必要ではないかと思いますが,私どもが担当いたしましたのは,6機
関12組織で,学部・研究科の名前を省略させていただきますが,千葉大学,信州大学,大阪大学,大
阪外国語大学,岡山大学,九州大学と,以上国立大学でございます。公立大学で今回申出に基づいて評
価を行ったのが,東京都立大学,愛知県立大学,福岡県立大学,福岡女子大学となっております。それ
で,学部が2つありますとか,あるいは研究科の名前が2つありますのは,「人文学系」に分類された専
攻ないしは,学科がその大分類では2つに分かれている,あるいは別の分類になっておりますので,そ
うなったわけでございます。後ほどコメントが必要な場合には,その件について時間もあれば,細かく
申し上げます。
 評価体制は,専門委員30名,評価チームは専門委員30名に評価員6名,担当した仕事は全く同じ
でございます。チームは4つ設けられまして,1チームの担当が2または3機関でございましたが,こ
の3機関のほうがなかなか負担が重うございました。しかし,最終的には36名,無事に仕事をともか
くも終えましたので,その点,ご報告申し上げます。
 3番目の評価項目は,これは「経済学系」「農学系」と共通でございますが「教育の実施体制」,「教育
内容面での取組」,「教育方法及び成績評価面での取組」,「教育の達成状況」,「学習に対する支援」,「教
育の質の向上及び改善のためのシステム」となっております。それで,この中がさらに細かく分かれて
おり,また,評価する側も大人数で,結果的に非常に多数の意見を集約するという作業を重ねてまいり
ましたので,これは後ほど水準の判断状況のところでもご説明いたしますが,結果として,評価が真ん
中のところに集まったということでございます。
 それから,評価作業のプロセスは,これはほかの分野の方々とほとんど同じではないかと理解してお
りますが,専門委員会における評価作業については,評価作業マニュアルを作成し,評価者への研修を
行った上で,評価を行いました。この研修というのが,私も含め,各委員,最初どういう意味だかわか
りませんで,今さら研修が必要かと思っておりました。しかし,これは大変有益でございまして,午前
中から夕方までびっしり行われまして,これがないと,おそらく訪問調査で足並みが乱れたり,いろい
ろ問題が起きたのではないかと思い,大変ありがたかったと考えております。
 それから,評価チームにおきまして,評価対象組織から提出された自己評価書に関する,まず書面調
査,評価対象組織への訪問調査,これら大きな2つの山を越え,評価報告書原案を作成し,専門委員会
において審議・決定し,それをお示しいたしまして,今日に至った次第でございます。
 専門委員会は,合計7回,評価チームは4チームございますので,それぞれのチーム会議について,
3回開かせていただきました。訪問調査は先ほど申し上げたとおりのスタイルで行っております。
 評価項目ごとの判断方法については,先ほどコメントの要望がございましたが,多分,これは何年来
の非常に重要なポイントの1つだと存じておりますし,実際に行ってみますと,その段階どおりにすぐ
判断できるというものではありませんので,ここら辺でどうだろうかという原案をつくり,それについ
て,やはり膨大な項目でありますので後から思い出すこともございますから,会議を重ねていくたびに,
いや,ここは直したほうがいいという議論が出てまいりまして,それで最終的に大体この枠の中におさ
めてよいだろうという判断をして,お出しいたしましたので,この水準の判断は少し自信がないという
ことはないつもりでございます。
 次に,評価結果の状況でございますが,「ほとんど貢献していない」というものはございませんで,こ
れはなかなか皆さん,真剣に取り組んでおられて,自己評価の段階からおつき合いくださっていると理
解しております。
 ただし,研究科の方で,やはり5段階目のところが出てまいりまして,これは実は次の2番を飛ばし
まして,3番の評価の概要というところと関係があるのでございますが,今ここでご説明を加えておき
ますと,この学部の項目6「教育の質の向上及び改善のためのシステム」は主として教官,教員同士が
どのような総合検討を教育面においておやりになっているかということでございますが,一部の公立大
学で「ある程度貢献している」というのがつきました。公立大学の方々は,それぞれ設立の事情,ある
いは歴史的経緯というのが様々でございますし,ご存じのように,ただいま統合という動きがかなり顕
著でございまして,これは評価には関係のないことではございますが,やはり何かと多分当事者の対象
大学においては,響いているのではないかということがございますが,あるいは情報がよく回らなかっ
たのか,逆に,国立大学のほうは,文書としてお出ししておりますが,「ある程度の習熟」と,この「あ
る程度」というのがなかなかニュアンスが非常に微妙なんですが,国立大学同士の連絡も非常に密で,
他ではこうやっているというようなニュースが割合早く伝わるというようなこともありますし,この評
価機構の事業に対しての理解というものが公立大学と比べるとかなり進んでいたと,私どもでは判断し
ております。そこに自己評価体制そのものの整理に遅れが見られたというふうに,やや叱責調で書いて
ありますのは,そういう私どものいらだちの表れの一端であるとご理解いただけるとありがたいと思い
ます。
 それから,研究科ですが,「ほとんど」の評価が出てきまして,このように表にいたしますと大変目立
ち,一言あってしかるべきポイントでございますので,申し上げますが,これは少し平たく申しますと,
今回初めて評価対象となった公立大学で,従来の文部科学省の視学委員会レベルのものを想定をしてお
られたのが,実際には全然違ったため,自己評価段階から,事務サイド並びに大学の執行部の方々が愕
然とされたということがあったようでございます。そのために,やはり,にわかづくりというわけにも
いきませんので,「隠すより現わるるはなし」というぐらいで,どうしても書面調査はともかくとして,
実際に訪問調査に参りますとわかってしまうということがあり,そこが水準のダウンということにつな
がったわけでございます。
 大体,数字としては,以上のようなことでございますし,自己評価書と評価報告書原案の水準の相違
というようなことについても,多少ご説明させていただいたつもりでございます。大学院の,これは自
己評価能力といいますよりは,まず,今回私どもが担当した大学院の中に最初修士課程のみ設置されて
おりまして,後になりましてから,博士課程ができたという大学も幾つかございまして,今回の対象は
修士課程でございましたが,例えば,ある大学では,表にははっきりとは出ておりませんが,やはり学
部の改革は,大変先端的というと少し言い過ぎでありますが,評価機構の事業を大変よく理解されてい
る執行部並びに一般教官の方々の比率が非常に高い。取組のプログラムだけ拝見しておりますと,申分
ないが,訪問調査いたしましたら,やはり浸透は完全ではないことがわかったということで,このよう
な評価に落ち着きました。また,大学院の場合で,いわゆる分離融合や総合プログラムというのは,こ
れは,教官の中だけではなくて,学生諸君にもなかなか理念的にも実践的にもうまく浸透していかない
という正直な報告がございましたが,取組としては,大学院の取組が全体として遅れている中では,非
常に優秀な姿勢である程度の実績を上げておられるということが,判明したという事実もございます。
 また,他大学にもございますが,非常に学際的であるとか,領域横断的であるとかいうふうなことで,
いわゆる縦割りを何とかして打破するという試みもあります。
 評価の概要といたしましては,その最後に,全般的な傾向として,今申しましたような傾向であると
か,あるいは入試については,これはやはり非常に切実な問題でございますので,できるだけ優秀な学
生に多数来てもらいたいという欲求がありまして,これはかなり学部全体としてまとまって動いている
ように拝見いたしました。その点についても,もちろん,うちは実績があるから大丈夫だと構えておら
れるところもありまして,そういうところは評価が少し下がっているということに結果になっておりま
す。
 なお,AV設備の普及,資格を与える科目の拡充などについては,多様な欲求が学生からあるもので,
大学としても苦慮されているようでございますが,人員及び財政上の制約があり,特に公立大学では,
大変厳しいものですから,必ずしも満足には行われていないと報告せざるを得ないと,大変悔しそうに
おっしゃっておられたのが印象的でございます。
 セクハラ防止については,そういうことが起きないように非常に厳しく対応されています。これはほ
とんど例外なしに行われていたと存じます。
 なお,社会への教育目的及び目標の公表,就職支援,卒業生の関係をどうするかという問題は,各大
学でばらばらであると申し上げざるを得ませんが,全体として取組が遅れています。「人文学系」という
分野に特有の事情があるのかもしれないのですが,うかつなことは申し上げられないということで,勘
弁させていただきたいと存じます。
 

○委員長 ありがとうございました。今のご報告につきまして,ご意見,ご質問等ございましたら,お
願いします。
 それでは,次の分野別教育評価「経済学系」専門委員会のご報告をお願いします。

○主査 経済学系教育評価についてご報告を申し上げます。資料の6−3が配付されてございます。こ
れに沿って簡単に説明いたします。
 評価対象機関は,そこにございますように,8機関16組織でございます。国立大学が6機関12組
織,公立大学2機関4組織,それぞれ大学名は読み上げるのは省略いたします。なお,公立大学の内,
東京都立大学の大学院は社会科学研究科となっておりますが,実際に対象になったのは,その中の経済
政策専攻であるということを説明申し上げます。
 それから,評価体制は,専門委員が34名,これが4チームに分かれまして,2機関ずつ担当いたし
ました。評価項目,それから,評価作業プロセスは,先ほどのご報告と同じでございますので,省略い
たします。
 2枚目に,評価結果の状況がございます。これにつきましては,参考資料の6ページに,その自己評
価と評価結果の表があります。
 まず,(1)の評価項目ごと水準の判断状況,学部でございますけれども,「十分に貢献している」とい
うところに1学部がございます。それから,「ほとんど貢献していない」というのがゼロでございますが,
「ある程度貢献している」というのに3つございます。その内訳は(2)の「教育内容面での取組」に1学
部,それから,(6)の「教育の質の向上及び改善のためのシステム」に2学部があがっています。トータ
ルで言いますと,この部分については,90%以上が「相応」の水準以上です。それから,「十分に貢献
している」と判断されたのが1学部,「ある程度貢献している」が3学部ということになります。
 研究科も同様に説明いたします。「十分に貢献している」はゼロでございますが,(2)教育内容面での
取組に「ある程度貢献している」が1つ挙がっています。それから,(6)の教育の質の向上及び改善のた
めのシステムにも1つあがっています。ここでも95%以上が「おおむね」または「相応」の水準でご
ざいます。それから,その下に自己評価書と評価結果原案との水準の相違,これも参考資料1の6ペー
ジを見ていただければいいんですけれども,そこにありますように,学部については,水準の判断が上
がったというのは,トータルすると,3学部で,パーセントで6%,それから,水準が同じだったとい
うのが13学部で27%,水準の判断が下がったというのが,32学部で67%です。研究科では,上
がったものは0学部で0%,同じものが9学部で19%,下がったものが39学部で81%ということ
になります。
 自己評価と比べて,特に評価が大きく下がっているところは,それらの大学が高く自己評価をしてい
たところにあったと思いますが,それは訪問調査へ行くと,やはりこちらの心証も,どうしても厳しい
心証で持っていきますから,そういうところに質問が集中して,そういう評価結果が出たということで
ございます。
 それから,最後に評価の概要のところでございます。非常に簡単に書いてございますが,ほとんどの
組織において,「相応」以上の評価を得ているとか,それから,地域性,規模,歴史等を踏まえて,地道
な努力を続けている組織もある一方で,個々の教員が努力しているところにとどまって,組織としての
取組が十分でないものが結構あります。特にこれらのことはFDに顕著で,こういうことを私も感じま
した。
 それから,全般的に様々な取組がなされているものの,その効果を把握していない,まだ成果があが
っていない事例も見受けられたということでございます。
 私が,主査として,苦労した点を最後に申し上げますと,まず,評価チーム,4チームに分けたわけ
ですけれども,このチーム間の評価のバランス,調整にかなり配慮いたしました。これは当然のことで
ございます。それから,あとは最後の段階で,評価報告書を読んで,これは1・2・3・4・5という
ことは書いてございません。文章で,「相応である」とかということで,大体対象機関に感じてもらうし
かないわけですけれども,そのときに書き方で,はっきり「相応である」と一たん断言しておいて,「し
かし」とか,内書き的に書くのならばいいのですけれども,だらだら書いて,一体悪いほうの評価され
ているのか,良いほうの評価かわからないというので,最後の段階で,これはかなり,機構の方,各チ
ームの主査,副主査さんの協力を得て調整をいたしました。
 それから,先ほど出ました大学院で,特に小規模のところがございます。我々が担当して行った大学
院の教員数で一番多いところは81人です。一番少ないところは8人です。それから,学生定員も大体
20とか,それから,場合によっては,多いところは100人ぐらいいます。だから,100人規模の
ところと8人規模のところが,例えば,これが問題になったのは,FDの問題です。果して8人という
と,言葉は悪いけれども,マン・ツー・マンで,それでそのよさが出ているんでございますけれども,
何かマニュアルによると,やはりFDをやらなくちゃいけないのかということで,訪問調査時に大学関
係者と意見交換を行い,それから,評価チームの中でも,果たして,こういう,ある程度の水準以上の
組織を前提とした評価基準と,それから,うんと小さいところというのは,少し言葉は悪いですが,企
業で言えば大会社と,その辺の町会社だけれども,非常に健闘してよくやっているところを同じ基準で
評価するというのは,かなり委員の間でも意見が出たところでございます。
 以上でございます。

○委員長 ありがとうございました。今のご報告につきまして,ご意見ございましたら,お願いします。

○ 先ほど自己評価と委員の方が客観的にご覧になったことに,すごく差がありますということが,割
合多いところは多いし,ないところはないとあるんですが,そういうことが起きる典型的なケースとい
うのは,どういうことかというのを少し教えていただけますか。

○主査 自己評価と比べて,特に評価結果が異なったというところが典型的なのでそれを例に言います
と,教育内容面での取組というところでは,大学では,色々なことをやっています。例えば開設科目が
豊富だとか,セメスターをやっているとか,履修上限制(キャップ制)をとっているとか,学科独自の
履修モデルを提示して,実施しているわけです。それで,自己評価では,「十分貢献している」となって
います。ところが,訪問調査をしてみますと,学生が自分の所属していない学科の科目を多く履修して
卒業するなど問題を抱えているということがわかりますし,それから,履修モデルが十分機能していな
いということが訪問調査によって確認されたということでございます。
 それから,研究科でも,自己評価の段階では,教育課程の体系的な変遷について,目標に沿って多種
多様で豊富な科目が提供されて,特に連携大学院はアジアに焦点を当てた講義が提供されているという
ようなことを自己評価して「十分貢献している」としています。それに対して,実際に現場へ行って,
訪問調査しますと,社会人や留学生の積極的な受け入れに伴う就学時間や,学生の学習経験の違い,授
業を英語により行うことなど授業で使用する言語の問題などが大きくあるということがわかりました。
それから,サテライト教室や学生アンケート調査,夜間講義,補習実施等の様々なな対応をとっている
ことは認めるんですけれども,まだ,これらの問題が解決されていないという現状を評価いたしまして,
改善の余地があるということで,厳しい評価になっているということでございます。1例でございます。

○委員長 ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
 それでは,時間も押しておりますので,次の分野別教育評価「農学系」専門委員会のご報告をお願い
します。

○主査 全体的な傾向は,前の先生方のお話と大体似ております。資料6−4でございますが,評価対
象機関は,弘前大学,東京農工大学,静岡大学,島根大学,愛媛大学,鹿児島大学,それに公立大学は
大阪府立大学の各学部と研究科でございます。専門委員は27名,これを4チームに分けまして,ほと
んどのチームが2機関を担当しました。1チームだけ1機関を担当しました。
 評価項目は,「人文学系」「経済学系」と同じでございます。評価プロセスも同様でございます。専門
委員会を6回,評価チーム会議が4チームとも3回ずつ,それから,主査,副主査会議,これが調整の
会議なんですが,これを2度行いました。
 それから,水準の判断の考えについてのご質問でございますが,これも今までの先生方と同じでござ
いまして,大体うまいところに落ち着いています。私はこの「農学系」だけの評価に携わっております
ので,前年度の苦労というのも,そんなに知らないのですが,大体スムーズにやれたと思います。ただ
し,最終的な調整は,かなり苦労があったということでございます。
 では,評価のほうにいきたいと思います。まず,対象組織によりまして,複数の取組を1つの観点に
あわせて自己評価したりというようなことがありまして,それらは観点を分けて,評価しました。また,
当然取り上げるべき観点であるのに取り上げられていないと,こういう観点もございまして,これは観
点として取り上げるべきであるという質問等をして評価の対象にいたしました。
 それでは,最終ページにあります評価の概要と,それから,その前のところと一緒にお話をさせてい
ただきたいと思います。
 まず,最初の表でございますけれども,評価結果で学部については,先ほどからお話がありましたよ
うに,最高水準の評価,あるいは最低水準の評価はどちらもございませんでした。その中に少し立ち入
ってお話をいたしますと,項目2,あるいは項目5というのは,全体的にある程度評価となっているが,
それに対して,教育の質の向上及び改善のためのシステム,項目6は,前のお話と同様にどちらかとい
うと,あまりよくありません。さらに項目の下に要素というのがあるんですが,要素で言いますと,項
目1に入ります教育組織の整備,あるいは2に入ります教育課程の整備,あるいは項目5に入ります学
習支援体制,このあたりは,どちらかというと,いい取組であったと思います。それに対して,同じ項
目の2になりますが,授業内容に関する取組,実はこれ,授業内容に関する取組というのは,少しわか
りにくいんですが,教員側の自己錬磨といいますか,努力を指すのですが,その取組,それから項目3
の成績評価に対する取組,それから,先ほどの項目6,このあたりはあまりよくありません。その結果
でございますが,全体として学部の教育に関しては,積極的に改革が行われ,全体として着実に実績を
上げているように思われますが,今お話ししましたように,どちらかといいますと,目に見える教育現
場での改革,そういうのに比べまして,教員個人の取組,あるいは努力にかかわる教育の自己改革,あ
るいは成績評価法とか,あるいはそれに組織,個人とも,改善への取組,このあたりが不十分であった
と思っております。
 一方,研究科につきましても,同じように,優れている最高水準と最低水準はございませんでしたけ
れども,全体といたしまして,改革に十分手が回っていない研究科が大部分であるというような印象を
受けました。先ほどからお話がありますように,評価項目6というのが大変で,どちらかというと,よ
くないという内容でございます。しかし,その中でも,意欲的に改革に取り組んでおると思われる大学
がございます。
 それから,次に,その下の2つの表に参りますけれども,全般的に対象大学の自己評価は,少し高い
ように見えます。それらの多くは,この書面調査の段階,さらに訪問調査の段階で下がったという状況
でございます。その理由ですけれども,これは私の個人的な印象でございますけれども,一生懸命やっ
ているということで,直近の改革,取組みを始めたばかりの改革をどうしても自己評価では高くしてい
るが,その実績などの面でまだそこまでいっていないところがあるため,どうしても差が出てくるとい
うことです。最後に改革で頑張っている場合,評価したいけれども,しかし,そう言われるほど,まだ
実績という面からはは評価はしにくいというところがあるのではないかと思います。
 全体的な特徴でございますけれども,各大学とも,個々の部分では意欲的な改革を行っているという
のは,非常に目立ちました。しかし,大学によって取組に大きな差が出ている項目,これが幾つかござ
います。例を挙げてみますと,「農学系」の特徴でありますフィールド実験では,このごろ演習林や農場
等をフィールド科学研究センターにおいて再編し,伝統的な教育を行っているということで,大変よろ
しいと思いますが,例えば室内実験におきますと,設備とか器具とか,あるいはカリキュラム等に大学
によってかなり差があります。
 それから,2番目にアドミッションポリシーについても,これも取組み始めたところと,そうでない
ところでは差があります。それから,授業評価,学生の授業評価等,いろんな授業評価についても,差
が出ています。それから,先ほどから出ておりますファカルティ・デベロップメントについても,やは
りかなりばらつきがあります。さらに就職対応では,雇用主に対する対応,これも進んでいる大学と,
ほとんど対応していない大学があります。さらに改善に結びつける取組というのも,先ほど申し上げま
したように,意欲的なところもあるということでございます。
 それから,もう一つ,全体的に努力不足かなと思われる部分といたしましては,まず,学部も大学と
も教育目的とか目標の社会への周知に関して,特に一般社会への周知の取組が弱いです。社会の周知と
いうと,ほとんど高校対応を書いてきています。これはアドミッションポリシーと関係して,先ほどか
き集めるという話が出ましたけれども,高校対応をやって,それで社会対応だよと。ある部分について
は,企業への対応をやっていますが,よく見ると,これも就職対応みたいな形であります。やはり大学
というのは,一般社会に対して,どのように開いて,これは目的,目標だけではなく,活動そのものも
外へもっと周知する,あるいは公表します。それが入試とか,あるいは就職にはね返ってくると,これ
が理想的ではないかと思うんですが,そのあたりについては,かなり意識が低いと,このように感じら
れます。
 それから,もう一つ,学習成果の適切な評価,点数の評価ですが,これも少し全体としてなかなか厳
格性,一貫性というのは,まだ対応が遅れています。このようなところを,弱いと感じております。
 あと1,2点ですが,この評価に当たって,少し悩んだとか,苦労したという点が幾つかございます。
少し感想を述べさせておいておりますが,対象組織によって,特徴的な取組を個別に観点でたくさん取
り上げているというところがあります。それから,要素というのは,項目の中のそれぞれの要素であり,
さらに要素に観点を入れるわけですが,その観点の取り上げ方が少しほかの要素に入っています。そん
なことで,こちら側としましては,観点の設定方法によって,評価が左右される可能性があります。そ
の辺をどう見抜くかというのが,こちらの力量であると思います。
 それから,もう一つ,対象組織によっては,学部と大学院の一体性を特徴として打ち出しているとい
うことがあり,大学院独自の体制,あるいは取組がなかなか評価しにくい。これは独自の特徴として挙
げているのか,あるいはひょっとしたら,まだ,研究科と学部が未分離であるのか,このあたりのとこ
ろがどうであるかということが1点あろうかと思います。
 そのほか,全学で取り組んでいることについて,学部はそんなに力を意識していないんだけれども,
結果はうまくいっているとか,あるいは設置者が,要するに予算があって,施設が改善されていると,
あるいは奨学金を手厚く設置者が出しているなどによりプラス評価になります。実際は努力を評価した
いと思うんですが,学生にとっては,結果オーライなのかもしれませんが,我々としては,どう評価す
るのかと,少し迷ったということでございます。
 もう1点だけ,お話ししておきますが,成績評価の基準の設定という,これも細かいことですが,少
し悩みました。それは,成績の評価基準をきちっと組織で設定することというのが観点等にあるわけで
すけれども,学則レベルで書いてあることでいいのか,それとも,評価する材料,レポートで評価する
とか何とか,そういうことまで書くのか,あるいは卒論の評価とか,そういうところを議論するのか,
あるいはもっと実質的な評価レベルまできちっと書かなければいけないのか,どのあたりを可にするの
か,このあたりの評価基準の設定というのは,どう取り上げるべきなのかということで,先生方は苦労
したということでございます。以上でございます。

○委員長 ありがとうございました。それでは,今のご報告につきまして,ご意見,ご質問をまずいた
だきたいと思います。何かございますでしょうか。

○ 今,いろいろお話しいただいて,1つ感じるところは,ペーパーの評価の概要には盛り込まれない,
かなり色々な面のご指摘があったと思います。例えば,こういう点で大学により取組が大きく違ってい
るところが出ていますとか,一般社会への周知というような,今後,評価のレベルを上げていくときに,
物の見方や具体的なポイントとしてどのようなことが問題になっているかというようなことがございま
した。お話しいただいた内容はまとめていただいて,フィードバックをする中へ盛り込むとか,やはり
何か形に残してはどうかと思いますが,どのようにお考えでしょうか。

○主査 これはほかの先生方もあると思いますけれども,今回は時間が少ないということで,各先生方,
オーバービューの中でそのようなことが取り上げられるのではないかなと思っております。評価の概況
では主なものだけをあげてあるということでございます。

○ できましたら,ぜひ,フィードバックの中へそういう具体的なところを入れていただきたいことと,
今日いろいろ主査の皆様方からご指摘いただいたことを事務局でまとめていただいて,そうすることで,
よりポイントが明確になってくると思いますので,ぜひ,そのような整理をしていただけたらと思いま
す。

● それにつきましては,具体的にオーバービューで細かく記載する予定でございますので,よろしく
お願いします。

○委員長 それでは,全学テーマ別評価,分野別教育評価の評価結果原案の報告について,今までご審
議いただいたわけでありますが,これまでの中で,特にご意見,ご質問があれば伺うことにしたいと思
いますが,とりわけ,先ほど出てきた問題等につきましても,時間がある限り,ご議論いただければと
思います。どうぞよろしくお願いします。
 先ほどの,総合大学と比較的小規模の大学を評価する基準の問題については,事務局から,何かご意
見ございますか。

● 今,ご指摘いただきました,大学の規模によって差が出てくるというのは,特に今年顕著に出てき
た点ではないかと思います。今までの,特に理系ですと,多少の差はあっても,あまり大きな問題には
ならなかったと思います。幾つかのポイントで,例えばオフィスアワーを設けていますかという評価が
ございますが,先ほどの1けたの学生定員のところですと,オフィスアワーを設けなくても,日常的に
学生と教官は接していて,それで十分済んでいるわけです。けれども,組織として,そのような質問が
出たときどう考えるか。あるいは,成績評価についても,例えば100人の学科,あるいは研究科と,
7〜8人の学科があったときに,果たして,どのようにその点を評価していくかということです。この
ように,やはり色々な問題が今年も出てきたのではないかと思います。
 それから,特に幾つかの項目で非常に低かったということが出てきましたが,例えば一番最後の,教
育の質を改善するためのシステムがどうかという項目ですが,特にこの辺は,非常に小さい少人数教育
が行われているところですと,必ずしもそういうシステムができていなくとも,実は実質的にはきちん
ととした教育が行われています。これは後半のお話にも出てくると思いますが,そういう問題も確かに
ございました。ですから,それらの問題を今後どのように考えて,それぞれの組織の規模や伝統あるい
は置かれている現状と,例えば今の評価項目,あるいは観点をどのように考えていったらいいのか,こ
れは特に今回大きく出た問題ではないかと思っておりますので,皆さんのご意見も伺いながら,完全に
どこかで線が引けるという問題ではないとは思いますが,どのように考えていくか,この経験をぜひ生
かしていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

○ 後半で伺う研究評価に比べて,教育評価というのは,現場に行って面接調査することが非常に重要
だと思います。それで,これは事務局に対する質問ですが,過去2回の教育評価と今回の教育評価で,
現場に行って面接調査をする時間や対象など,過去2回と同じなのか,それとももっと細かく聞いてい
るのか,あるいは簡略化したのか,昨年,あるいはその前に比べてどうであったのか,教えていただけ
ますでしょうか。

● 今のご質問ですが,訪問調査を行う際には,訪問先の負担の問題や,訪問していただく先生方の負
担の問題など,幾つかのファクターがありまして,今ご報告ありました3分野に関しましては,今年は
基本的には2日間で行いました。ですから,昨年,1昨年に比べて,半日ぐらい短いことになります。
ただ,昨年,1昨年は3日間行いましたが,1日目の午後から始めて3日目の午前中まででしたので,
実質的には,時間的にそれ程短くなったわけではございません。ただ,訪問調査に行っていただいた先
生方には,前の晩に現地に入っていただき,1日目は朝から晩まで,しかも,翌日の評価結果の概要を
ご説明するためのまとめまで行っていただきましたので,非常にタイトであったというご批判をいただ
いておりますので,これについてはぜひ改善したいと思います。実質的な内容的には,3年間あまり変
わっておりません。
 それから,本年は,最初にご説明しました観点の水準の判定の方針をご説明することがございました
し,あるいは過去色々な問題が起こったというご指摘もあったことなども踏まえまして,全ての訪問先
に機構の教官が必ず1人ついて行き,議論にも参加させていただいておりますので,今年起こった問題
に関しては,教官からも情報を集め,さらに改善を進めたいと思います。
 結論として言いますと,特に今までと変わった形はしておりませんが,例えば不足している観点の問
題や,資料が不足しているということにつきましては,あらかじめ訪問調査をする前にお伝えした上で
資料を用意していただいて議論をしましたので,過去に比べ,かなり有効な訪問調査ができたのではな
いかと思っております。

○ この評価の結果を見させていただくと,ほとんどみんな真ん中に寄っています。確かに「ほとんど
貢献していない」というのが少し出たり,「ある程度貢献している」というのが少し出たりするんですが,
ほとんどが「おおむね」と「相応」になっております。評価というこの仕組みそのものが始まったばか
りなのでこういう結果になるのか,それとも日本の大学そのものが,ちょっと極端な言い方をすると,
あまり特徴がなくて,みんな同じようなところになっているのでしょうか。この結果をどのように考え
ればいいのかなと思いながら見ていたのですが,実際に調査に入られた主査の先生方の中から教えてい
ただけますでしょうか。

○主査 これは私の全く個人の意見でございますが,今回の評価には時間がなかったので,今後の課題
として少し考えているんですが,6つの評価項目の中に要素は約21ぐらいあり,これをどう集合する
かについては,必ずしも100%今のような形でなければならないということはないと思います。個人
的な意見ですが,僕だったら,第2項,第3項を入れかえたほうがいいと思います。そうしますと,例
えば「十分」となることも出てくるんではないかと思います。そういうことで,私は,要素ぐらいの項
目に分けて判断してもいいんではないかなと思います。そうしないと,例えば観点をほかの要素に移せ
ば,そちらの観点によって評価が変わってくるということになります。観点が必ずしもその要素に適当
でないといって移してしまうと評価結果が変わってくるとか,逆に,移さなければ変わるということが
ありまして,私は,整理の仕方について,あるいは要素ぐらいで公表するほうが,実態に近いのかと感
じております。

○主査 今のご質問について,後ほどご報告いたしますが,経済の研究評価でも同じ問題がありまして,
機構の方ともこの問題については議論いたしました。1つ大きな点として,1番高い評価,それから,
1番低い評価の条件が厳しすぎて,観点,要素,水準と積み上げていくわけですが,そのときに,全て
が優れている,あるいは十分機能してないとだめになっています。ということは,完全無欠でなければ
ならないです。あるいは,悪い場合でも,大体は何かいいところが1つあるというケースで,全部悪い
というのはないです。だから,そのようなケースが排除されているということもあるのではないでしょ
うか。

○ これだと,せっかく評価していただいても,あまり評価の結果が出てここずに,みんな同じところ
にごちゃっと混じってしまうという感じがしてしまいます。

○主査 ごちゃっと混じってはいないと思いますが,ただ,真ん中に固まってしまって両端がないとい
うことでは,そのとおりです。

○主査 今のご意見ですが,先ほどの報告で「ほとんど貢献していない」というのが出ていましたが,
あれについては,人情論でやっているわけではないんですが,1番低い評価をつけるのは気の毒だとい
うことで,全部について当たってみました。しかし,これは幾ら探しても,評価不可能,いい材料が存
在しないということで,気の毒だけれども,ここにするしかないということでした。これはちょっと特
殊なケースですが,そういうケースも実はあるわけでございます。

○委員長 ここで10分ほど休憩をとって,その後,分野別研究評価「人文学系」専門委員会からの報
告に続けたいと思います。
 また,今の議論は,いずれまた,機構のほうでもご検討いただいて,何らかの機会でまた議論の対象
にしたいと思います。

                 (休  憩)

○委員長 それでは,時間がまいりましたので,議論を再開させていただきたいと思います。
 分野別研究評価「人文学系」専門委員会のご報告お願いします。

○主査 それでは,報告させていただきます。まず,資料の6−5でございます。評価対象組織は,5
つの国立大学,それから,国立民族学博物館,公立大学3校でございます。ただし,この国立大学と民
博は全部カバーできますが,東京都立大学,福岡県立大学には教育学関係の方々が入っておられるので,
そこのところは評価から外させていただきました。
 そして,評価体制については,専門委員が31名,それを,9組織ございますので,3チームに分け
て3つずつ担当したということでございます。そして,評価項目の2と3,研究内容及び水準,研究の
社会的効果を判定するために,専門委員のみではなく,評価員を補充して,哲学・思想系,文学系,言
語学系,史学系,人文地理学,考古学・文化人類学,社会学,心理学の8つの部会を組織いたしました。
このような形で607名の方々の判定をしたということであります。評価項目の2と3については先ほ
ど申し上げましたように,個人別研究活動業績に基づく評価として,評価員が入ってきて,部会が主た
る役割を果たしたわけでございます。
 評価のプロセスとしては,まず最初にマニュアルをつくり,そして,評価チームでは,機関から出て
きた自己報告書に関する書面調査,それから,部会では,個人別研究活動判定票の分析と調査を行い,
その2つを踏まえた上で評価チームにおけるヒアリングを行います。そして,評価報告書原案をつくっ
た後,専門委員会で案を確定したというような運びでございます。
 そして,評価結果の状況ですが,作業の手順といたしましては,専門委員会を9回,評価チーム会議
をそれぞれ各チーム5回行い,そして,ヒアリングを行いました。評価項目ごとの水準の判定方法とし
ましては,観点から要素,要素から項目,この順序で行いました。結果でございますが,資料に表が示
してありますが,内容の方は参考資料も御覧いただきたいのですが,「十分に貢献している」というもの
はございませんでした。自己評価は全部1という大学もございましたが,審査した限り,そのとおりに
はなりませんでした。
 それから,研究の質と向上及び改善のためのシステムを見てみますと,「ほとんど貢献していない」と
いうのがございますが,これは自己評価もそうなっておりまして,結果としてもそのとおりだったわけ
でして,そのような事情がございます。
 それで,表を見てわかりますように,自己評価から水準が上がったところはなく,大きく下がったと
ころもございます。
 評価結果の状況は以上ですが,次に評価項目2及び3にかかる研究水準等の判断状況でございます。
これはまず,判定資料として,各個人別研究活動業績が,本人が強調する代表的な業績が5点以内,現
物をつけて出されまして,研究方法,それ以外の研究活動業績もついてきます。これを受けまして,そ
して,関連領域の専門家により,研究の質を重視してピアレビューを行いました。1名の教員について
必ず2名は見ることにいたしましたので,評価員1名当たりでは約16名の担当となります。ただし,
これも領域によりまして,例えば美術史関係ですと,2人とも美術史の専門家という形でいかないとい
うこともございます。また,16名というのは平均ですので,平均以上,例えば20人を担当しますと,
業績は100見なければならないわけで,その中に著書があったりしますと,「夏休みであるから,この
ことに専念すれば不可能ではない」というぐらいの負担であったことは事実でございます。このことは,
評価を行った者として,この場で申し上げておきたいと思っております。
 それを見まして,その特色及び強調点を参考にして積み上げていくという形をとるわけでございます。
それで判定をするわけですが,その際に,どのような形で判定するかについて,例えば参考にできる定
評のある学会誌があるかといういうような議論もいたしました。しかし,最終的には,2人の評価員の
判断を基準にして,2人の判断がずれた場合は部会で調整します。その中で部会全体として議論をして,
1人1人について,案をつくったわけでございます。
 そして,研究の内容面の判定ということで,独創性,発展性,基礎研究への貢献,他分野への貢献,
それぞれの視点について「極めて高い」[高い」「相応」「低い」,そして,研究水準の判定としましては,
これを踏まえて,「卓越」「優秀」「普通」「要努力」,そして,研究の社会的効果の判定といたしまして
は,著作物などによる人文学的知識普及や人材要素の寄与,地域の文化的課題への寄与,知的財産形成
への寄与,政策形成への寄与,国際社会への寄与,そのほか何かあればということで,「極めて高い」,
それから,「高い」「相応」で判定いたしました。
 ここで問題として,それぞれの大学,学部,研究科の目標がありますが,評価項目2と3の判定は,
先ほど事務局から話がありましたように,大学や学部の目的や水準に応じて変えてはおりません。つま
り,その学会で,人並みと思えば相応ないし普通,そして,本当に優秀か,極めて優秀であるか,これ
で判定するという形でこのような結果となっております。そして,個人的には,大学の教員の場合,研
究にかなり独自性があるとしますと,この評価に随分響いてくるのではないかと思いますが,とにかく
それで1つまとめております。そして,判定結果については,組織全体,領域ごとに判定段階の割合を
示すということにしておりますが,ごく少数のところはまとめるということで,領域ごとの記述として
は,まず,哲学・思想,社会学,心理学,ここまでを一まとめとしました。そして,文学と言語学を一
まとめ,そして史学,人文地理学,考古学・文化人類学を一まとめといたしました。
 この形で見てまいりました評価概要の印象といいますと,先ほどもありましたように,研究の質の向
上及び改善のためのシステムでは,概して公立大学に低い評価が出ている傾向があります。この理由に
ついては明白で,国立の場合では平成12年からこの大学評価が始まっておりますが,公立は平成14
年に初めて参加したという,その時間的な遅れだろうと思います。
 判定全体の傾向としては,既に出た議論ではありますが,一番高い評価がつくところはございません
でした。このことについては,評価のシステムとして,一点の非の打ちどころもない場合でなければ一
番高い評価がつかない,これがいいのかという問題がございます。もう一つの考え方からすると,「相応」
というのは,他大学と同程度に努力しているわけですから,「相応」でも悪くはないのではないかという
印象もございます。
 「人文学系」の特徴としては,社会的効果が議論になりました。社会学や社会福祉の方からしますと,
社会的効果のないことは考えられないわけですが,ほかの先生方の中には,文学部は社会的効果がなく
てもいいのではないかという発言もされる方もおりまして,これは社会的効果の幅のとり方にもよりま
す。叢書などを書くことで,全体としての日本の知識層の水準を上げるとか,地域の調査を行う,ある
いはそれをサポートする,このような点での社会的効果というのはありますが,それについては,委員
の認識がまとまっていくのに多少は時間がかかりましたが,できたと思います。別な形の例としては,
社会的効果の項目をたくさんあげなければいけないということで,英語で書かれた論文は全部国際社会
に貢献しているとしたところがありまして,そうすると,理系では,常に国際社会に貢献していること
になってしまいます。これについては,申請があっても,そのような理由であった場合は,該当なしと
いう形で判定させていただいております。

○委員長 ありがとうございました。ただいまのご報告につきまして,ご意見,ご質問等ございました
ら,お願いします。
 よろしいでしょうか。それでは,分野別研究評価「経済学系」専門委員会のご報告をお願いします。

○主査 「経済学系」の研究評価の概況について報告いたします。資料の6−6をご覧いただければ幸
いです。
 まず,評価の対象組織ですが,資料に掲げられていますように,国立大学6組織,公立大学2組織で
あります。名前を列挙いたしませんが,資料にありますとおりです。
 そして,評価体制ですが,専門委員32名,それに評価員24名を足しまして,経済学,経営学の2
部会を編成したということです。評価チームは,この専門委員32名が4つに分かれまして,各々2組
織ずつ担当いたしました。後ほど触れますが,どれぐらいの人の協力を得たかということは,仕事量と
の関係が問題になってくると思いますが,評価される側が2人以上の人から査読してもらうというよう
になりますから,大体評価員1人当たり,13〜4名の研究者を,研究内容に関しては,評価するとい
うことになりました。これは5点業績を出して,すべての方が5点出しておられませんけれども,読ま
なければならない論文の数が1人の評価員,大体60点から70点ぐらい,中には単著の単行本なども
入っています。また,査読性のジャーナルに載った論文は要約がついていたり,既に内容がわかってい
るものもありますから,時間に関しては多様ではありますけれども,とにかく夏休み1〜2週間,皆さ
ん使ってくださった。主査,副主査は,若干加減していただきましたけれども,ほとんど同じぐらいの
負担であったということです。
 この問題は後でもう一度戻りますが,評価項目は今「人文学系」で主査がお話しされたことと全く同
じですので,省略させていただきます。
 4の評価のプロセスも,これも同じであります。専門委員会9回,そして評価チーム会議を4回開き
ました。そして,11月の下旬から12月初旬の2週間でヒアリングをやっていただいたということで
あります。評価結果の状況ですが,表に掲げられたような分布になっております。これについては,先
ほどご指摘があったときに申し上げましたが,上が全くなくて,下もないという状況です。これは観点,
要素,水準と積み上げていくときに,かなり条件が厳しいです。すべて「十分」でないと,なかなか一
番高い評価に数えてもらえないというような状況もあると思います。
 そして,その自己評価書と評価報告書の原案との格差ですが,それほど奇妙な結果が出ているわけで
はありません。水準が評価報告書の原案のほうが高いというのはございませんが,大体同じ水準だとい
うのが中心でありますが,(5)の向上及び改善のシステムのところは,水準の評価が下がったというほう
が多いという点が注意を引きます。
 その判定作業の手順ですが,研修をやり,部会を開き,主査,副主査会議を開きという形で,最初は,
いろいろ初めての我々経験ですから,出される異論,反論も前向きなものはあまりなかったと記憶して
おりますが,次第にコミットしてくると,理解が深まるということもあるかもしれませんが,かなり協
力的に進んだという印象を私は持っております。
 先ほどの仕事の総量に関係することですが,判定に用いた資料が,これも「人文学系」と同じですが,
5点以内を出していただいて,研究活動業績一覧というのがやはり全体を知るという意味で必要だとい
う,これも提出してもらいました。ご存じのように,経済学は,メソッドがいろいろ違う分野がたくさ
んございます。それから,論文を書くときの作法といいますか,それも非常に色々なものがありまして,
査読制のジャーナルもたくさんありますから,それだけを問題にする限りにおいては,それほどいろい
ろ議論は出ないのですが,歴史研究,それから,資料の発掘,紹介,批判などの分野やケーススタディ
等になってきますと,査読性の雑誌が多くない,あるいはほとんどない分野もございます。そういうと
きに査読性ということにとらわれずに,中長期的な目で,評価していくというのは,かなり難しい作業
なんですが,それを先ほど申しましたように,評価者1名あたり13名の仕事を読んで判定していくと
いうのは,なかなか大変な仕事でありました。しかし,全体的な印象を申しますと,極めて妥当な分布
ではないかと思います。選ばれている大学が無難であったということもあるかもしれませんが,無難,
妥当であったと思います。その意味で,直観とか印象に合っているということであれば,これほど膨大
な作業がなぜ必要かという問題が出てきますが,そういう直観とか,印象に対して積み上げ方式で得た
結果が合致しているということは,非常に意味のあることであり,委員の方もそういう印象を最終的に
はお持ちだったと思います。
 ただ,これはこの場で申し上げるべきことか,迷うところもありますが,改善点として,仕事の量の
問題ですが,色々な要素,観点等で,あまりにも細かいところに立ち入りすぎと思われる点がありまし
た。1つだけ例を挙げますと,研究支援体制でアシスタントがどれぐらい要るかいうことがありますが,
これはアシスタントがたくさん必要な分野等が強く,それを得意分野としている大学と,そうでない大
学がありますから,そういうことを考慮してまで,統一の形式で経済学に全部網をかける必要があった
かということは,少し反省といいますか,疑問点として持ちました。
 判定結果の状況ですが,研究水準と社会的効果に関しましては,参考資料に分布が非常にきれいに出
していただいています。私の個人的な印象を申し上げますと,都立大学,名古屋市立大学という公立大
学が研究水準において非常に健闘しておられると思います。これは,私の推量では,基本的にここの大
学におられる方は,査読制ジャーナルに投稿される方がわりに多くて,そのようなことも影響している
のではないかと思います。
 社会的効果に関しましては,人文学系の主査がおっしゃったのと似た問題が,前回の専門委員会,私
は欠席していたのですが,そこで議論になったと聞いております。
 そのほかは,特につけ加えることはございません。以上で私の報告は終わります。

○委員長 ありがとうございました。今のご報告につきまして,ご意見,ご質問等あればお願いします。
 よろしいでしょうか。それでは,分野別研究評価「農学系」専門委員会のご報告お願いしたいと思い
ます。

○主査 前2つの分野のご報告と重複するところは若干省略させていただきまして,「農学系」の固有の
問題についてなるべく時間を割いて,最後にもし時間があれば,少し主査としての感想を述べさせてい
ただこうと思います。資料の6−7をご覧いただきたいと思いますが,「農学系」の研究評価の対象は,
国立大学6組織,公立大学1組織でございます。このうち広島大学は生物生産学部,生物圏科学研究科
となっておりますが,後半の生物圏科学研究科は,複数の学部が対応しておりまして,そのうちの生物
生産学部系の教官,あるいは組織を評価の対象といたしております。
 評価体制は専門委員26名でございます。幸い7組織ということで,あまり大きくなかったので,そ
れを4チームに分けまして,それぞれの大学の評価をしました。部会は前2人の先生方のお話と同じよ
うに,個々の研究者の業績を評価するというシステムになっておりますので,26名では足らないとい
うことで,68名の評価員の先生方にお願いいたしまして,合計94名で評価をいたしました。
 農学の場合には,ご存じのように,1つの総合大学であると言われるぐらい,経済から工学の化学,
生物,全部の領域が入っている大変広い領域でございますが,それをとりあえず3領域に分けて,その
中で部会を編成いたしました。3領域の農学?Tは,「旧農学系」と呼ばれるところで,主として生物その
ものを対象とした研究を対象とするところでございます。農学?Uは,昔の名前で言いますと農芸化学と
いうようなところでございまして,化学的な手法で生き物を見るという研究スタイルをとっているとこ
ろでございます。農学?Vというのは,むしろ周りから生物を見る。農業経済,農業工学などを主体とし
たところでございます。最近の「農学系」の大学の改革に伴いまして,学科の名前が大幅に変わってい
る関係で,どういう名前をとっても,適当でないということから,農学?T・?U・?Vと非常に何にもない
ような名前を使わせていただきました。合計,対象になる研究者804名でございます。評価項目につ
きましては,ほかの分野と全く同じでございまして,評価のプロセスについても基本的には同じでござ
います。
 ただ,農学系の場合には,訪問調査はいたしませんで,ヒアリングという形をとりました。これは農
学の研究のフィールドが,演習林や海などであって,実験室,あるいは大学を訪ねれば何かがわかる,
という性格ではないだろうという判断に基づくものでございます。
 次のページにまいりまして,結果の概況とそれに至るプロセスが書いてあります。概況については,
評価項目1・4・5については,後ほど立ち戻ってご説明いたしますが,この表のとおりの状況でござ
います。
 評価に至るプロセスについては,基本的には,代表的な研究業績,あるいはその研究業績一覧を出し
ていただきまして,それをピアレビューという形で評価いたしました。先ほどの数字から見ますと,評
価員1人が17名の研究者を見て,一人当たりの研究業績が5点以内ですから,平均しておよそ85の
研究を見ていることになります。多くの先生方に聞きますと,一夏全部使ったという話を伺っておりま
す。
 最終的には,専門委員・評価員間の調整,部会での審議,専門委員会での審議を経て,最終案をまと
めたものでございます。このときに,当然ながら,これだけの評価者がおりますから,研修あるいは部
会で,どういうレベルでどういう基準で評価するかという,意思統一をしなければいけないのですが,
研修を1度だけ行いました。ただ,それも,主査としてはかなり長い時間をかけてやったつもりでいた
わけですが,実際に紙に書いて文章で読むのと,実際に資料が来てからそれをどう判断するのかという
レベルでは,やはり研修の質的な問題に違いがありまして,実際に評価をはじめると,色々な問題点が
出てまいりました。最後の取りまとめの段階では,研修も多段階的な研修をしなければ,統一的な判断
基準を得ることは難しいのではないだろうかという反省を私自身はいたしました。
 評価結果の状況に戻りますが,これもほかの分野と同じように,「おおむね貢献」「相応」というとこ
ろは多いわけでございます。ただ,項目ごとに水準をまとめてしまいますとそうですが,評価報告書の
本紙の方を見ていただきますと,それぞれの項目について,これはよかったとか,これは検討の余地が
あるとか,個々に書いてありますので,単にこの数字だけでは表せない中身については,そのようにご
判断をいただきたい。今日は時間の関係で,詳細な中身までご覧いただけないかもしれませんが,そこ
も含めて,後日,十分な評価であったかどうかというご判断をいただきたいと思っております。
 それから,次に,自己評価書と報告との関連でございますが,ほぼ従来どおり,ほかの分野と同じな
んですが,1点だけ評価の水準が上がったというところがございます。具体的に申し上げますと,我々
が見ても,評価すべき内容として,個々の研究者の業績を非常に事細かくデータベースにしており,そ
れはほかの大学にはない,大変立派なものでございました。ただ,自己評価書では,データベースはあ
るけれども,それをシステムとして評価して,フィードバックするシステムがないので,自己評価では
かなり低い評価をしておりましたが,そんなことはないのではないかという理由で,ヒアリングの結果,
水準の判断が上がったという非常に例外的な事例がございました。
 それから,ここに書いていない項目の2と3,研究の水準,内容及び社会的効果につきましては,参
考資料にまとめが書かれております。これも大学別,あるいは先ほど申し上げました領域別でしか書か
れておりませんで,報告書には,大学ごとに領域別の数字が文言として記載されております。ここでは,
そこまでの取りまとめをしておりません。我々の専門委員会でも,これを見たときに,先程の分野と同
じですが,我々の感覚からあまりずれていないのではないかという判断をいたしたところでございます。
 以上が報告の概要ですが,もう一,二つけ加えますと,基本的には先ほどの自己評価体制ができてい
るかどうかというところでは,やはりこれまでも話が出ておりますように,公立大学では,まだ十分で
はないのかもしれないという評価を私たちもいたしました。ただ,教育と研究の両分野で評価の対象に
名乗り出た大学があり,しかも,同じ先生方が対応しているらしく,非常に作業は大変であったろうと
私達は判断いたしました。それが理由ではないと思いますが,その大学ではなかなかまだ十分な評価シ
ステムができていないという印象を受けました。
 概要としては以上ですが,私が主査としてこの2年間やった感想を少し述べさせていただきます。報
告書の書き方にもかかわるところでございますが,資料の中に「農学系」の報告が取りまとめてござい
ますので,後でお時間があれば見ていただきたいと思いますが,ここでは,研究の評価,研究水準,あ
るいは社会的効果の評価の項目では,個々の研究業績の内容がかなり詳細に書いております。それは,
評価の段階で,非常に優れているという評価をされたことについては,報告書に記載しようというのが,
私たちの考え方でございます。1つには,これだけの作業をしていただいた私としては,痕跡をどこか
に残しておきたい。それは評価される側も,した側も同じでございまして,単に数字の中に埋もれさせ
てはいけないというのが,私たち専門委員会の考え方です。これについては,ほかの領域と若干書き方
が違っているかもしれませんが,非常に優れた業績は奨励して,この我々の評価のプロセスで「農学系」
も頑張っているということをわかってほしいという意図もありまして,そういう作業をとらせていただ
きました。
 それから,先ほど,評価員の間で評価の基準が難しかったということがございますが,それも,農学
というのは,外にかなり開かれた分野で,いろんな関連分野がありますので,そこでの評価も十分参考
にした上で個々の研究者の評価をしてほしいというお願いをいたしましたが,必ずしも十分私たちの意
図が伝わっていないところがあったのかもしれません。
 最後に,ある人から聞いた話ですが,総合科学技術会議では,研究者は,評価する立場とされる立場
で,それぞれ下手をすると25%ずつ使われているのではないかとまで言われているとのことでした。
このために本来の業務である研究,教育に時間が割けなくなっているとすれば,これはかなり大きな問
題になりますので,今後大学評価をするに当たって,この2年間の我々の経験など,今までの色々なこ
とを十分ご考慮いただいて,ぜひ,有効で効率のいいシステムをつくっていただきたいと思っておりま
す。今までの主査の方も言っておられましたように,傾向を出すということであれば,全数検査は必要
ないのではないかという気もいたします。個々の教官の待遇査定のためには,全数検査が必要だと思い
ますが,大学のシステムとしてやるのであれば,そこまではなくても十分な傾向は出るのではないでし
ょうか。

○委員長 ありがとうございました。重要なご指摘もございましたが,これも最後にまたご議論いただ
くことにいたしまして,今の磯貝主査からのご報告につきまして,ご意見,ご質問等ございましたら,
お願いします。
 ないようですので,最後に,分野別教育・研究評価「総合科学」専門委員会のご報告をお願いします。

○主査 今まで報告のあった3つの教育評価と3つの研究評価と違い,私たちの担当しました総合科学
では,教育・研究をまとめて評価いたしました。対象組織は,お手元の資料のとおりでございますが,
北海道大学は,大学院だけでございますので,実際には,教育評価は11組織,研究評価は6組織とな
っております。この6大学がどのような「総合科学」であるか,簡単に分類しますと,東京大学と徳島
大学は,ほぼ文理横断型の,あるいは文理融合型の総合科学を目指しているという特徴がございます。
それから,群馬大学や名古屋市立大学は,人文・社会科学を中心とした総合科学を目指しているところ
でございます。それから,北海道大学は,名前のとおり,地球環境というテーマを中心とする総合科学
を目指しております。それから,福岡女子大学は,人間を取り巻く環境についての総合科学ということ
でございます。我々の間では,まず総合科学という研究分野が成り立つのかということが議論になりま
した。と申しますのは,その後の評価体制を見ていただくとわかりますが,部会のメンバーには100
名ちょうどいるのですが,これを7部会に分けますと,人文・社会科学は思想・芸術系で1つになりま
す。人文学系の評価では,哲学,文学,史学など各部会に分けますが,総合科学では1つの部会で担当
するしかないのです。また,国際・地域系では,地域研究などのようなものが入ってきますし,社会制
度系では経済学,法学その他の政治学などの社会科学が入ってきます。人間・環境は複雑でして,この
テーマ自身が総合的でございますので,実際に研究業績の内容を見て,これは社会制度の方で判定すべ
きではないか,いや,これはむしろ物質・生命系ではないかとか,そういうようなやりとりが何度も行
われました。
 そのように,部会の構造は容易ではありませんでした。後ほど説明する話になるかもしれませんが,
実際には専門委員会自体の開催は7回で,評価チームを3つに分けて1チームが2機関ずつ担当し,部
会も主査レベルでの打ち合わせが2回ありました。さらに,評価のための研修会も行っております。
 つまり,我々の作業量は2倍になったのですけれども,実際に評価項目はどうかといいますと,教育
評価はほかの3分野と同じような内容を持っております。研究評価については,それでは同じかという
と,ほかの研究評価のチームと違っておりまして,(2)(3)に総合科学型プロジェクトに基づくという文
言が最初に入っております。つまり,総合科学であるならば,なぜ,総合科学なのかということが言え
なければ,本来おかしいのではないか。例えば,経済の大先生がいて,ものすごい,それこそ賞をもら
えそうな研究をしているとしたら,それは経済学として立派なことではあるかもしれないけれども,総
合科学を目指す学部としての研究,教育にふさわしいのかどうかは別問題なのではないか,ということ
がたびたび議論になりました。結局,我々の立場としては,対応する大学が,これこそが自分たちが目
指している総合科学型のプロジェクトであると申請したものについて,その構成する研究者たちがその
ためにどのような研究をしているのかということがわかるようなを提出していただき,それを評価しよ
うということになりました。
 ですから,こちらから,総合科学はこうでなければならないということを押しつけがましく言ったの
ではなくて,彼らが考えている総合科学の考え方に基づいて,プロジェクトを提出してもらい,それを
評価するという形をとりました。これが総合科学の研究評価の非常に特徴的なことです。
 したがって,総合科学では組織に所属する教員全員の評価を行ったわけではございません。総合科学
のための基礎的な学問を担当する先生の中には,教育に専念して,総合科学型プロジェクトに入ってい
ない方もおいでです。だから,そういう先生方は研究評価の中から外れております。しかし,実際には,
これからの日本の大学が従来の旧帝大を1つのスタンダードにして,文学部,理学部,法学部,経済学
部,医学部というものでない新しい学部をつくろうとするときに,総合科学型とか,環境科学とか,色
々なテーマの学部ができていくときに1つの参考例になるのではないかと考えておりまして,そういう
意味で,これは私どもが助かったと思っております。何しろ,これだけのものを全部やろうとしたら,
とても容易ではありません。何を例に挙げてもいいんですけれども,例えば幼児の教育の仕方から,お
習字の仕方から,あるいは絵だとか,俳句だとか,いろんな分野が入ってきます。他方では,水の分析
をやっていたり,これは一々言っても時間をとるばかりなので,多様であるということだけ一応言わせ
ていただければ十分だろうと思います。
 評価作業のプロセスとしては,まず,大学が書いてきた自己評価書を我々が書面調査します。そして,
それを3つの評価チームがそれぞれ2大学ずつ訪問調査をしていきます。また,研究評価の方は,部会
ごとの評価員がまず第一段階評価をします。つまり,第一段階の研究評価は評価員に任せてしまいます。
その第一段階の結果を専門委員が第二段階で評価するという方を取りました。ですから,一種の二段階
評価です。科学研究費の選定のスタイルだとお考えいただいても結構かもしれません。
 中身については,ほかの分野の先生方が報告しているので,積み上げ方式であるという程度に申し上
げておきます。次の評価項目ごとの水準の判定状況は,留意点だけを申し上げておこうかと思います。
多くの先生方が申し上げているように,「十分に貢献している」という評価はほとんどございません。こ
れは平均をすると,必ず下がってまいります。「おおむね」,「相応」に評価が集中します。そういう問題
があるということは,既にご指摘のとおりですが,もう一つ,我々が考えたのが,訪問調査で実際に現
地に行ってインタビューをしてみますと,どうも,いわゆる国立,公立大学なので,大学の設置基準や
設置者の意向,例えば,講座は教授1名,助教授1名とか,そのようなことに縛られているところもあ
って,言ってみれば,長い間の文部科学省の基準化というのでしょうか,全ての大学を同じように扱う
という行政が成果を表したのではないかということです。これは部会の意見ではなくて,私個人の意見
です。
 この中で,気になるのが,ある大学で,「ある程度」の評価を与えられているのが,まず,教育評価の
学部で,「教育内容面での取組」と「教育の質の向上及び改善のためのシステム」の2項目で出てまいり
ます。さらに,研究科でも,「教育の実施体制」で出てまいりますし,「教育の質の向上及び改善のため
のシステム」にも入ってきます。これは,研究,教育とも関連がありますので,研究評価についても,
同じように,研究の向上及び改善,研究部の向上及び改善及び改善のためのシステムで,「ある程度」に
なっています。これは,訪問調査で話を聞くと,評価をするというので,うかつに手を挙げたところ当
たってしまったと,非常に正直なお答えがありまして,まさか当たると思っていなかったのではないか
というように思われました。実際には,そのように用意がなかったということもございますが,幾つか
の短期大学や教養部が集まって1つの組織をつくったばかりで,日が浅く,先ほど申し上げたような,
総合科学とは何かという合意がまだできていないです。ですから,プロジェクトとして出してはいるけ
れども,それが果たして全体の合意のもとで出ているのかどうか,怪しいところもございました。これ
は非常に気の毒な状況で,まだ,もう1年,2年でもたってから評価をすればよかったのかと思いまし
た。
 それから,まだ幾つかあるのですが,とりわけ問題があるのは,研究科の6番目の項目で,「ある程度」
の大学がございます。この大学では,実は判断の水準が下がった項目があちこちに出てくるのです。な
ぜそうなっているのかというと,その大学は,自己評価では,ほとんどの項目で,卓越している,すば
らしい,最高だということを出しておいででした。しかし,我々としては,システムとして評価してい
ますので,個々の先生がすばらしい研究をされているということは了解して,研究水準の判定では高い
ものが相当あります。けれども,それが研究科としての取組としては,それほど十分ではないです。大
学院で,研究内容にひかれて,色々な大学の学部を卒業した人がやってきているのですが,それに対し
て,研究科として,どのようにやるのか,十分な手当てができているだろうかというと,そこら辺がま
だ甘い。とても「十分」とは言えないというようなことで低くなりました。ですから,判断の水準が下
がったというのは,よい取組は散発的にあちこちで行われているけれども,研究科全体としての取組が
不足しているために低くなってしまったからというように,我々は理解しております。
 最後なので,幾つか申し上げたいことをまとめさせていただきたいと思います。総合科学での大きな
問題は,大学院です。つまり,大学院というのは何なのか,総合科学を研究する大学院とは何だろうか
ということです。学部教育,あるいは修士は理解できるけれども,総合科学の博士とは何なのか,とい
うことで,やはりまだ当事者の新しい組織であるために,大学院で,いわゆる実務的な意味での専門家
を養成するのか,生涯教育的な教養,高度の教養教育をするのか,あるいはほかの専門分野と同じよう
に高度な研究者養成をするのかという,その3つの選択肢のどこに重点を置くのかということが,まだ
必ずしも定着していないように思われます。これは,研究者を養成するということがあり得ないという
ことではないと思います。というのは,色々な科学が,それぞれどんどん専門化していく中で,そのよ
うな専門化していくものに対して,別の視点から,そこに向かっていくこともあってもいいのではない
かと思うのです。今ここでも,経済学,人文学,農学とありましたが,例えば経済学でも,従来の経済
学部の中で行われている研究とは違った,つまり,自然科学なり,人文科学なりを背景に,教養として
持っていて,それでもなお,研究者として,経済学をやってみようというのが出てくれば,これはこれ
なりに意味があるのではないかということでは,決して大学院の中での研究者養成ということもないわ
けではないです。けれども,幾つかの大学は,社会教育を目指すと,社会人入学を目指すということで,
かなり生涯教育的な視点から学生を受け入れています。入学生はとるのに,先生方はやはり専門家を採
用したくなってしまいます。そのために,どうも,教育と研究とがまだ完全にうまくドッキングしてい
ないように思われました。特に,専門的な研究者が総合科学のために何ができるのかということを考え
ながらやる教育・研究,これがまだ道遠いなと思いました。
 それから,体制の問題でも,専門家が専門家を採用すると,どうしても自分の分野の人しか採用でき
なくなります。これではほかの分野と同じになってしまう可能性があります。でも,総合科学を施行す
る大学が新たな人をとろうとしたときに,どのような分野の人を採用すれば総合科学としてより実を上
げられるか,という視点で教官選考をやらなければいけないのかということで,かなり現場の先生方と
突っ込んだお話し合いもさせていただきました。一生懸命努力はされていますが,体制としては,まだ
でき上がっていないようなところが多いです。実は,教育評価の評価項目6「向上のための改善のシス
テム」,あるいは研究科の同じく項目6,あるいは研究評価の項目5,このようなところで,比較的ほか
よりも下がってしまうのはまさにこの問題によるものです。
 総合科学教育というのは,専門の寄せ集めでない,あるいは専門がとりあえず「総合科学」にしてお
かないと生き延びられないから,とりあえず新しくつくってしまえということではない,新たな学問を
つくるためにはどうしたらいいかということを,これからしっかり行っていかなければいけないのでは
ないかというのが,我々の議論の中に出てまいりました。
 実は,格好いいことを言っているように聞こえますが,専門委員の中では,これ自身が我々の問題だ
として,大分議論を進めました。どのようなものが総合科学かということは,結論は我々は出しません
でした。それは,それを目指している当事者の各大学が,これから議論をしてつくっていくことになる
のではないかということでございます。

○委員長 ありがとうございました。今のご報告につきまして,ご意見,ご質問等ございましたら,お
願いします。
 それでは,これまで分野別の研究評価,分野別教育・研究評価「総合科学」の評価結果原案の報告に
ついてご審議いただきましたが,ここまでの中で,特にご意見,ご質問があれば,お伺いしたいと思い
ます。どうぞ,ご自由にお願いします。

○ 全体的にですけれども,社会的効果というところが非常に悩んでいらっしゃると思いました。対高
校に対して,あるいは対企業に対して,あるいは英文で書いたら国際的社会貢献をしたということにな
るのか。そうすると,それぞれの分野で,社会的効果が,高いところと低いところとに分かれていると
ころと,それほど分かれないところと,それぞれにおいて,悩まれた結果だと思うんですけれども,今
回の評価に対してというよりも,今後将来に向かって,大学が社会的効果を書くときに,書く側にとっ
ても非常に悩んでいるということで,ある一定のディスカッションが要ることであろうということを感
じました。

○委員長 重要な問題だと思いますが,この点について,機構の方でお考えございますか。

● 今,ご指摘のとおりだと思います。これは1年目から,題目の名前も変わっていまして,最初の年
は,もっとコンセンサスがなかったものですから,社会的貢献で,例えが悪いですけれども,ある大学
から,理科の方が少年野球チームの監督をしています。これが社会的貢献ということで出てきた例もご
ざいます。そのようなこともありまして,あくまでも,その方の研究がどのように社会的に貢献してい
るか,あるいは効果があるかということとしまして,2年目からはそのようなものが増えましたが,そ
れでも,やはりどういうものを社会的に貢献しているとらえるかというのは,まだまだです。私どもが,
大学で行われている活動をなるべく広くとらえて,それを正当に評価しようということがあり,非常に
幅広くかつそれぞれの方が自己申告していただいたものを少しでも拾い上げようという努力をしている
ことにより,逆に非常にあいまいになったということは改善する必要があると思います。
 ただ,特に2年目からは,社会的効果を測る上で,先ほどの例では,こういう少年野球チームの監督
をしていますというだけではなく,その活動がきちんと社会で評価されているという資料をぜひつけて
ください。新聞記事の切り抜きでも何でもいいですが,とにかくこんなことをやっているというだけで
はなく,その結果が社会でどのように機能し,どのように反応があるかという資料をぜひ出してくださ
い。それがないと,その効果を測ることはできませんということを特に2年目からは強く申し上げまし
た結果として,ほとんど貢献していないような,一見,そういうことが出てきたことはあるかと思いま
す。
 やはり評価する,判断する側としては,個々のこの項目を判断するのは非常に難しくて,どうしても,
それを評価できる資料はつけていただかなくてはいけないです。そのときに,これからの評価のときに,
それをどのように考えたらいいかというのは,これから整理して,またぜひご意見をいただきたいと思
います。

○ 今,大学とは何かということで,社会に対してアカウンタビリティーが非常に大切ではないかと言
われていますので,ぜひ,この点についてもディスカッションを深めて,社会から,大学が何をしてい
るのかがよりわかる形にすることが必要かと思います。

○委員長 それでは,今までのすべての報告を踏まえて,評価案全体を通じた総合的なご意見等をいた
だくこととしたいわけですが,まず,機構側から補足することがございましたら,伺いたいと思います。

● それでは,お手元にあります報告書の中で,二,三ご留意いただきたい点を述べさせていただきた
いと思います。
 まず,先ほど,評価が真ん中に集まってしまっているというご意見がありましたが,それに対して,
先ほど主査の先生方もおっしゃっていましたように,これは当初の今回の実行の要領ということで,評
価項目全体の水準は記述します。その下の例えば要素,あるいは観点ということに関しては,水準とし
ては書いていないんですが,ただ,今ご指摘の点もあり,それから,特に昨年の経験も踏まえて,次の
ようなことを今回考えております。というのは,要素ごとの,あるいは観点ごとの貢献の程度,これは
基本的には,例えばABCなり1・2・3という形では記述しておりませんけれども,特に観点ごとの
評価結果は,その辺がわかるように,原則として,それぞれの観点の評価結果の後に,もしくはその記
述のところにこういう点は優れている,これは相応である,あるいは問題があるという,かなり定型句
を入れて書いてございます。ですから,観点ごとに関してはかなり,それから,そういうことも含めて
訪問調査,あるいは対象機関にもお出しして,議論をいたしましたので,その辺は定型句によって,か
なり理解できるようになっております。
 それから,全体の文章を今のような言葉でくくるのには,不適当な文書もございましたので,そうい
う定型句を使用しない場合でも,可能な限り,水準の程度は判断できるような工夫をして書いているつ
もりでございます。それが第1点でございます。
 それから,着目点,あるいは観点という問題でございますが,先ほどもお話がありましたが,専門委
員会で,教育をやる上ではぜひ必要であろうという,例えば教育評価における女性教員の割合に関する
ことや,あるいはファカルティ・デベロップメントに関する取組は,各対象組織に共通の着目点,ある
いは観点として設定して,特に対象大学が自己評価書で設定していなくても,そのようなものが必要だ
ということを訪問調査やヒアリングの前に対象大学に申し上げ,それらの観点に関する内容について報
告書に記述しているところもございます。逆に対象機関の現在の状況から考えて,この観点は必要ない
のではないかということを指摘して,外した例もございます。
 それから,第3に,先ほど,自己評価が高いように見受けられる分,評価結果ではかなり下げたとい
うご報告もありましたけれども,特にこの3年目として印象的な点は,かなり問題点を的確に把握され
ていて,厳しい自己評価をされているところも多々見られたということで,これは非常によかったこと
ではないかと思います。ただ,自覚しているからといって,判断を上げるわけにはいかなかったという
ことは,先ほどのご報告のとおりでございます。
 それから,評価報告書作成に当たっては,書面調査,あるいは訪問調査,ヒアリングによって明らか
になった結果を踏まえて評価を行っておりまして,特に今回は,どのような基準で評価をやりましたと
いうことは,機構としても,そのような機会に,対象機関にも十分説明したつもりでございます。
 それから,既にご存じのとおり,要項などには,評価の観点例,あるいは根拠となるデータ例を挙げ
ております。実際にこれはこの観点例,あるいはデータ例というのは,説明会の席でも十分説明いたし
ましたが,必ずしも全てに当てはまることではないけれども,基本的には,おそらくそれらの点は必要
であろうということをご説明いたしました。その結果として,自己評価を実施する際に用いる観点とし
ては,一般的に想定できるものをかなり精選いたし,例示しましたので,昨年に比べますと,対象組織
から設定された観点数は比較的少なくなったという傾向は見られます。逆にこのために,1つの観点に
複数の取組を記述したものがありましたので,これは,評価に当たっては,各取組を個別の観点として
総合的に判断しましたが,このことは,対象機構にも十分ご説明したと思っております。
 それから,もう1点,機構では3年間試行しておりますけれども,3年目の今年は,取組が機能して
いるかということをかなり重く見ました。例えば,委員会があって,このようなことをやっていますと
いうときに,確かにその取組があっても,実際に委員会が本当に機能しているのか,あるいはそれらが
改善につながったのか,時間がなくてまだ改善につながるところまではいっていなくても,委員会が精
力的に行われ,その方向に進んでいるのかという,そのように,機能しているかということをかなり重
点的に見たということがございます。その結果,昨年より厳しくなったかどうかはわかりませんが,い
ずれのテーマ別も分野別も,今年はかなり,機能しているかどうかをかなり考えたということを最後に
つけ加えさせていただきます。

○委員長 評価案全体につきまして,何かご意見ございましたら,ここで伺いたいと思いますが,いか
がでしょうか。
 それでは,個々の評価結果につきましては,各専門委員会からの原案のとおり了承いただいたものと
しまして,評価報告書(案)として取りまとめて,各大学等に通知することとしたいと思います。
 本日の議題は以上でありますが,そのほか委員から何かご発言があれば,伺いたいと思います。いか
がでしょうか。

○ 今日,主査の先生方のお話を伺って,今まで,大学改革ですとか,色々なことが行われていますが,
その中で,これほど実際のオペレーションの仕方や研究のテーマ,研究の度合いなど,様々なことにわ
たって,本当に深く,お互いが理解することはなかったのではないかと思います。先ほど総合科学の主
査の方からお話がありましたことも,本当にそうだと思いました。今回,主査の先生方がいろいろおっ
しゃったことは,多分オーバービューという形でまとめられると思いますが,そういったことを,次の
方針なり何なりにうまく生かせることはないのだろうかと思いました。これは個人的な考えですが,国
立大学も,国立大学法人になるということで,自分たちでやっていく方向にはなりますが,やはり,こ
ういった非常に深いところまで入ってお互いに検討した,問題点やいい点が,行政なり何なりの方向性
の中でうまく反映される仕組があると,1回だけの感想,評価にとどまらずに,もう少し大きな成果に
結びつくといいのではないかという感想を持ちました。

○ 高校の現場にいる者として,今のご意見につけ加えて,最初に評価についてお話が出たときに,こ
れをどのような形でマスコミベースに乗せていくかという視点のお話も課題としてあったと思います。
会議の初めに,資料3の評価結果の作成についての1番のところで,わかりやすく社会に示すという表
現がございましたが,各大学で,これだけの具体的な研究が進み,評価が進んでいる中で,新しく教員
採用するときの観点も大事ですが,次世代を育てていく,高校生たちがどのような観点で大学を選び,
その高校生たちをどのように育てていくかということについても,大変大きなテーマになっていると思
います。高校に対しては,その内容や目標についての学校の説明があるというようなお話がございまし
たが,高校側から見ますと,まだまだ抽象的だったり一般論だったりする面もありますので,ぜひ,こ
こで行われてきた評価が,高校生レベルでも理解して,大学が選べるような方向も視点として持ってい
ただきたいと思います。
 この評価結果を,学校現場として,どのような形で活用できるかということを具体的に考えたときに,
私自身が読みこなすだけでも大変な内容ですが,次世代を育てるために,この評価結果を,どのような
形で高校生に対して投げかけていくかという視点も,ぜひ,今後の課題として検討いただけたらと思い,
発言させていただきました。

○ 先ほどの,評価が平準化してしまうという話ともつながるところですが,大学の評価をして,どの
ような大学にしていきたいというときに,個性豊かな大学ということは1つのテーマとしてあると思い
ます。日本の教育もですが,学校教育の中でも,国語も数学も理科も社会も,みんなできないとだめと
いうような感じで,非常に平均的な優等生を目指してしまうのですが,今回の評価も,やりようによっ
ては,だんだん平準化して,どこの大学も同じような形になってきてしまうのではないかという若干の
危惧があります。そのあたり,個性というようなことを,評価の中でどのように取り扱っていくかとい
うことについては,これからも留意して取り組んでいかなければいけないと思います。

○委員長 ほかにございますでしょうか。今のご意見も,先ほどの件もかなり重要な意見だと思います
が,機構のほうで何かお話はございますか。

● 本日は,大変長い時間ご議論を賜りまして,ありがとうございました。私どもも,評価については,
試行的実施段階でありますけれども,これで3年間経験させていただきました。先生方,殊に主査の先
生方の絶大なるご協力のおかげで,当初考えていたよりは,はるかに大きな効果まで達することができ
たのではないかと思います。当初,私どもの機構に,大学評価をやれと言われましたときには,もう暗
澹たる気持ちで,とても先が見えない状態でありましたけれども,そのときに比べますと,今はやや気
持ちが晴れたという気がいたしております。
 先ほどから色々なご意見をいただき,殊に評価のシステム,評価をどうするかということについても,
今後,相当考えていかなければいけないのではないかと思います。ご承知のとおり,これはあくまで試
行的実施段階の評価でありまして,今後,私どもの機関としては,国立大学の独立行政法人としての評
価の中で研究と教育については,私どもが担当することになりますので,今回の経験を生かすというこ
と。それから,さらに同じく16年の4月から,全大学を対象として,認証評価,つまり,国によって
認証された評価機関による評価が始まります。この評価のシステムの中で得ました経験を生かしていき
たいと思います。
 それから,様々にいただきましたご意見を,さらに引き続いて議論を重ねて,いいシステムにしてい
きたいというふうに考えております。
 それから,先程の御意見で,これが私,大変頭が痛いことでありますが,英国も評価の先輩国として,
大変腐心をしております。彼らが出す報告書も大変膨大なものでありまして,なかなかそれが,いわゆ
る若者が大学を選ぶための資料となり得ないということが一般に指摘されておりまして,その辺で我々
も何とかしなければいけないと思っているのですが,何しろ仕事に追われておりまして,これだけの評
価報告書をつくるのが精いっぱいということであります。しかしながら,ご指摘の趣旨は,まことにご
もっともでございますし,私自身も,それは非常に重要だと考えておりますので,何とかその辺のとこ
ろは,今後私どもの評価機関として考えていきたいと考えております。

○委員長 最後になりますが,次回の本委員会は平成16年3月16日火曜日,15時からこの場所で
行いたいと思っています。次回は,各大学等からの評価結果に対する意見の申立ての審議を経て,評価
結果の最終的な確定を行うことになりますので,よろしくお願いします。
 以上で,本日の大学評価委員会は閉会といたします。どうもありがとうございました。

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